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精霊の友として  作者: 北杜
七章 帝国公爵領編
170/276

7 精霊戦隊爆上!(嘘)

タイトルを考えるのに苦労しています。

不興が多いのならサブタイトルを変更します。

 オレは怒りを抑えながら言う。バーンはオレを下に見ているようで副ギルド長とは違う口調で言った。


「お前は騎士の様だが、ローランド様は子爵家の出身であり、次期公爵のクリスハルト様の側近中の側近だ。お前程度の者とは身分が違うだろう。そして私はローランド様に信頼されている数少ない者だぞ。副ギルド長、今回は金を払えば丸く収めると言っているのです。どうして分かってくれないのですか。ローランド様が知ったら副ギルド長は解任されるかもしれないのですよ」


 ……ローランドの事を知っている人間に出会った、日頃の行いに感謝するべきだな!立ち上がりバーンをぶん殴った。一回、二回、三回……八回くらいで副ギルド長に止められた。


「トルク殿、何をするのです!」

「手を放せ、身分証なんてどうでも良くなった! バーン、ローランドは何処にいる! お前の知っている事を言え!」


 副ギルド長を押しのけて再度ぶん殴る。顔が腫れて優男が不細工になったな。


「き、貴様、こんな事、をして、ローランド様、が、黙って」

「オレはローランドに恨みがある。どこにローランドが居るか言え! それとも拷問されたいのか!」


 剣を抜いて軽く腕を切った。バーンは痛みで叫ぶ! そんな切り傷で叫ぶなよ。オレはもっと痛い思いをしたんだぞ!


「おい! ローランドは何処だって聞いたんだ! はっきり答えろ!」


 剣で腕を突いて腕から血を流させる。バーンは助けを呼んで叫びまくる。……うるさいな。もっと強めに切りつけた方が良いかな? 剣を振り上げようとしたら腕を掴まれた。誰だ?


「トルク殿、落ち着いてください! ララーシャル様も止めてください!」

「トルク、ベルリディアちゃんとオーファン君の前で血を見せるの? そんなお行儀の悪い事は止めてほしいな」

「だからどうした! オレはローランドとダニエルに復讐する為だったらなんでもする! だから止めるな!」


 目を潰されて、笑いながら切られて殴られた事は偶に夢で見る。そして目が覚めると同じ事をしてやると怒りを再確認する。ローランドを知っている奴に居場所を聞いて何が悪い!


「お願いですから落ち着いてください!」


 副ギルド長がオレを抑える事に全力を出す。両腕を掴まれてオレは何も出来ない。いや足から魔法を出せる! 足をバーンに向けて火の玉を出して燃やそうとしたがサクラに防がれた。


「トルク、落ち着きなさい。貴方がする事はローランドの居場所を知る事で、殺す事ではないでしょう。落ち着いてね」


 サクラがオレの頭に手を載せる。……何故か怒りが収まり冷静な判断が出来るようになる。深呼吸して落ち着こうとする……。


「オレに手を出したな! ローランド様に言って貴様を殺してやる」


 怒りを思い出してぶん殴ろうとしたが、副ギルド長に抑えられて何も出来ない。そのあいだもバーンは叫びながら言った。


「ローランド様を! エディオン子爵家を! ロックマイヤー公爵を敵に回した事を後悔しろ! 貴様ら全員殺してやる!」

「その前にこっちが殺してやるよ! ローランドの仲間は全員殺してやる!」


 動けないので口で応戦する。怒りで今なら何でも出来る! 誰を敵に回しても、御使いの力を全て解放しても良い!


「トルク! 本当に怒りを抑えなさい! マズイ事になるわ! 街の精霊が貴方の感情に共振して動き始めるわよ!」


 サクラの声が聞こえる。再度頭に手を載せて怒りを抑え、再度冷静な考えが出来る状態になる。ララーシャルはバーンの額に手を当てて気絶させた。

 ……深呼吸をして平常心を取り戻す。客間の騒ぎに怖い顔の護衛や商店の使用人が入ってくる。荒れた部屋を見て驚いている。剣を抜いて押さえつけられているオレに、気絶しているバーンの近くにいるララーシャル、そして震えるオーファンとベルリディア。

 この状況ならオレがバーンを殺したと思ってもおかしくない。副ギルド長が店の使用人達に説明をする。今回の騒ぎはバーンが客人を怒らせて起こった事で客人は悪くないと。そんな状況の中で一人の老人が部屋に入ってきた。


「久しぶりだな、ニールソン。この状況はなんだ?」

「久しぶりです、先代。今回は身分証を受け取りに来たのですが、違約金がかかり金貨二十枚を後払いで払う事を交渉していたのですが、それに応じてもらえず」

「はて? 身分証?」

「オーファン様とベルリディア様の身分証です。話は昨日の晩に通していますが」

「調べさせよう。それから荒れた部屋では落ち着いて話は出来まい、他の客間に案内しよう」


 そう言って部屋を移動させる。さっきの部屋よりもグレードが高い部屋に案内された。テーブルの上座に先代さん、その左右にオレとララーシャル、オーファンとベルリディア、そして下座に副ギルド長が座る。


