序章 -姉がブラコンを自覚するまで- part3
ブックマークしていただいてありがとうございます。
正直誰もブックマークしないと思っていたので吃驚しています。
警告:今回結構ゲスいキャラが登場します。
姉さんと出掛けた次の日。
平日なので学校へ行く。
「こうちゃん、行くよ~」
「ああ、少し待ってくれ姉さん」
「早くしてね~」
姉さんが玄関前で待っているので急いで支度をする。
今日は電車で通学する日なので途中まで
姉さんと一緒に電車通学をする。
ちなみに俺の家は駅まで歩いて15分くらいの結構いい立地の
ところにある。しかも一軒家だ。
よく買えたなうちの両親は。
なぜ一緒に行くのかというというと、
俺が行っている高校に一番近い駅と姉さんの通う大学の最寄り駅が
同じ路線内にあることと、電車通学もすることが決まった時に親父が
「浩太が朱音と一緒に電車に乗って守っていれば電車で痴漢に遭わないだろう」
という理由で電車で行くときはこのようにしている。
ただ大学の講義が朝の一番目などのときは
例外として車で一緒に行っている。
今日は電車で姉さんが大学へ通学する日だ。
支度を済ませ、玄関を出て一緒に駅まで俺も歩く。
「うふふ、こうちゃんと~通学~」
「俺と通学がそんなに嬉しいの?」
「嬉しいに決まってるじゃん!」
「でも毎日一緒に通学してるだろ?飽きない?」
「全然!もしかしてこうちゃんは飽きたの・・・・・?
私に飽きちゃったの?」
姉さんの顔がどんどん暗くなりそんなことを言い出すので慌てて
「ち、違う!そういうことじゃない!」
と答えると
「そうなの~?よかった~」
と言って姉さんは嬉しそうな顔になる。
その後他愛もない会話をしているうちに
駅に着き改札を通りいつも通りに電車に乗る。
遅刻寸前とかでない限り絶対にここ始発しか乗らない。
「よかった~今日も空いてるね」
「そうだね」
今日もそれなりに混んではいるが
よく都会の光景としてテレビに映るすし詰め状態ではない。
何でここ始発にしか乗らないかという理由の一つが
ここ始発の電車なら混雑がかなり少ないからということだ。
「まぁ、いつも通りだな」
「そうだね~。
じゃぁ、今日も・・・・・・守ってね」
「任せてくれ、姉さん」
電車通学の時の定位置について喋っていると電車が発車した。
駅に止まるたびに乗車する人が増えていく。
だが人に常に当たるほどには増えていない。
しばらくして俺が降りる駅に電車が着いた。
降りる前に姉さんに聞く。
「今日も大丈夫だった?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ俺は降りるから姉さんはこの後も
気を付けて」
「うん」
そして俺は電車を降り改札を出て学校を目指す。
学校に到着し自分のクラスの教室に入ると、
「おっす桜木!」
と俺の友人(仮)が話しかけてくる。
彼の名は小田清志。
名前とは裏腹に中身はドロドロに汚れている。
何でそう言い切るかというと、
「今日もあの美人な姉と登校か~羨ましいな~
で、どうなんだよ、今度こそヤったか?」
「は?」
「どうなんだよ~言ってみろよ~」
「お前は何を言ってるんだ」
「だってよ~あんな美人と一緒に住んでるんだぞ!
間違いが起こらないわけがないだろ!」
「意味不明な論理だ」
「それによぉ~姉って言っても所謂義理の姉なんだろ?
一瞬でもそういう対象としてみたことないのかよ?」
「ない」
「・・・・・まさかお前」
「いやそういうのではない」
明らかに教室で話すような話題ではないため
周りから
「また小田が卑猥な話をしてる・・・・・」
というヒソヒソ声が聞こえる。
全女子が軽蔑した目で
こちらを見る。
「この話はやめだ」
と俺が言うと
「ちえ」
と言いながら意外にあっさりと小田は引き下がる。
女子の侮蔑に満ちた目が怖かったのだろうか。
自分の席に座ると隣の女子が話しかけてきた。
「毎日大変ね」
「ああ、もううんざりだよ」
「ホントに彼はどうにかならないのかしら」
「キミならどうにかできるような気がするが」
「冗談。説得に失敗して彼の猥談に私が出てくるように
なるようなことは避けたいもの」
「あはは」
隣の女子とそんな話をしていると
ウェストミンスターの鐘が鳴り、担任の先生が入ってくる。
結局話を止めてから一度も小田は話しかけてこなかった。
「はーい皆さん席についてねー」
先生の一声で全員が席に着く。
連絡事項を一通り言った後帰る間際に
「あ、そうそう小田君。この後すぐに生徒指導室に来てね。
午前中授業がある教科の先生には許可を取ってるから」
とひどく冷め切った声で小田を呼んだ。
どうやら朝話していることを先生に誰かが報告したらしい。
てかそんな冷たい声を使っていいんですか先生。
要らない情報を言うとうちのクラスの担任は
30前半だが未だに本人談でHRのときにモデルのスカウトに
度々街中で声をかけらるというくらいには美人である。
先生のスタイルは実際、グラマーである。
それでいて人当たりがとてもいいので男女問わず
人気が高い。ちなみに独身だそうだ。
担当教科は英語だ。
それにしてもあんなに怒りに満ちた顔で
氷点下まで冷えそうな声色で言うんだ。
相当きつい指導が入るのだろう。
しかし当の本人は
「美人教師のお仕置きとか我々の業界ではご褒美です!!」
とか言いながら教室を出て行った。
幸運を祈ろう。
誤字報告随時受け付けています。