23話
俺は妃奈と舞台へ上がると更に会場が騒がしくなった。会場には何台ものカメラがセットしてあり、中央には今にも走り出しそうな程、興奮している者までいた。
「こ、これどうぞ……。」
そう言って俺と妃奈はマイクを渡された。俺は、妃奈とアイコンタクトを取る。
「皆さん!こんにちは!Heart Catcherの 如月 優斗です!」
俺が笑顔で挨拶をすると妃奈それに合わせて挨拶をした。
「皆さん、こんにちは!白石 妃奈 です!」
キャーー!
黄色い声援が飛び交う。
「今日は待ちに待った母校、清々高校でのライブです!皆さん、盛り上がっていきましょう!」
歓声が飛び交うなか、会場の照明が落ち、俺たちにスポットライトが当たる。
いよいよ始まるんだ。さぁ、いこう!
♪♪♪
※
予定では1曲のところ、俺たちはアンコールに応えて3曲歌った。
「「ありがとうございました!」」
俺たちは一旦ステージ裏へと移動する。この後は質問コーナーが予定されている。結構ハードスケジュールだ。
「お疲れ様、妃奈。」
「ゆうくんこそ、お疲れ様。」
「この高校でライブできてよかったよ!」
「私も!でも、ゆうくんが、あの優斗だって知ったらみんな驚くよね!」
「そうだな。これから質問コーナーだ。飛鳥さん曰く、まだ、付き合ってることは伏せておけだってさ。あと、映画の宣伝よろしくー!だって。」
「本当に飛鳥さんはちゃっかりしてるね。」
妃奈はニコニコしながら言う。今の時間が相当楽しいのだろう。勿論俺もそうだが。
「それでは質問コーナーの時間です。お二人とももう一度ステージはお願いします!」
俺たちが着替え終わり呼ばれるのを待っていると、司会からステージへと呼ばれた。
俺たちはステージへ上がる。そこにはイスと机が用意されていた。
さぁて、何が聞かれるのやら。
俺達は司会に促されるまま腰を下ろす。
「では、これから30分間程質問のお時間を取らせていただきます!それでは質問のある方挙手をお願いします。」
会場の人たちは一斉に手をあげる。妃奈が同じ高校とわかっているからなのか緊張はあまり見られないようだ。
「お二人に質問です!お二人はどのようにして出会ったのですか?」
どうする……。正直に言ったほうがいいのか……。
俺が迷っていると妃奈が間髪入れずに質問に答える。
「私と優斗くんが初めて会ったのは路地裏でした。」
会場がザワつく。正直俺も初めてこのことを聞いたら驚くだろう。
妃奈は雰囲気を変えるためにかニコッと笑い言った。
「実は私、方向音痴でこの学校に初めて行った時に迷ったんですよ!いやー、路地に出た時は流石にヤバい!って思いました。」
会場が一気に明るい雰囲気へと戻る。
「でも、そこで怖ーいお兄さん達に絡まれちゃって、どうしよう!ってなってるところに優斗くんが来てくれたんです。彼と初めて会ったのはその時ですね。」
すると一人の男子生徒が手を上げた。
「優斗さんに質問なんですけど、なぜ、助けに行くという行動ができたんですか?」
俺は少し考えるとある答えに行き着いた。
「そうですね。単純にこのまま見過ごしたら後悔すると思ったからですね。あの時は無我夢中でしたよ。どうやったら妃奈ちゃんを助けられるのか!って。」
すると話は更にヒートアップし、恋愛話が大好きな女子が聞いてきた。
「それで優斗さんはどうやって妃奈ちゃんを助けたんですか?」
俺は妃奈に目配せすると妃奈はニコッと笑った。多分、言っても良いと言うことだったのだろう。
「初めは知り合いのふりをしようとしたんですよ。でもあの時、私は彼女のことを知らなくてチンピラにバレちゃったんですよ!その時は流石に肝が冷えましたねー。」
会場から笑いが生まれる。
