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精霊の友として  作者: 北杜
七章 帝国公爵領編
172/276

9 公爵家家族との会談

 屋敷の客間の前でクリスハルトと別れる前に少し話した。


「今回の件を父上と母上に話す。それまで客間で休んでいてくれ。オレも皇都から帰った後で疲れているから休みたいが、休む余裕がなさそうだ。トルクがどんな経緯で御使いになったのか気になるが、今回の件の方が大事だ」

「オレ達もオーファン君とベルリディアちゃんと一緒に休んでいるよ」

「そういえばその二人は何者だ?」

「ファーレンフォール伯爵家当主の妹の子供らしい。帝都で今話題の子供達じゃないか?」


 クリスハルトが頭を抱えて、吐き出すように言う。


「その件も父上に話をするから待っていてくれ。ドアの外に侍女を待機させておくので、用事があるときはその者に言ってくれ」


 侍女さんが頭を下げる。クリスハルトは気のせいかふらつきながら歩いている様な気がする。いろいろショックな事があったからな。客間に入ると高級なソファーに座っている兄妹。……大丈夫そうだな。


「トルク! あなたはロックマイヤー公爵家の御子息になんて無礼な物言いをするのですか! 周りの騎士達が怒っていましたよ! 言葉遣いが間違っています、敬語を使ってください!」

「騎士だけではなくて側近の方々も怒っていました。お願いですから公爵家の方なのですからそれ相応の言葉遣いをしてください!」


 兄妹に怒られた。……クリスハルトは最初からタメ口だったからな。ごめんなさい。


「それに私達も貴族なのですよ。貴方達に命を救われたから粗雑な言葉遣いを許容していますが、本来はそれ相応の態度で接しなければ周りの者に殺されても文句は言えませんよ」


 確かにこの二人は貴族だったな。それもどちらかは皇族で皇位継承権も貰える可能性がある子だった。

 そうだな、そろそろ言葉遣いを変えた方が良いかもしれないな。今までは素を出していたからな。今からキチンとした対応をするか。……面倒だけど。

 オレの身分は騎士だからオーファンとベルリディアよりも下になるのか。そういえばララーシャルはどうなる?身分証は無い精霊だけど、元皇族なんだよね。ララーシャルを守る騎士となるのか?


「どうしたの? 難しい顔して?」


 ソファーに座っているララーシャルが話しかけてくる。


「オレの立ち位置を考え中。騎士の身分は貰っているけど、この中ではオレが一番下になるんだよな。それを考えたらソファーに座らずにララーシャルの後ろに立っている方が良いのかなって思っただけ」

「それを言うなら御使いの貴方が上で、オーファン君とベルリディアちゃんは貴族だけど分家扱いだから貴方の下になるわよ。ちなみに御使いは時代によっては皇族と同じ立場に居た事もあったそうよ。私の時代は皇帝よりも立場は下だったけど拒否権はあったみたいね。今は分からないけどそれ相応の立場のはずよ。公爵家の人間がタメ口を気にしていなかったら公爵レベルかしら?」


 ……なるほど、御使いは公爵レベルの位持ちだったのか。ルルーシャル婆さんは皇族の娘だから公爵レベルだとしてもオレは他人だからな。御使いの事を知っている者なら問題ないが、でも知らない公爵家の使用人や騎士はタメ口を話す子供に怒りを覚えるだろうな。御使いって面倒だな、って思うよ。


「まぁ、とりあえずは言葉遣いを変えておくか。ララーシャルも言葉遣いには気を付けてくれ」

「そうね、久しぶりにお姫様でも演じましょうか。トルクは騎士の役ね」


 そんな感じで良いと思うよ。ため息をつきながら出されていたお茶を飲む。公爵家が出したお茶だから美味しいね。ララーシャルはもうお姫様を演じているのか? 飲み方が凄く上品だな。


「ありがとう」


 優雅に飲む仕草にはさすが元皇女だと思わせるな。そういえばサクラが居ないか。どこに行った?