「ワシは先代の店主でバーンの祖父のローツです。この度は孫が貴族様や騎士様を怒らせたと聞いております。申し訳ありません」


 丁寧に頭を下げて謝る先代店主。オレも平常心を取り戻したので謝罪した。


「こちらこそ、剣を抜き、部屋を荒らして申し訳ございません。客間の壊れた備品は弁償します」

「では後で確認をしておきます。それで身分証の件ですが、私の方には身分証の売買の件は耳に入っていません。確かにこの店で売ったのですか?」


 説明は副ギルド長がする。


「バーンがファーレンフォール伯爵の身分証を受け取り、実家の店に売ったと言っている。そして買い手もおり、違約金がかかっているのだ。ギルドは払う予定だが前払いではなく後払いという事を交渉している」

「傭兵ギルドを信用して後払いでも問題ないが……。どうしてバーンは前払いと言い張ったのだ?」

「しかしバーンは前払いしか受け付けないと言い続けた。流石に金貨二十枚だ。相場の十倍の金額は準備するのに時間がかかる」

「……馬鹿孫は吹っ掛けたな。しかし相手を見る能力は成長していない。バーンは人を見る能力がない。詐欺師まがいの事をしているが最後はいつも力技だ。ニールソンも

尻ぬぐいで裏から手を回して、馬鹿孫に嫌気がさしていないのか?」

「商人達からの情報収集は得意だから仕方がないのです。他に人が居ないのでバーンを使うしかありません」

「なんならワシがバーンの代わりに情報収集をしてやろうか? 隠居して暇でな」


 ……どうでも良い話を聞いていると使用人が入ってきた。今回の件の情報が纏まったようだ。先代店主が説明をする。


「まずは身分証だが売れてはいない。だから違約金も発生していない。今回の事はギルドから金をかすめ盗ろうとバーンが考えた事らしいの。身分証も店では扱いが難しいからそう簡単に売れるはずはないのに。そしてバーンに身分証のありかを聞き出しているので少し待っていてほしい」


 先代さんは使用人にお茶を頼みオレ達に配る。……うん、美味しいお茶だな。心が落ち着くよ。


「そういえば牛の昼寝亭の事だが、なんでも傭兵ギルドが壊したという噂だ。半壊で宿屋の主人が落ち込んでいたぞ。その件はどうする? 商人ギルドは傭兵ギルドに賠償金を請求する様な事を話しているが」


 お茶を飲みながら世間話のように話す先代さん。一方、飲んでいたお茶を吹き出しそうになりゴホゴホ咳込んでいる副ギルド長。そして硬直するオレ達。

 正直に話すか? 精霊による自然災害ですと。自然災害にきく保険に入っていないから無効ですと言えば納得するかな? する訳ないか……。


「……その件はオレ達とは関係ない。しかし補償は考えている」

「そうか? しかし街ではお前達傭兵ギルドが壊したと言っているぞ。正直に話した方が良いと思うぞ。ワシは商人ギルドの元幹部だから多少は力になれるぞ?」


 副ギルド長が考えているな。そしてチラチラとララーシャルの方に目を向けている。どうやら精霊や御使いの事を話して良いか許可が欲しい様だ。そんな視線を気にせず、ララーシャルはお茶を楽しんでいる。


「今回の件は私達の責任です。実家に戻ってお金を支払います。それかロックマイヤー公爵に頼んで補償してもらえる様に伝えますので許してくれませんか」


 オーファンが勝手に先代に言う。ベルリディアも頭を下げて許しを乞うている。


「御使いという方が私達を助けた結果なのです。どうか許してください」


 オーファンの言葉を聞いた先代さんは持っていたカップをテーブルに落とし、ショックを受けたのか硬直している。副ギルド長が頭を抱える。オレもだが兄妹に精霊や御使いの事を口止めするのを忘れていた。

 しかし先代さんは御使いの事を知っていたんだな。ショックでまだ動かない。


「そ、それなら、仕方が、ない。今回、の件は、商人、ギルドでも、補償をする」


 ショックから立ち直っても動揺している先代さん。副ギルド長は先代さんにすまなそうに謝礼をした。そしてララーシャルに頭を下げた。


「今回の件は、孫が悪いと言う事が、分かった。だから店を、破壊しないで下さい」


 何故かララーシャルを御使いだと判断したようだ。子供のオレよりも年上のララーシャルが御使いだと思ったのかな?

 ……しかし御使いって恐れられているな。歴代の御使いはどんな事をしていたんだ?

