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姉という存在。  作者: とある山田
2章 -弟の決意-
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2章 -弟の決意- part7

注意:この小説はブックマーク非推奨です。

この小説をお読みなる場合は覚悟を持って自己責任でお願いします。


「ちょっと何おっしゃってるかわかりかねますね」

「恋人同士になろうと言ったのさ。正確にはフリだけどね」

「正気ですか?そんなことしたらあの人に何されるか」

「でも・・・・・・そこまでしないと自分のしたことで

浩太くんがどうなってしまったのか朱音はわからないと思うよ」

「そんなこと、あの人には理解しようとしても出来ないでしょう。

そして恋人ができたとわかったら嫉妬心に狂って良くて監禁、下手すりゃ死にますよ」

「・・・・・・・確かに朱音ならやりかねないね」

「そうでしょう?ですから響さん、他の方法を」

「それでも恋人同士のふりをしよう」

「私の話を聞いてましたか?バカなんですか?死ぬんですか?」

「浩太くんは一生このままでいいの?」

「私は申し上げましたよね?何年という時間を使ってもどのような

手段があろうともう変えようがないと」

「・・・・・・・・本当にそう思ってるの?」

「ええ」

「私が今からでもどうにかなることを証明しよう。

だからどうか、私を信じてこの提案を受け入れてはくれまいか」

「どのようなことがあってもその提案に私は頷くわけにはいきません」

「それでも、私としてはどうしてもこの案に乗って欲しいんだよ。朱音の将来のためにも。

お節介とわかっていてもね。このままだとキミの人生は悲惨なことになるだろうからね」

「だとしても、もう遅いです。それにそんな提案でどうにかなるなら

すでに問題は解決してますよ。ですので提案は拒否します。話は終わりです」

「う~ん、どうしても私のことを信じてくれないかぁ~。提案の話をした時には

乗ってくれるかもって思ってたんだけどな~。

まぁわかった。今回はここで一旦引くよ。けどでも私は諦めないよ」

「そうですか。でもそもそも何故そんなことをするのかわからないのに

ホイホイ簡単に提案に乗じる程私は馬鹿ではないってことは肝に銘じてください」

「理由を知れば受諾してくれるのかい?だったら今すぐにでも話すよ?」

「いえ・・・・・・・もう話は終わりましたよね?でしたら私はここで失礼します」

「そうか。ところでまたうちに来てくれるかい?」

「しつこく誘われたとしても二度と来ることはありませんよ。では、失礼します」

「ああ」


俺は挨拶をして響さんの部屋を出て家路につく。

相変わらず雨が降っている。

梅雨だから別に不思議でもなんでもない。

さて・・・・・・・・どうするかね。

いや、どうするかはわかっている。

俺はこの時腹を括った。突きつけるのだ。

意思を。拒絶の意思を。天変地異が起ころうと何があろうと

あの人の気持ちを永遠に受け入れない、

全ての言動を二度と信じないという意志表示を。

響さんとの対話で得られた収穫は、この問題の解決のためには

結局そうするしかないという事実だった。

正確にはこの状況を変える方策の全てを思考実験で試行したところで

それらによって導き出される答えは結局一つに辿り着くという

救いのない事実を思い知ったのだ。

響さんと話してた時にはどうにもならないと言ったが実際には

何も方法を考えていなかったわけではない。

他者ならもしかすると何か俺には到底思いつかない良案、若しくはそのヒント

となる何かを提示してくれるかもしれないと。そう考えていた。

だが今回の会談でやはり自ら死にに行くような方法をするしかないということを思い知った。

ならば一思いに一番死ぬ確率が高い方法を実行するまでだ。

そうだ。俺はあの人への最初で最後の抵抗として”もうあなたの言いなりにはならない”

と拒絶し、自分が信じるものの為に生きると、俺が俺であるために俺が遣り遂げるべきことを

俺の意思でどんな妨害があろうと必ず遣り遂げると宣言するのだ。

そしてその意思を貫くことは許されずあらゆる力によって終わらせられる。

そうして俺は人生の最期を迎えるのだと。

それが問題を解決を試みた最終的な結果なのだと。

今回の件でそれだけははっきりした。


「結局行きつく先は変えられないか。致し方ない。

ならとっとと死刑を執行されに帰るか」


答えがやっと出たところで響さんが住んでいるマンションを

出て家までの道のりをスマホで調べる。


・・・・・・・・・遠いな。

俺は今思い出した。

響さんの家に行くまでの道中は車の中で気絶していたため

家へ帰る経路が見当つかないのだ。

とはいえ今の時代スマホというものがあるので

地図アプリを起動し経路を調べると歩くには結構な距離がある。

というより歩いて帰るのは難しい距離だ。

詳細に調べるとどうやら近くに駅まで向かうバスが止まる

バス停があるらしい。

そこまで歩いてそこからバスで駅に向かうのが最善策だろう。

そう考え歩き出し、バス停に地図アプリを頼りにして辿り着いた。

そして駅北口行のバスに乗車する。

バスに乗って駅に向かっているときにふと思った。

よく考えたらどうせ死ぬ事はわかっているにしろ拒絶の意思を宣言するだけでなく

今まで溜め込んできた不満やら怒りやらもそれらと一緒にぶつけても

結果が変わらないならいいんじゃないかと。

いや、言わずにはいられない。

意味があるかどうかなんて、聞いてくれなくても、理解されなくても関係ない。

言わずに死ねないし成仏できない。

そう思い死ぬ前に言いたいことを思い出していたら何時の間にか

間もなく終点到着というアナウンスが流れた。

結構長い乗車時間がアプリでは表示されていたのだがいつのまにか、なんて思うということは

それだけ一生懸命に思い出そうとしてたということだな。

・・・・・・・・そういや、

俺が車の中で失神する前に誰かが追ってきてると響さんは言った。

待てよ、それって・・・・・・・

ああ、そうか。今日が最初でかつ最後に抵抗をする日であり俺の命日となるのか。

少なくとも俺の予想が正しければ。

そしてバスが駅の北口バスターミナルに到着した。

俺はバスを降りて家へと向かう。

そして家について玄関の戸を開けると

そこには仁王立ちの姉さんがいた。

誤字・脱字があればお気軽に報告ください。

調査し次第修正します。

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