表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 鶴切 命

確かに単語帳のショウケースでは、魚たちは規則正しく並んでいて、観察しやすい。

しかし、単語帳の魚は死んでいる。名札と見比べれば名前は覚えられるかもしれないが、もはや泳がない魚を見ただけでは、それを知ったとは言いがたい。


それを知ってか、例文集の生きた魚を見に行こうという人がいる。そう、例文集の例文の中では、魚たちは生きて泳ぎ回っている。

しかし、そこでは客に見せるべく環境が美しく整えられ、例文の中の流れは人為的な水流に過ぎない。


やはり、魚は自然の中で泳ぎ回ってこそなのだ。会話や物語の流れの中で、生き生きと泳ぐ魚たち。文脈に放たれた魚は身を翻し、生命感の溢れる体を躍らせながら、我々の眼前を輝き通り過ぎて行く。そのとき、まさにその瞬きほどの間に、彼らは真の美しさを閃かせるのだ。


目をみはれ、息をひそめて耳を澄ませ。そら、跳ねたぞ──水音がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