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番外編2 僕の幸せ②

 

 

 ──ああ、目覚めたく、ないなぁ。

 

 

 少しずつ遠くなる意識の中で、確かに感じる左手の小さなぬくもり。

 最後の最後まで、それを確かめるように、握りしめる手に力を込めた。

 

 

 ***

 

 

「アレン陛下、おはようございます」

「ああ……おはよう」

 

 目が、覚めた。

 見慣れた天井。見慣れた部屋。

 

 そこに、彼女はいない。

 

 

 当然だ。彼女は──ヴィオラは、僕がこの国から追い出したのだから。

 

 

 侍女に身支度を整えて貰いながら、今日の政務を思い返す。

 

 今、この国は混乱に陥っている。

 それも当たり前だと思う。なにせ、国のアイドルのような存在だった王妃が、とんでもない犯罪者だと判明したばかりなのだから。

 

「陛下、恐れながら申し上げますが、……もう少し、休んだ方がよろしいのでは……」

「いや、大丈夫だ。……気遣い、ありがとう」

「……いえ。これで失礼致します」

 

 きっと僕は、もっとも愚かな王として歴史に名を刻まれる事だろう。

 それもそうだ。

 ……『彼女』の裏を見抜けず、罠に嵌り──ヴィオラを、国外追放という形に持って行ってしまった張本人なんだから。

 

 そのヴィオラも、つい先日鬼籍に入ったと連絡が来た。

 ……流行病だったそうだ。

 

「──……ヴィオラ」

 

 愛しい、愛しかったヴィオラ。

 彼女となら、きっと素敵な家族になれると、……お互いを支え合える、夫婦になれると、そう思っていた。

 

 ……思って、いたのに。

 

「僕は、……間違った」

 

 婚約破棄を言い渡した時の、ヴィオラの顔が忘れられない。

 なぜ、僕は彼女を信じてあげられなかったんだろう。

 なぜ、僕は『彼女』を信じてしまったんだろう。

 

 なぜ、なぜ、なぜ──!!

 

 

 なぜ、僕の隣に、ヴィオラが居ないんだ……!!

 

 

 ぐしゃりと前髪を握りしめる。

 苦しくて、苦しくて……それでも、逃げることは許されなくて。

 僕は仕事に打ち込むことで、何も考えなくて済むようにしていた。

 ……これも、逃げなんだろうけども。

 それでも、そうでもしなければ、壊れてしまいそうだった。

 

 目を閉じれば、ヴィオラの笑顔が蘇る。

 眠りに落ちれば、『あるはずだった』幸せな夢が絡みつく。

 

 今日も、一体何時間眠れたんだろう。

 片手で数えれる程度の時間しか、ここ数ヶ月休んでいなかった。

 

 逃げるように、夢を見ないように。

 己の罪を償うべく、王としての仕事に打ち込んで。

 

 それが『正しい選択では無い』と分かっていても、……手を止めることは、僕には出来なかった。

 

 

 ああ、願わくば。

 僕が願うことが許されるならば。

 

 もう一度、君の笑顔をこの目にみたい。

 そして、そして──

 

 

 ──君が、笑っていられる未来が、ありますように。

 

 

 それが、僕の『最期の願い』。

 

 

 

 

もしもアレンと結ばれていたら、な夢のお話。

ヴィオラは、レオよりも本当は悲しいくらい優しいアレンとの方が相性が良いんですよね。

ただ、リリィという存在がいる限り、絶対に訪れることのなかった2人の『もしも』のお話。


読んで下さりありがとうございました。

番外編もあと1話で終わりです。

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