告白
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ワインレッドのポロシャツにベージュのコットンパンツ、安っぽい白色のサンダルを履いたひかるのお母さんが、うつむいたままドアを開けて静かに病室へ入ってきた。
「あ、こんな夜中にお呼び立てしてすみません。ひかるのケータイを見たら短縮1番に桜庭先生の番号が入っていたものですから。それに、先生なら今回の自殺未遂の原因をご存知かもしれないと思って……。とにかくさっきは気が動転していて、考えるよりも先に電話をかけていたんです。こんな夜中に本当にごめんなさいね」
「いいんですよ。僕も心配で居ても立っても居られなかったんですから。ひかるさんの容体はどうなんですか?」
「意識不明の重体です。切った傷が深くて、動脈にまで達していたんです。さっき処置をしてくれた先生は今晩がヤマだっておっしゃっていて……」
ひかるのお母さんは声を落として、下を向いた。声が小刻みに震え、頬から涙が伝っていた。
「今夜がヤマ……ですか」
俺は両手で額を覆ったまま膝からガクっと崩れ落ち、その場にへなへなと座り込んでしまった。まるで足全体が麻痺してしまったかのように、力が入らない。ひかるのお母さんが慌てた様子で、「先生! 先生! しっかりしてください!」と大きな声を上げて俺の腕をつかんだ。
「ごめんなさい。僕が悪いんです。本当に……申し訳ありませんでした」
俺は気が動転し、気がつくと床に頭を擦りつけて土下座をしていた。
「先生、困ります。頭を上げてください。お願いですから」
「僕が……僕が……悪いんです」
頭に血が上り、俺は今にも発狂しそうな気分だった。
「先生、どういうことですか? やっぱり学校で何かあったんですね? いじめですか?」
「いいえ。そうじゃなく……」
「なんですか? きちんと話していただけませんか? 先生、しっかりしてください」
静かではあったが、責任を問うような厳しい声が頭上から浴びせられた。
「実は……ひかるさんと僕は……」
「え?」
「付き合っています」
ひかるのお母さんは眉間に深くシワを寄せ、「うちの子が先生と付き合っているってことですか?」といぶかしげに聞いた。
「その通りです」
俺は罪悪感に押しつぶされ、顔を上げることができなくなっていた。胸の閉塞感が一気に強まり、呼吸困難に陥りそうだった。
「なんてことなの……」
「本当に、本当に申し訳ありませんでした。僕のせいで、ひかるさんは傷ついて……こんなことになってしまったんです。どうか許して下さい」
次から次へとこみ上げてくる自責の念から逃れることができず、俺はついに禁断の罪を告白し始めていた。