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精霊の友として  作者: 北杜
二章 下人編
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こんにちはトルクです。ただいま勉強から逃げたポアラ様を探している最中です。

ポアラ様はダンスが苦手でダンスの勉強時間はいつも逃げているそうだ。これがオレの仕事なのかと思うと泣けてくる。マジで農園の仕事の方が楽だった。兎に角、ポアラ様を探しているが何処に行ったのやら。

ようやくポアラ様を見つけた。ポアラ様は裏庭の木の裏で本を読んでいる。見つかりにくい所で本を読まないでくれ。


「ポアラ様、ダンスの勉強の時間ですよ。授業に戻りましょう」


本を読んでオレの言葉を無視している。困ったな、何て言えば良いのだろうか?いろいろと考えているとポアラ様が読んでいる本が目が入る。魔法の本の様だ。よし、魔法の話から攻めてみよう。


「ポアラ様、本を読むのでしたら椅子に座りませんか?今から椅子とテーブルを作ります」


不思議そうにこちらを見る。よし意識がこっちに向いたな。土魔法でテーブルと椅子を作る。そして土魔法でコップを作りその中に水魔法で作った水を入れる。


「さあ、ポアラ様。テーブルと椅子の用意が出来ましたのでこちらに座ってください」

「ありがとう」


ボソッと礼を言い椅子に座りテーブルで本を読む。オレも椅子に座りポアラ様に話しかけた。


「ポアラ様が読んでいる本は何でしょうか?」

「魔法の本」

「どんな内容が書かれているのでしょうか?」

「魔法の使い方と内容が書いてある」

「私は魔法を母に教えてもらっていたので魔法の本は見たことがありません。どんな内容なのか教えてくれませんか?」

「後で貸してあげる」

……会話が続かない。どうしようか?いろいろ考えているとポアラ様から話しかけてきた。


「ダンスは上手く踊れない。直に転んでしまう」


ダンスは上手く踊れないから逃げるか。きっと兄の真似をしたのだろう。困ったな、どうすれば良いかな?踊れない理由が分からないから何とも言えない。


「それでしたら私とダンスの練習をしませんか?私はダンスを踊った事が無いので出来ればポアラ様に教えて頂ければ幸いです」


こんな事くらいしか考えがつかないオレだが、ポアラ様は少し考えてくれている。


「分かった」


おお!ダンスを踊ってくれるのかな。本を閉じて立ち上がりこちらに来てくれた。


「ダンスを教えてあげる」

「誠に申し訳ありませんが、基礎から教えてくれませんか?」


エイルド様の様にいきなり実戦形式ではやりたくない。


「まずは踊ってみる。大丈夫、私がリードするから」


と言って手をとりダンスを踊ろうとする。どうやるの?


「手を取って私の真似をして」

それだけですか?具体的に教えて下さい。ポアラ様もエイルド様と同じ実戦形式なの?

仕方がないのでオレはポアラ様の手を取って真似をする。


「まずは右足を右側に移動。次に左足を右足の近くに移動。その繰り返し」


えーと右足を右側に移動して左足を右足の近くに移動してその繰り返しだな。ポアラ様にリードをしてもらいながら足運びをする。こんな感じでいいのかな?


「こんな感じでしょうか?」

「うん、トルクは上手」

「ポアラ様のリードのお陰です。ポアラ様もお上手ですよ」

「不思議、踊っても躓かない?」


そういえば踊れなくて転ぶって言っていたな。全然コケないし上手いじゃないか?これなら大丈夫じゃないか。


「ポアラ様、上手く踊れています。先生に見てもらいましょうよ」

「……分かった」


よし、ポアラ様が勉強する気になったようだな。

オレとポアラ様と二人で部屋に戻る。部屋ではエイルド様と先生が二人でダンスの練習をしている。二人がオレとポアラ様に気付いたみたいだ。


「遅くなってすいません、ただいま戻りました」

「遅くなりました」


オレとポアラ様が先生に謝り授業に参加する。


「ではエイルド様とポアラ様に踊ってもらいます。トルクは見ていてください」


先生が二人を指名してダンスを踊らせる。だがつまずいてポアラ様が転んでしまった。

あれ?なんで転んだ?オレと踊ったときは上手に踊れて躓く事がなかったのに。つまずきダンスを中断してしまうエイルド様とポアラ様。

あ!ヤバい。ポアラ様が泣きそうな顔になっている。逃げ出すかもしれない。どうにかしないと。えーとえーと。


「先生、私とポアラ様に踊らせてくれませんか?先ほどポアラ様に教えてもらって簡単なステップなら踊れますから」


ポアラ様はオレが相手だったら踊れるから大丈夫だと思う。エイルド様と踊るのでなくオレと踊ってみよう。エイルド様とパートナーを代わってもらった。


「ポアラ様、よろしくお願いします」


ヤバい、マジで泣きそうな顔だ。マジで失敗できないな。失敗したら泣きながら逃げ出す気がする。


「先ほど踊ったステップで踊りましょう」


ポアラ様はうなずきながらオレとダンスを踊る。ポアラ様にリードしてもらいながら踊っているが今回は全く躓かない。簡単なステップだが二人で踊っていると普通に踊れる。原因はなんだろう?考えているが全くわからん。


「ダンスの最中は相手の事を考えながら踊る事」


ポアラ様に叱られた。でも泣きそうな顔から普通の顔に戻った。良かった良かった。


「申し訳ありません」


謝ってダンスに集中する。ダンスをしている最中にふと原因に思い当たった。「そうか」と声を出す。


先生が何事かと聞いてきてダンスは終えた。


「先生、すいませんが先生がポアラ様と踊ってくれませんか?ただしリードはポアラ様の方で」

「それは構いませんがダンスは男性が女性をリードするものです。女性がリードすることはありません」

「今回はポアラ様がリードでお願いします」

「わかりました、ポアラ様。お願いしますね」


女性がリードするダンスは貴族のダンスではあり得ないがポアラ様は上手く踊っている。

ポアラ様がリードすると転ばずに踊れるのだ。ポアラ様がリードして踊ると上手く踊れて、相手の男がリードするとポアラ様は踊れなくて躓く。

踊れない原因はわかったがどうやって治すのだろうか?そこらへんは先生に任せよう。

先生も踊れない意味が分かったようで今度はポアラ様のリードでエイルド様が踊る。うんうん二人とも上手く踊っている。これなら大丈夫だろう。

二人が上手く踊っている事を見ている先生は困った顔をしている。きっとポアラ様の踊りをどうするかだろうな。先生頑張ってください。

あれ、ダンスが終わったかな?でもなんだか二人の様子がおかしい。さっきから動いていない。


「ポアラ、オレのリードで踊るんだ。オレが上手くならない」

「ダメ、私のリードで踊る」


二人ともどちらがリードを取るかで争っている。先生の方を見るがとても困った顔をしていた。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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