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3. ノビタは罪滅ぼしをした


そうしてノビタとヒデトシがAIを公開して10年がたった日、ノビタは記者会見を開いた。今までずっと姿を現さなかったノビタが記者会見を開くということで、多くの人が注目した。

ノビタはやせ細っていた。とてもシワも増えて老けていた。だが、しっかりとした口調で話し始めた。


「わたしはスポーツという何千年も続いてきた文化を壊してしまいました。そして、多くの幸せを奪ってしまいました。私がしたことは許されることではありません。しかし、今日この場でひとつ報告させていただきたいことがあります。昨年、私と一緒にAIを開発したヒデトシが亡くなり、彼がAIを使って築いた資産が私のものになりました。これが1兆円ありました。」


会見場は一瞬静まり返ったあと、怒号が飛んだ。ノビタは怒号が落ち着くまで少し待ち、話を続けた。


「わたしは、このお金を障がい者スポーツに使おうと思っています。まず最初に足のない方のための義足の研究に既に500億円使いました。この義足を付けた方は、100メートルを8秒台で走ることができるようになりました。また、義足ですので参考値ではありますが、走り高跳び、走り幅跳びの世界記録も出せました。」


会見場はさっきの怒号が嘘かのように音ひとつなく、誰もがノビタの話を聞いている。


「健常者よりも義足を付けている人の方が、高い運動能力を発揮できるようになっていますし、義足の人の走る速さはどんどん速くなっています。視線の向きと義足の動作を連携させることで、バスケットゴールに遠くから蹴ったボールを入れられるようにもなりました。私はこの義足や技術を使ったプレイヤーがプレイするサッカーリーグを作りたい。次々と新しい技術を持ち込むサッカーの勝敗はAIで予想できません。」


ノビタは涙を流し、声をふるわせながら、こう続けた。

「私が言うべきことではないことはわかっています。でも、言わせてください。私は、もう一度、サッカーで熱くなりたい。サッカーを大声で応援したいんです。」



ノビタの作ったサッカーリーグであるノビーリーグは、キャプテン翼のような試合だった。見たことのないスピードでドリブルする選手や、まるで空中に浮いているようなジャンプ力でヘディングする選手、蛇行するようなシュートを打つ選手、空中のドローンの画像を解析してスルーパスの出し先を選択するフォワードと、さらにそれを解析してインタラプトするディフェンダー。


キーパーの腕は伸び、スライディングの足は伸びるが、スローインの腕が伸びるのは止めようがないため禁止になった。空中に蹴り上げたボールを自分で蹴り落とし落ちてきたところをダイビングヘッドで叩き込む、メテオスマッシュと呼ばれるシュートも流行った。


みんな、サッカーの試合をまた見に行くようになった。スタジアムにユニフォームを着たサポーターが戻ってきた。ノビリンカップと呼ばれるワールドカップも開かれるようになった。それぞれの国が威信をかけて技術を競った。


そして、スポーツで使われた技術を応用し、日常で使用される義足も格段に進歩した。もう義足や義手であることは言われないと気付けないレベルになっていた。車いすの人もいなくなり、杖をついて歩く老人もいなくなった。ノビリンカップのために世界中が様々な技術を競ったため補助器具のレベルが向上し、寝たきりになる人はおらず、何歳になっても歩くことができる時代となった。そして、ノビスケも、普通に歩けるようになったのであった。


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