行動で示すよりも言葉の方が伝わることもある!!
次の日の朝を迎え言われた通り(強制といか脅迫され)魔王を倒すべく旅にでた、魔王の息子ナロウとその付き人ハイドとメルラ。
城門を出て橋を渡り、街の中を歩き外の世界へ向かう。
・・・はずだったのだが。
「つ・・・疲れた・・・」
全身汗だくで最早動くことが困難・・・。
おまけに足が震えて立てないし・・・。
生まれたての小鹿ってこんな感じなのかな・・・。
・・・まさかここまで体力が低下し、日光の光が苦しいとは・・・。
「大丈夫ですかナロウ殿」
剣士のハイドが手を差しのげてくれた。
「あ・・・ありg」
「ナロウさんに触れないで下さい」
杖でハイドの手を払いのけた魔法使いのメルラ。
「そんな汚い手で私のナロウさんに触れないで下さい」
誰が何時あなたの者になったんですか?
俺は許可してませんよ。
「確かに。汚れた手で触れるのは良くないな。すまなかった」
ハイドさん素直に謝らないで下さい。
これ嫌味ですよ。
わかってますか・・・、いや、わかってないですよね。
「さぁナロウさん。私の手を掴んで下さい」
メルラって可愛いよな。
ここいらの人を見たけど段違いでレベルが高いよな。
優しい笑顔で差し伸べるその姿だって天使のみたいだし。
本当はいい子なんだよな。
「ありがと。メルラ」
メルラの手を取り立ち上がる。
「この手一生洗いません♪」
「洗って下さい。お願いします」
いい子だけど、多分いい子なんだろうけど・・・。
中身が残念過ぎるよ・・・!
昨日も寝ている時に何回も進入してきたし。
鍵をかけていたのに一体どうやって入ってきたんだ。
危うく貞操を奪われるところだった・・・。
・・・・・・・・・俺の馬鹿。
奪われてよかったんだよ!!
「どこかで少し休みますか?」
「出来れば、お願いします」
俺のHPは残り一桁です。
「わかりました。ハイドさん。どこか休める場所を探してくれますか」
「わかりました」
ハイドは城下街を散策しに行ってくれた。
「ごめん。一日目からこんなんで・・・」
「いいんです。昨日の疲れもまだ取れてないんですよね」
「ま、まぁ・・・ね・・・。それに眩しくてちょと・・・」
「じゃあ、あそこで待ちましょうか」
メルラが指差した場所は細い路地だった。
奥は暗くて見えない。
とても嫌な予感がする・・・。
「さぁ早く行きましょう」
「ちょっと待って!ここでいいよここで!!」
「でも眩しいと・・・」
「だ、大丈夫だよ!うん!!」
「ほら、早くしないとハイドさんが来ますから」
「やめて!お願いだから!!」
奪われていいとは言ったけど、あんな場所は嫌だ!!
もし人に見られたりしたら、俺生きていけない!!
「大丈夫ですよ。私はいつどこででもダーリンが言えば応じます」
「言ってないし言わないからね!!それにダーリンは止めてくれ!」
「二人で新しい人生を」
「イヤーーーーーー!!!!」
もう駄目だ。
俺ここで羞恥プレイを受けるんだ・・・。
人生終わった・・・。
「どうかしたのですか?」
「ハイドさ~~~~~ん!!!」
「・・・っち」
「ど、どうかしましたかナロウ殿」
「よかった。本当によかった。・・・グスン」
「何があったかはわかりませんが、これで涙を拭いて下さい」
「あ、ありがとう・・・」
ハイドさんから離れないようにしよう。
「お早いお帰りでしたね」
「ええ。ナロウ殿を早く休ませたかったので」
「私が骨の髄まで休ませるつもりでしたのに・・・」
・・・聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない・・・。
「案内しますのでついて来て下さい」
「はい!!」
「・・・・・・」
「・・・あれ・・・」
ここは・・・。
「目が覚めましたか」
「ハイドさん・・・ここは?」
「宿屋です」
「・・・宿屋?」
どうして宿屋にいるんだ?