「サクラならバラバッサラと話をしながら、移動の準備をしているわね。バラバッサラがサクラに景観の良い場所を聞いているわ。引っ越す気満々ね」

「これで引っ越しが駄目になったら……」

「怒って屋敷が更地かしら? バラバッサラってこの街では顔役の精霊だからね」

「……本当に御使いって大変な仕事だな。失敗したら屋敷が更地かよ」


 ラスカル領に戻ったらルルーシャル婆さんに言って御使い辞退しようかな。そんな事を考えていたらノック音が聞こえた。侍女さんが客間に入って来て「公爵様方のご面会の準備が整いました。こちらにお越しください」と言われたので客間を出て侍女さんについて行く。

 格式のある部屋の中には騎士達と側近の人が壁の方で待機していて、テーブルにはクリスハルトに似ているダンディな男性と気品ある女性。最後にクリスハルトが座っている。席に案内してもらいオーファンとベルリディアが礼をして言った。


「お初にお目にかかります。ファーレンフォール伯爵家のオーファンです。こちらが妹のベルリディア。この度は急な訪問申し訳ありません」

「うむ、まずは座ってくれ。ロックマイヤー公爵家に来た理由を聞きたい。その前に紹介しよう。私の妻のフローラと息子のクリスハルトだ。そしてトルク殿よ、そちらの女性を紹介してくれ」


 公爵さんがララーシャルの事を聞く。ララーシャルは立ち上がって優雅に挨拶をする。


「私はララーシャルと申します、デックスレム様。この度はお忙しいなかご面会の機会を頂いて感謝します」

「良く来てくれた。そして今回の訪問の件だが……。ファーレンフォール伯爵家の件でトルク殿達は来たのか?」

「それとは別の要件です。オーファンとベルリディアは街で出会い、私達と同じロックマイヤー公爵家に用事があるとの事だったので同行しました」

「そうか、ではファーレンフォール家の者の話から聞こう。この度の訪問の理由は?」


 公爵さんが厳しい声で兄妹を問う。オーファン君が緊張しながら話そうとする。


「私達が公爵様を頼った理由は母様からの頼みでした。母様は公爵夫人と親しい間柄で仲良くして頂いていたと聞いています」

「そうね、貴方達の母親のレンリーディアとは仲良くしているわ。先日帝都に行ったときも会おうと思ったのだけど無理でしたわ」

「母様からの公爵夫人宛の言伝ですが」


 オーファン君がベルリディアちゃんを見て二人で言う。


「五年前と」

「二年前の」

「手紙に」

「書いてある」

「事を」

「ラグーナ様に」

「見せて」

「ください」


 兄妹で交互に喋る。内容は『五年前と二年前の手紙に書いてある事をラグーナ様に見せてください』……それだけ? もっと暗号を使った難しい伝言だと思ったけど……。子供だから簡単な言葉にしたのかな?

 フローラさんは手紙を持ってくると言って退出した。しかしラグーナ様って誰だろう?


「しかし選りにもよってラグーナ様に面会するとは。……だからフローラを頼ったのか。お前達兄妹は帝国の現状を知っているか? 皇帝陛下は歳の離れた弟君か妹君に頭を悩ませている。どこの貴族の娘に産ませたのか先代皇帝に聞き出そうとしているが、当事者達はそろって口を閉ざしている。先代の皇妃殿下は貴族のご令嬢を妊娠させて何の責任も負わなかったと怒ってその子を皇族に迎えようと動き、皇太子殿下方は継承権が下がる事を嫌がりその子を亡き者にしようと動いている。貴族達の中には、その子と既成事実を作って皇族の親戚になろうと考えている者や、あるいはお前達を捕まえて皇帝陛下や皇太子殿下方に引き渡して恩を売ろうと画策する者もいる。ファーレンフォール伯爵家当主は他の貴族達から恐喝されて傭兵ギルドと魔法ギルトにお前達の事を依頼したようだ。帝国では現在お家騒動の真っ最中だ」


 帝国はなかなかの状況に陥っているな。王国出身のオレが心配するのは変だと思うが大丈夫なのか? 