「それから考えたんですよ。関係性が弱かったんじゃないかって。だから彼氏って言えば引いてくれるかなぁって思ったんです。だからチンピラに言ってやったんですよ。この人は俺の彼女なんです!って。
まぁ、結果は当たり前ですけど失敗しましたけどね。」
再び会場から、笑いが生まれる。正直笑いの空気が保たれているのはスタッフのおかげかもしれない。
「その後どうなったんですか?」
一人の女子高生の言葉でみんなの意識が俺に向く。
「えーっと、ボコボコにしましたよ?」
「え?」
そうか、空手のこと言うの忘れてた。
「実は空手をやってまして、そのおかげかなんとか倒すことができました。」
俺が話し終わると女子高生はお礼を言い座った。
「ありがとうございました。優斗さんてとても優しい方なんですね。しかもお強い。」
「いえいえ、運良く彼女を救うことができただけです。」
俺が言い終わると妃奈が口パクでナイスっと言ってきた。俺は内心ほっとした。
「それでは他に質問はありませんか?」
司会の方が聞くと、奥の方から手が上がった。
「お二人は映画の主演とヒロイン役をすると聞いたのですが、それは本当でしょうか?」
会場がざわつく。それもそうだ。俺たちの映画の についての話はまだ非公開中だからだ。俺は質問者に目を向けると、それは匠だった。
これは花澤さんの仕業かなぁ。つまり宣伝しろってことだよな。
俺はそんな憶測を立てながらもその機会を有効に活用させるためにアドリブで話した。
「はい。ありがたいことに私たちは『過去と未来と恋と』と言う映画に出演させて頂くことになりました。この映画は主人公である、神谷 和人 とヒロインの白濱 萌 のラブストーリー。」
妃奈がアドリブで話を繋げる。
「過去を変えるためにタイムスリップした和人。萌に忍び寄る男 桐谷 龍 。一体どうなってしまうのか!そんなドキドキが止まらない恋の物語です。上映は今日から2ヶ月後の12月25日です!」
「「皆さん劇場で待ってます!」」
会場から拍手が沸く。アドリブにしては良い出来だったと思う。会場のざわつきが収まると司会がまた質問がないか聞く。
「お時間の都合上、次で、最後となります。最後に質問したい方いませんか?」
すると後方から手が挙がる。
「それでは最後にいいでしょうか。優斗さんは高校生だとお伺いしましたが、すばり、優斗さんの出身校はどこでしょうか?」
これはマスコミ、テレビ局への取引材料だ。今聞いてきたと言うことはそういうことだろう。
「はい。今までは隠してきましたが最後に私の出身校について言わせていただきたいと思います。
私の年齢は妃奈ちゃんと同じ16歳です。そして私の出身校は──ここ、清々高校です。」
えーーーーー!!!!!
会場が一気にざわつく。テレビ局のスタッフも驚きを隠さないでいた。
「えー、皆さん静寂に。」
司会は驚きながらもまとめに入ろうとするが、一向に静まる気配はない。
「これを持ちまして質問タイムを終了させていただきます。今日はありがとうございました!」
諦めたのか、司会は強制的に終わらせた。俺と妃奈は手を振りながらステージ裏へ行く。観客も終了したのが伝わったのか俺たちに手を振り返してくれた。
「凄かったね。」
まだ会場がざわつく中、妃奈は俺に話しかけてきた。
「そうだね。まさか俺までここにいるなんて思いもやらなかったんだと思う。」
「ゆうくん、いつも隠れてるからねー。まぁ、一部の女子には隠れイケメンてバレてるけど。」
「そうなの?まぁ、とりあえずここから出よっか。」
俺は少し驚きながらも次の行動に移る。
「そうだね。」
俺と妃奈は急いで更衣室へと向かうのだった。果たして、優斗はバレずにクラスに紛れることはできるのか──。
受験生のため更新遅れます




