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清き風は麗しく舞う  作者: 斎木伯彦
耳飾りの徴
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耳飾りの徴

 〈耳飾りの徴〉


 地上。

 それは地下族にとっては永遠の憧れの土地である。空には太陽が燦然と輝き、全ての生命在る者にその恵みを与え続ける。魔法的な光しか知らない地下族にとっては、その輝きはまさに神の力を感じさせるのであった。

「私は戻って来た……」

 地下の抜け穴から地上の光を仰いだ一人の男性はそう呟いた。黒の衣装を(まと)った彼にとっては太陽の光は眩し過ぎるのか、目を細めて周囲の様子を窺う。瓦礫が散らばる廃墟。かつては荘厳な佇まいを見せていた、彼らの祖先が築き上げた地上の都の成れの果てだ。

「彼女は、どうしているだろうか?」

 地上で出会った一人の女性、彼はその彼女に心を奪われていた。本来ならば彼には他に愛する女性がいたのだけれども、その女性は既に他界している。それよりも地上の大半を支配する皇国の皇族である彼女に、素性の明らかでない彼が近付けたのは、全くの偶然と言って良かった。危機に瀕していた彼女を救ったのがきっかけだ。それ以後は密かに彼女との逢瀬も続けている。

「彼女に会いに行こう」

 微笑む彼女の顔を思い浮べながら、彼は廃墟から皇都へ向けて翔び立った。

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