「面倒な噂もある。先帝陛下のお相手は王国側の貴族ではないかとか、他にも平民だという噂も流れている。面倒な事になっているので私達は自分の領地に戻ったのだ。まぁ、その判断は正解だったかもしれないな。ルルーシャル様の後継者に会う事が出来たのだから」


 オレとララーシャルを見る。視線がオレ達を見定めている様な感じだ。


「トルク殿の事はクリスハルトから聞いている。バルム砦でクリスハルトや負傷した兵を助けたと。そして和平に賛同して力になってくれた事。そしてクリスハルトの部下に保護されたが、死んだと聞かされていた。先ほど聞いた話ではルルーシャル様の後を継いだとか?後ほど詳しく聞きたいのだが……主に大樹の事を」


 大樹っていうのは引っ越し予定の木の事だろうな。確かに詳しく話さないといけない。下手すれば屋敷崩壊という事になるから……。


「トルク、バルム砦の後の事を教えてくれないか? 部下に数ヵ月前に鉱山に居たという事は聞いたが、森で魔獣に襲われて死んだと聞いた。それが御使いとして何故此処に居る。その辺りを教えてくれないか?」


 クリスハルトから質問を受けたので今までの事を教える。バルム砦が帝国に占拠されたときローランドに捕まり、ダニエルに半殺しにされながら鉱山に送られて、スレインという貴族に助けられて脱走をしたが、その部下に殺されそうになり、鉱山で知り合ったランド爺さんに助けられて、御使いが住んでいた隠れ家を目指して逃げた事。そしてルルーシャル婆さんに助けられ、御使いの才能があったからその森で修業をした事を説明した。

 その後の事を話す前にフローラさんが戻ってきた。


「遅れてごめんさない。……どうしたの? そんな暗い顔をして」


 クリスハルトは顔を下に向けて、公爵様も表情が暗い。兄妹もオレが目を潰されて鉱山に連れて行かれた事や殺されそうになった事にショックを受け、周りの騎士や側近達はスレインの部下に殺されそうになった事に驚いている。


「スレインの部下がどうしてトルクを……」

「簡単な事だ。王国出身の捕虜と帝国貴族のどっちを信じるかって話になると後者だろう」


 クリスハルトの独り言に即座に突っ込んだ。長い間話したから喉が渇いたからお茶を飲む。


「オレの目的はローランドとダニエルを殺す事だ。ローランドの情報はあるけどダニエルだけは素性が分からない。クリスハルトは知っているか?」


 ……敬語を忘れていた。説明の最初は敬語を使っていたけど途中から素で喋っていたよ。


「……ダニエルという者は知らないが、ローランドは領地で謹慎させている。……トルクよ、出来れば殺す事だけは止めてくれないか。私が相応の罰を与えるから」

「その相応の罰というのは恩赦が出れば罪が軽くなる様なモノか? オレは鉱山でもローランドとダニエルを殺す事だけ考えていたんだ。王国には戻れず、目を潰され、飯を地面に落とされて犬のように食べさせられ、泥水を啜り、その時の気分次第で殴られ、剣で切られた。相応の罰というのはこれと同じかこれ以上の事か?」


 言葉に力が入る。怒りで手を握りしめる。更に喋ろうとしたときに、ララーシャルがオレの手に自分の手を載せる。


「トルク、少し落ち着きなさい。怒っているとサクラに叱られるわよ」


 ……深呼吸して心を落ち着かせる。怒りが収まらない。サクラが近くに居たときは怒りがすぐになくなったのに。


「すまない、ララーシャル。少し落ち着いた」

「どういたしまして。気にする事はないわよ。トルクがこれ以上怒ったら周りの精霊達がこの屋敷を破壊するわ」


 ほらっ、と言ってララーシャルが周りを見せる。……確かに精霊達が集まって何か相談しているよ。「ヤルか?」「壊すか?」「殺すのか?」「シメる?」「縛る?」「襲う?」「溶かす?」とか物騒な会話が聞こえる。


