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072⚫️演技と本音

今回の任務も無事終わった。

と、いうことは、いよいよ、ルナの次の任地の通知がある、ということか。

うん、わし、今度こそ、ちゃんと自分の気持ち、伝えなアカン!


グレッグとお別れなのかな。

面接、機動艦隊のすばらしさばかり言っちゃった。

あれって、面接官、どう思ったかなあ?

やっぱり、印象、悪かったかな?

自分の思う人事になんてならないよね。

あ〜、どこに配属になるの?

グレッグと離れるなんて、考えたくないよ〜!


艦長、どうされるのだろうな?

ルナとご結婚されないのか?

わたしは古風だから、

こういうときは男がビシッと言わなければならない、と思うのだが。

古いかな?


もう、艦長、さっさとキメちゃいなさいよ!

女の子を待たせちゃ、いけないぞ!

うちみたいに、いい家庭、ちゃんと作りなさい!

そんでもって、うちの5人の子どもたちと、野球チーム結成よ!

そのためには、4人は子どもをつくるのよ!


ルナ、もう、自分から告白しちゃえよ!

僕はお似合いのカップルだと思うよ!

艦長はいい人だから、きっとふたりで幸せになるぞ!

うーん、このふたりを主人公にした小説も書けそうだ!



「では、ルナの第1回送別会を開きま〜す!」

マリカの言葉で始まる送別会。

実はこの後も第5回まで開催予定である。

宇宙艦隊は長期の任務となるため、帰還すると結構な休暇となる。

そのため、クルーたちの中には乗船仲間としばらく共に過ごす者たちもいるのだ。


ー・・・えー、みなさん、もりあがっている所、恐縮です。

「あれっ?’ジュピター’?どうしたんや?まだ、つながってるんか、わしら?」

「お久しぶり〜!元気にしてた?」

ーマリカさん、わたしは常に元気なんです。

「で、どうしたのですか?」

ーお静かに・・・。今、お店に入ってこようとしている4人組、テロリストです。

「えっ?」「なに!」「ホント?」「いかんな。」「どうしよう?」

ー声に出さないで、頭の中で発言してください。説明しますね。


ーなるほど。ほんなら、’ジュピター’のシナリオどおり、やったらええんやな。

ーそうです。それぞれに台本を送りました。

ーあっ、見える!恐竜艦の時と同じようなマニュアルですね。僕、これ好きです!

ーじゃあ、やるよ!わたしからよね!


「艦長、こらあ!いったい、いつまで黙ってるんだあ!さっさとルナに告白しなさいよお!」

ーほんとにそうなんだから!セリフに力が入るわよ!

ーあっ、わしの番やな。

「なに言ってるんだ!それが上官に対する言葉か!」

ーマリカさんの言う通りや。わし、告白せなな。台本にはお国ことばは、なしやねんな。

「そうです。あなたは、艦内規律がなっていません!」

ーいや、そんなことありませんよ。マリカさん、いつもちゃんと心遣いしてくれています。副長のわたしのサポートまで。ありがたい。いつも感謝!

「副長、今は勤務時間外なんだから、規律、規律っていわないでくださいよ!そういうところが、年寄のダメなところだあ!」

ー副長がいるから、艦が締まるんだよな。いや、艦長もいいよ!でも、やっぱりふたりがいてくれないと、僕、困るんだよな。

「グレッグ、そうやってゴマかしてばっかり!わたしのこの気持ち、どうなるのよ!」

ーって、どうなるのかなあ?一緒にいたいな。みんなといたいな。おっと、ここで馬鹿あ、っていって、このお皿を投げるのね。

「馬鹿あ!」

ールナ、ナイス!ケンカ騒ぎに戸惑うテロリストたち!あっ!狙い通りに、頭にお皿が直撃!わたしの操艦よりいいコントロール!男が倒れる!おっと、わたしの出番ね。

「ごめんなさ〜い!だいじょうぶですか?」

ーと言って抱き起こす、っと。うん、順調、順調!

「いやあ、申し訳ありません。若いのが暴走してしまって。この年寄に免じて、どうかお許しください。」

ーというセリフとともに、頭を下げつつ拳骨でふたりめの足の甲にパンチ!

ーのたうち回るふたりめに、僕がかけより

「あっ、どうしましたあ?いけない!これはツマサキイタイ発作だ!」

ーなんてあるわけないでしょ?わたしのセリフね!

「すいません!カッとなっちゃって・・・。本当にごめんなさい!」

ーうまいな、ルナ!そしたら、わしの出番やな!

「わたしの管理責任です。すぐに病院に運びます。もちろん、賠償もします。

ーって、恐縮したフリで、4人目の後ろで店のドアを開けると見せかけて、背後から絞め落とす、っと!いっちょう、あがりや!

ーそれでは、はい、みなさんで最後のひとり、やっちゃってください!

ーやったるで、’ジュピター’!

ーわたし、こう見えても柔術の黒帯ですからな。

ーまかせなさ〜い!

ー僕のケリ、味わえ!

ーわたしの送別会、忘れられないものになったわ!


店の床でのびる4人。銃器や爆弾を持っていることが、すぐにわかる。

惑星ポリスが飛んでくる。


ーいやあ、名演技やったな!わし、いけてたんちゃうか?

ーステキ!グレッグ!

ーありがと!やっぱり、ルナのいてへん毎日、考えられへんわ。・・・わしと結婚してくれへんか?心からのお願いや!

ーうん!もちろん!ありがとう!言ってくれたあ!

ーよかった、よかった!

「あれっ?なんか台本どおりにやってたら、みんな本音がダダ漏れじゃないの?」

「声にださないで、っていわれたから・・・なんか心の呟きまで出てしまうの?」

ーみなさあん、お静かに。まわりのお客さんたちには、全く聞こえていないのですから。そうそう、グレッグ!ロード・ラベンダーからメッセージが届きました。

「提督から?なんて言うたはるんや?」

ーでは、ご披露します。コホン。’ご婚約、おめでとうございます!これで2つめの相談内容も、無事解決ですね!お幸せに。’・・・以上です。

「やられたあ!さすが、提督!ありがとうございましたあ!」


調査艦隊のメンバーの脳内に、幸せなメロディーが流れる。

そう、ここまでが、わたしの役割でした。

ちなみに、ナレーションもそうです。

では、次回をお楽しみに。

あなたの’ジュピター’でした。


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