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炎上覚悟

「私だって、普通の高校生みたいに恋愛したいよ。今まで青春なんて程遠い生活をしてきたんだから。高校生にもなれば、彼氏と遊園地とかでデートしたりしたくなるのは当然のことでしょ」


 体育座りをしながら顔をうずくめる。

 双葉がアイドルデビューをしたのは中学2年生の時から。


 当時は他のジュニアアイドルユニットに所属しており、知名度はさほどなかった。

 そこから『フォーリン♡エンジェル』を結成。一躍有名となったわけだ。

 思春期真っ只中に恋愛禁止のアイドル生活。


 普通の高校生とはかけ離れた生活だ。一度くらい、普通に過ごしたいと思っても不思議なことではない。


「その気持ちは分かるけど……いいのか? メンバーだったりファンのことは」


 一番の心配はそこだ。

 これは双葉だけではなく、周囲にも絶大な迷惑が掛かる。所属事務所、担当マネージャー。メンバー。その他大勢に。


「私は可児くんが居れば他は別にどうでもいいの……ファンもメンバーもどうせ『だ天使ちゃん』の私にしか興味ないんだから」


「日頃から愚痴を聞いてる俺だから納得できるけど、その考えをみんなが理解するのは難しいと思うぞ?」


「別に理解されなくていいんだよ私は。これは可児くんとの青春のために炎上覚悟でやったことだからね!」


 と、ドヤ顔でサムズアップする。

 そこ、ドヤ顔で言う所じゃないんだけどな……

 ていうか本格的にマズいんじゃないのかこの状況。


 さっきから双葉のカバンの中からスマホが鳴り止んでないし、こんな呑気にしてていいのだろうか。


「引退……俺とどうこうは一旦置いておいて、グループに未練とかはないのか? せっかく全国に認知されるくらい有名になったのに」


 努力をすべて水の泡にするような行為だ。

 少しの未練もなかったらおかしい。


「未練? そんなのないよ」


 心配そうに聞く俺に、双葉はポカンとした顔を浮かべる。


「え、なんもないの?」


「だって、私が『フォーリン♡エンジェル』を有名にさせてあげたんだよ? 私のおかげでここまで有名になれた。それを自分で終わらせて何が悪いの? って私は思うんだよね」


「ぼ、暴論だ」


「美論でしょ」


「悪党の言うセリフにしか聞こえない……」


「それに、自分で作り上げたものは自分で壊さなきゃ楽しくないじゃん?」


「さらに悪党感が増したぞ」


 双葉がここまで『フォーリン♡エンジェル』を有名にしたということは間近に居た俺が一番知っている。


 俺達が出会ったのは2年前。高校の入学して1か月が経った頃だ。そして、フォーリン♡エンジェルが活動し始めたのが、高校一年の夏ごろ。

 ずっとアイドル活動を双葉を通してだが追ってきたんだ。双葉の頑張りは誰よりも分かっている。


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