「トルクは精霊に好かれすぎる体質だから、負の感情を表に出したらすぐに周りの精霊達が勝手に行動するわよ。本気で気を付けないと屋敷が破壊されるわ」

「……マジでごめん」


 マジで気を付けないといけないな。そして周りで物騒な事を言っている精霊達に大丈夫と言って落ち着かせる。


「トルクさん、と呼んで良いかしら? 話を聞く限りでは珍しい体質の様ですね。周りの精霊達にも落ち着いてと言ってください。私達は貴方達を害する事はしませんから」


 公爵夫人のフローラさんが話しかける。まあ屋敷が破壊されるって言葉が出たらそうだよな。フローラさんは経験者なのかな?


「お母様と旅をしている最中にいきなり賊が空を飛んだり、穴に落ちたり、川の水に襲われたりといろんな経験をしたけど、トルクさんも大変みたいですね」

「大変……。そんな言葉で解決出来るのですか、母上。屋敷が破壊される寸前でしたよ」

「大丈夫ですよ。お母様から御使いを継いだ子なのですから。そんな事になる訳ないでしょう」


 フローラさん、本当に破壊寸前だったんだよ。どうした? ララーシャル。


「フローラが冗談のように言って周りを安心させているのよ」


 なるほど、確かにフローラさんの言葉で部屋のみんなの雰囲気が落ち着いたな。フォローさせてすいません。


「レンリーディアからの手紙を持ってきたわ。でも普通の手紙なのよね」


 テーブルに手紙を置いてみんなに見せた。……挨拶から始まって現状の報告や子供達の事や共通の話題、フローラさんへの健康と幸せを祈る挨拶で終わっている。……他人の手紙を見て良いのかと読み終えてから思った。


「……この手紙を帝都の城に居るラグーナ様に渡せば良いのだろう。……直接渡す為に、もう一度帝都に行く事になるな。二人も私達と一緒に行くか? 貴族達も私達と一緒なら直接的な事をしないはずだ」


 公爵様の言葉に兄妹は頷く。しかし領地内の仕事を片付ける為に帝都への出発は数日ほど先になるそうだ。オーファン君とベルリディアちゃんは承諾した。


「それでは二人は夕食まで部屋で休んでくれ。スクートよ、案内を頼む」


 スクートと呼ばれた執事っぽい老人が兄妹を退出させる。そして他の騎士や使用人も退出させて公爵家族とオレとララーシャルだけになった。


「先ほど部屋に居た騎士や侍女達は信頼できる者達で御使いの事を知っている。しかしクリスハルトの話を聞いて退出させた。新しき御使いよ。大樹を移動させるのか?」

「その精霊、バラバッサラが乗り気で。サクラも相談に乗っている様です」


 サクラという言葉にフローラさんが驚く。


「サクラ様が来ているのですか! 初代の墓を守っている精霊様が!」

「今回はサクラが来た事でバラバッサラが頼み込んだのです。ラスカル領で余生を暮らすと言って」

「ラスカル領まで!」


 会話を聞いているクリスハルトも驚く。公爵家族が頭を抱えているよ。


「あの大樹はロックマイヤー公爵家の象徴というべき木で……。私達は精霊に不愉快な思いをさせたのか」

「理由を聞いたら街の精霊の顔役を後任に譲って本人は他の場所でゆっくりしたいと」

「そ、そんな、理由なのか。私達に愛想が尽きたとかではなく?」

「そんな事は言っていません。気分転換とかそんな感じです」


 公爵一家が頭を抱えて悩んでいるとサクラが部屋に入ってきた。話し合いは終わったみたいだな。


「トルク、お願いがあるんだけど。ラスカル領にある大樹の精霊も他の所に移動したいって言ってた事を思い出して、バラバッサラとその精霊の場所を交換しようって話になったの。それで許可がほしいんだけど」