 冷静を装ってお茶のお代わりを頼む先代さん。そして茶菓子を用意するように使用人に命令している。


「一番高価なお茶と菓子の用意を。それから身分証を急いで持って来てくれ」


 ……にこやかに言っているが目が笑っていない。凄く切羽詰まった感じがする。副ギルド長は「味方が増えた」と嬉しそうに呟いている。……御使いの被害者仲間が出来てとても嬉しそうだ。


「あの、御使いとは何でしょうか? 二人とも御存知なのですか?」


 オーファンが先代さんと副ギルド長に聞く。二人はどう答えれば良いのか、こちらの方を、ララーシャルを見る。ララーシャルに説明をしてほしそうに見つめるが、本人はお菓子を食べて視線を無視している。ベルリディアも聞きたいようだな。仕方がないから助け船を出すか。


「オーファン、御使いというのは。この大宇宙のどこかの銀河系のある太陽系だと思われる第二惑星か第三惑星もしくは第四惑星の自称地球から、銀河の星々を破壊している地球外生命体別称エイリアンからの侵略を守る為の対防衛特殊対策任務を授かっている魔法使いの事を通称御使いと言う」


 オレの説明に全員が呆ける。みんなオレが何を言っているのか全く分かっていない。日本人のライと一緒に居たサクラでさえ分からない単語があるようだ。


「ダイウチュウ? ギンガケイ?」


 オーファンが分からない単語に唖然とする。


「大宇宙はビックバンによって誕生し、詳しい事は省略して銀河系が出来た。どこかの銀河系のどこかの星雲の通称輝く星に住む正義の者達は悪しき者達と戦って宇宙を守っている存在で、正しき者達の別名を精霊と言うらしい。この銀河では正義と悪の闘いが繰り広げられて地震、雷、火事、津波などの自然災害はその者達が闘っている証と昔から言われている。ちなみに悪しき者達とは地球外生命体エイリアンの事で目が前後左右に四つで耳の代わりに頭に角がありそれがアンテナの役割をして意思を伝える事が出来るらしい。そして脳みそが大きいのか頭蓋骨が人間よりも大きく、手足は人間と同じだが指の数が三本しかないそうだ」


 みんなが『こいつ何語を喋っているんだ?』って顔をしている。意味がほとんど分からないだろう。オレも自分で言っていてよく分からない。


「エイリアン侵略を防ぐ特殊対策任務を負っているララーシャルは、輝く星から来た正義の使者に選ばれた森羅万象の正義の味方であり、この自称地球を守る精霊戦隊の五人の戦士達の内の一人であるピンクの仲間で、有事の際はその力を使い正義を執行する許可を貰っている」


 全員がオレの意味不明な言葉に混乱している。そして最後の詰めだ!


「簡単に言うと世界と自然を守る使者だ。オーファン、ベルリディア、分かった?」

「……御使いという方がこの世界と自然と人々を守る人なのですね」


 ベルリディアが考えながらオレが最後に言った言葉を解釈して言う。オーファンは前置きが難しすぎて混乱していたが妹の言葉で混乱が収まりつつある。


「その通りだ。これは帝国でも上層部しか知らない機密事項だ。この事を他言すると悪しき者達から殺されるから黙っている事、勿論先代さんも副ギルド長も口外しない事。喋ったら悪の組織に狙われて店どころか街が吹き飛ぶからな」


 兄妹は真面目な顔で頷き、先代と副ギルド長は何度も首を縦に振る。……少し脅しすぎたかな?


「精霊戦隊のピンクのモデルって私なの?」


 そうだよ、サクラがモデルだよ。残りの四人はいないから仲間探しの旅でもするか?


「ねえ、トルク。私が御使いって事になってない?」

「そのまま勘違いさせても良いんじゃない? ほらララーシャルは美人で神秘的だから似合っているよ」

「そう? って褒めて話をそらさない!」


 ララーシャルと言い争っているとノック音が聞こえて使用人が入ってきた。そして身分証らしき物を先代さんに渡す。


「身分証が見つかったようですね。それではこちらをお返しします」


 オーファンとベルリディアに身分証を返す。念のために本物か確認してくれ。……本物の様だね。良かった良かった。兄妹もホッとしているよ。

 さて、最後の用事が残っている。怨敵の居場所だ。


「最後にローランドの居場所を聞きたい。それからダニエルという者を探してほしい。傭兵ギルドに依頼すれば探してくれるか?」


 オレの言葉に副ギルド長は理由を聞いてきたので簡単に伝える。


「ローランドとダニエルという奴は復讐の対象者だ。二人は必ず罰してやるが居場所が分からない。先代さんも探してくれないかな? 勿論報酬は出すよ」

「分かりました。傭兵ギルドとして依頼を受けましょう。ダニエルという者の情報を教えてください。ローランド様の事も探してみます」

「私も商人としてのコネを使って調べましょう。依頼料は勉強させていただきます」


 副ギルド長も先代さんも依頼を受けてくれて良かった。これでここでの用事は済んだな。そんな訳でオレ達は商店を出る事にした。


「ララーシャル様、トルク様。今後もこの商店をご利用してください。何かの用には私共に言って頂ければ幸いです」


 先代さんの営業努力は流石だと思う。とりあえず礼を言って何かあれば訪ねる事を約束した。


「それでは私共も失礼します。ロックマイヤー公爵家までの馬車を用意していますのでご利用ください」


 副ギルド長は貴族達が乗るような高そうな馬車を用意してくれた。みんなで乗りロックマイヤー公爵家に向かう。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっと因果と因縁が巡りだしましたね 読者的には長かったですが、作品の中ではそれ程でも無いような気もしてます。 更新ありがとうございます!
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