決戦②
~特別攻撃隊の紹介~
【レオンハルト】
辺境の小国、オルドヴィア王国の王子。魔王を討つため、特別攻撃隊を編成した。度が過ぎるほどの生真面目。
【グン】
レオンハルトに育てられたフェンリル(神獣の銀狼)の双子の兄。冷静沈着で自信家。
【カミロ】
騎士。故郷の村を魔族に蹂躙された過去を持つ。陽気で荒っぽい。
【ブリュー】
カミロに育てられたフェンリルの双子の弟。好奇心旺盛で無鉄砲。
【ルカ】
魔法使い。奴隷のように働かされていた採掘場から連れてこられた。温和で仲間思い。
カミロには、朧気ながらまだ意識があった。
(この状況……どうなった。俺だけが生きているのか? ……なぜだ)
痺れきった体で泥沼のような意識を這いずり、彼は背中に感じる奇妙な重みの正体を悟った。ブリューだ。ブリューが最期の力を振り絞り、自分を庇うようにして覆い被さってくれたのだ。
感傷に浸る時間は一秒もなかった。彼は戦士として、即座に思考を切り替える。
(この部屋に入ったこと自体が間違いだった。奴は部屋全体に電流を巡らせる細工をしていたのか、あるいは……。いずれにせよ、勝機があるとすれば奴を屋外へ引き摺り出すことだけだ。だが……動けるのか、俺の体)
迷えば死ぬ。カミロは自らの魂を燃やし、己を鼓舞するように地の底から響く雄叫びを上げて立ち上がった。
「うおぉぉおおーーーッ!」
「おぉ……っ?」
玉座で余裕をかましていた幹部が、間抜けな感嘆の声を漏らして振り向く。カミロはその背中に必死で組み付くと、岩のような巨躯をバックドロップで窓の外へ放り投げようと、折れそうな足を踏ん張った。だが、巨躯の主はぴくりとも動かない。
その時、カミロの咆哮に呼び覚まされたように、ブリューが黄金の瞳をカッと見開いた。
主を助けるべく、ブリューはカミロごと幹部の体に噛みつき、渾身の力で後方へと跳んだ。
窓枠ごと砕け散る石壁。夜の冷気。
カミロと幹部、そしてブリューは、もつれ合いながら漆黒の虚空へと投げ出された。
空中で体制を立て直そうとする幹部の頭上に、ブリューが狙いを定める。その兜を足場にして強く踏みつけた。
着地の衝撃を待たず、ブリューは攻め立てる。鋭い前足の爪を鎧の隙間に滑り込ませ、強引に引き裂いた。カミロもまた、暴れる巨腕に絡みつき、「腕ひしぎ十字固め」を決める。
ミシリ、グシャリと不快な音が響く。さらに足首をアンクルホールドで固め、関節という関節を執拗に破壊し続けた。
二人の決死の肉弾戦がどれほど続いたか、もはや分からなかった。
ただ、気づいた時には、漆黒の鎧兜は動かぬ残骸へと変わり果てていた。
トドメを刺したことを確認するため、カミロが血塗れの兜を剥ぎ取る。白目を剥き、首のちぎれかけた無惨な悪魔の顔が、暗闇に晒された。
二人は、激しく肩を揺らして息を整えるだけだった。言葉は、もう必要なかった。
雲の切れ間から月明かりが零れ落ちると、戦場に立つブリューの美しい銀色の体が、神々しく輝いた。
「……最高だぜ」
いつもの訓練のように、カミロが掠れた声で称えた。すると、ブリューは長くしなやかな首を伸ばし、カミロの血と泥に汚れた顔を、慈しむように舐め上げた。
「……お前も、最高だぜってか」
力なく笑い、カミロは震える両手でブリューの大きな顔を包み込んだ。そして、その頬に深く、ありったけの親愛を込めて唇を寄せた。
ふわぁ――。
ブリューの口から、大きなあくびが零れる。
「……こんな時でも、あくびすんのかよ……」
カミロは目尻を熱くし、ブリューの広い額に自分の額を預けた。
言葉にはならないその想いが、冷え切った夜の空気に溶けていく。
彼らが掴み取ったのは、人類の明日であり、そして何より、愛し合った二人の「命」という人生の輝きだった。
数ある作品の中から私の作品を選んでお読みいただき、誠にありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
『六年制ニート、時々、世直し。〜愛犬の介護をしたいので、バカな男はまとめて沈めます〜クソガキ殲滅!』
2026/1/19、ネトコン14に応募しました•*¨*•.¸¸♬︎
私と愛犬の体験を元にした渾身の一作です(`・ω・´)キリッ
後書きの下の画像(アメコミの背景に黒パーカーの女の子がポーズを決めている写真)がリンクになっております。
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