 話が進んでいるな。オレ達に相談くらいしてくれよ。言っても始まらないからクリスハルト達にサクラから聞いた話を伝える。


「……なるほど、この大樹とラスカル領の大樹を交換するのか。精霊がいる大樹がここに来る事に……。わかりました、許可しましょう。よろしくお願いします」

「いろいろとすいません。私も初めての経験で」


 本当に迷惑をかけた。でもロックマイヤー公爵が許可してくれて良かったよ。これで屋敷が破壊されないで済む。


「私はバラバッサラに伝えてくるわ。それからラスカル領の大樹はジュゲムに頼んで持って来てもらいましょう。そしてバラバッサラを運ぶついでにフローラも一緒にラスカル領に来れば大丈夫ね。ララーシャルも手伝って!」


 計画を簡単にオレに言ってサクラはララーシャルを連れて出ていった。ララーシャルは実体化を止めて周りの者達から見えなくなる。


「ト、トルク、ララーシャル殿は?」


 クリスハルトが聞くのでララーシャルは実体化出来る精霊と答える。その言葉にフローラさんは、


「……さ、流石はお母様の後を継いだ御使いですね。ね、貴方」

「……そ、そうだな。素晴らしい」


 公爵夫婦が引きつった表情で褒める。実体化出来る精霊はララーシャルしかいないからな。あっという間に姿が消えて驚いただろう。

 そういえばルルーシャル婆さんとパトラッシュさんの手紙を渡さないと。オレはフローラさんに手紙を渡すと、フローラさんは手紙を読む。


「……お母様の寿命は後三ヵ月なのですね。届けてくれてありがとうございます。貴方、私はラスカル領に行きます。私はお母様の側に……」

「分かっている。準備させよう。しかし帝都から戻ってきたばかりなのだ。少し休んで行きなさい。私も行きたいのだがファーレンフォール家の兄妹の件がある。クリスハルトは」

「最後に祖母を見舞います。父上」

「分かった。馬車で十日近く行くのだ。相応の準備が必要だな」

「あの、少し良いですか?」


 オレは恐縮しながら発言する。


「サクラが言っていたんですけど。ラスカル領に大樹を移動するときに、一緒に行く方が楽が出来て良いと思いますよ。私達と一緒に空を飛んで」


 オレの言葉に公爵一家が一斉に見る。眼力が凄い! ちょっとビックリしたよ。


「また空を飛べるのですか!」

「私もラスカル領に行けば空を飛べるのか!」

「トルク! 私も空を飛んでみたい!」

 

 フローラさん、公爵さん、クリスハルトがオレに言う。……一緒に行くなら空を飛べると思うよ。


「私もラスカル領に行くぞ! 義母に最後の挨拶をする!」


 公爵さんが前言撤回してラスカル領に行く気になった。……この世界では一般人は空を飛ぶ事なんて出来ないからな。好奇心が勝ったようだ。


「トルク殿、何時行くのだ? 私達も準備が必要だ! 出来れば三日後辺りが望ましい!」

「公爵様、とりあえずサクラに聞いてみます。けど今日の夜に出発と言われても驚かないでくださいね。屋敷の大樹の精霊、バラバッサラは短気のようですから」

「そうか、では急いで準備を始めよう。ファーレンフォール家の兄妹は屋敷で監禁、ではなく休ませるとして。至急の仕事以外は後回しに……、フローラは支度を! クリスハルトはトルク殿と一緒に同行して何時出発するのかを聞いてくれ。その後に私の手伝いを頼む」


 そう言って公爵は部屋を出て騎士や執事に指示をする。フローラさんも侍女に指示を出している。クリスハルトはオレの腕を引いて歩く。


「さあ、何時出発するのか聞きに行くぞ! 急がないと準備が大変だからな」


 明るく言うクリスハルト。早歩きで屋敷の大樹の元に行く。公爵一家は空を飛ぶ事を楽しみにしているが危ない事を理解しているのか? 若葉マークのララーシャルの力で空を飛んだら落下の恐怖で気絶するぞ。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
罰を受けるから殺すのは止めてくれ というのなら同じ目に遭ってもらうのは どうでしょうか? クリスハルトさんの場合は 治して貰えるだけマシかと?
[良い点] 心理描写、感情の書き方がなろうの中では一番丁寧な作品だと思います。
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