「申し訳ありません。実は――――――」
ハイドさんが状況を説明してくれた。
どうやら俺は休んでいた店で店員の間違いで酒を飲んで寝てしまったらしい。
それで近くの宿屋に担ぎ込まれて今まで寝ていたと教えてくれた。
「そうだったんだ。じゃあまだ街から出てないんだ」
「その通りです」
外は夜だなぁ。
まさか出発したのに、いまだに街を出れないなんて・・・。
「今日はこの部屋で休んで明日から出発する事にしましたので、ナロウ殿は休んで下さい」
「あ、はい。すみません俺の性で・・・」
「お気になさらず。では・・・」
ハイドさんは部屋から出て行った。
「・・・ハァ~~~~」
「どうしたんですか?ため息をして」
「!!?」
今メルラの声がしたぞ。
「・・・・・・」
・・・いない。
「気のせいか・・・」
「何がでしょうか?」
「!!?」
聞き間違いじゃない!
どこだ!
どこにいる!!
「・・・よいしょっと」
何故ベッドの下にいたんですか!!?
「体は大丈夫ですか」
「・・・・・・」
「どうかしましたか?」
「い、いや・・・何でもない、よ」
「よかったです」
「・・・メルラ」
「心配したんですよ。急に倒れたので」
心配してくれてたんだ・・・。
やっぱり根は優しくていい子なんだ。
安心させてあげないと。
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
「なら子作り致しましょう」
前言撤回。
俺の貞操大ピンチ!!!
「ま、待って!」
「どうかしたんですか?」
「どうかするよ!!どうしてこうなるの!!!」
「ダーリンは私の愛を受け止めてくれた方ですから当然ですよ」
「理由になってないよ!!」
「・・・いや・・・なんですか?」
っく!
何でそんな悲しい顔する!!
俺が悪い事したみたいじゃないか!
「嫌いなんですか・・・」
「そ、そうじゃないよ・・・」
「嘘は言わないで下さい。私との距離をおこうとしていることわかりますから」
「・・・・・・」
「私よくわからないんです」
「・・・・・・何が?」
「今まで私の愛を受け止めてくれた方いませんでした」
「そう・・・だね」
あの魔法を食らえばね・・・。
「そんな中ナロウさんは受け止めてくれました。・・・私嬉しかったんです。私の全力を受け止めてくれる方がいたことに」
「・・・・・・」
「私誓ったんです。ナロウさんにこの体、心を全部捧げると。でもナロウさんはそれをずっと拒んで・・・。嫌いなら嫌いって言って下さい。もうこんな事二度としません。お供も嫌でしたら城に戻ります」
・・・そっかぁ。
俺は大変失礼な事をしてしまっていたようだ。
ギャルゲーキング失格だな・・・。
メルラは知らなかったんだ。
好きになった人への対応の仕方を・・・。
「メルラ」
「・・・・・・はい」
「ごめんね」
「・・・え?」
「俺はね、メルラの事嫌いじゃないよ。寧ろその逆だよ。今まではメルラの行動に戸惑って、距離をおこうとしたけど、俺が間違っていた。今後はちゃんとどうしてほしいか伝えるから。逃げないから」
完璧なセリフだ。
高感度メーター急上昇待ったなし!
「ナロウさん・・・」
「メルラ・・・」
「浮気をしたら許しませんよ」
「・・・・・・」
あれ~・・・。
何かおかしいぞ。
俺の意味伝わってなかったのかなぁ~・・・。
「わかりましたか」
「あ、はい」
「では部屋に戻ります」
「あ、はい」
「一緒に寝たい時は言って下さいね。何時でも準備は出来てますので」
そう言って部屋から出て行った。
「・・・・・・」
あれ?終わり?
襲ってこない?
一応・・・聞いてくれたのかな?
今度からはちゃんと言っていこう。
メルラの為になるし。
・・・俺の為になるしね。
「では出発しましょう」
「行きましょう。ナロウさん♪」
「・・・あの~メルラさん」
「何ですか?」
「そんなに抱きつかれると歩きにくいです」
特に腕から伝わる胸の感触がヤバイです。
それに周囲の反応が痛くて怖いです。
「イヤ・・・ですか?」
「嫌じゃないけど・・・」
「ないけど?」
「・・・手を繋ぐで勘弁して下さい」
「はい♪」