序章 -姉がブラコンを自覚するまで-
補足:6月前半ぐらいから物語はスタートします。
また、二人の出会いや友人関係等の話は後の話で出てきます。
最近休日に姉さんがやたら俺と外出をしたがる。
「ねえねえこうちゃん、私と外出しようよ~」
「またなの?姉さん、最近休日はいつも」
「いいじゃん行こうよぉ」
「嫌だよ、今度はどこに何を買いに行くんだよ?」
「え~、水着を隣町のモールまで~」
「弟を連れて行くところじゃないだろ、却下」
「ダメ~、ほら行くよ」
そう、こうして無理やり俺を
どういうわけか連れて行く。
いったい何故なんだろうか。
俺は桜木浩太。今年高校生になったばかりだ。
俺には姉がいる。
桜木朱音。今年大学生になったばかりだ。
俺が言うのもなんだがかなりかわいい。
黒髪ロングでタレ目、若干童顔でかわいらしく、
背は少し平均より低いがわがままボディ。
いわゆるトランジスタグラマーとか昔言われていた体型だ。
大学に通い始めてからはどんどんかわいさより美人度が
高まってきている。
それが故に今まで結構な人数の男に告白されているそうだが
全員振ったという。ちなみに本人曰く今まで軽く
100回以上は告白されているとか。
なぜ誰とも付き合おうと思わなかったのか
聞いてみたことがあるが、
「私あんまり恋人というものに
興味がないんだよね~」
と理由を話していた。
え、俺の容姿?誰もそんなもの気にしてないだろうから言わない。
強いて言うならRPGで出てくる村人Aみたいな容姿だ、
モテないどころか存在すら忘れ去られるような・・・・・
う、頭が。
それはさておき、容姿にかなりの差があるもんだから
俺たちが姉弟だと説明して納得した人物は少なくとも俺が知る限り
一人もいない。
それもそうだろう。姉さんと俺は遺伝子レベルで違う、
つまりそもそも血が一切繋がっていない赤の他人なわけだからな。
そりゃ似るわけがない。
そんなわけだから頭の出来も姉さんと俺では全然違う。
姉さんが中学2年ですでに置換積分や熱化学方程式を
理解して問題を解いていた時に
俺はいつもテストでどの教科もいくら努力しても
平均点しか取れなかった。
姉さんは
「こうちゃんも自分に合った勉強法が見つかれば
いい点数とれるようになるよ~」
と言っていたが
今までどんな勉強法を試しても平均以上をとったことがない。
それを両親が更に
「なんで平均しか取れないのかしらね~」
なんて言うもんだから俺もやる気がどんどん下がり
一応平均レベルの高校に一般入試で受かったものの
すでにもう絶望的に勉強のやる気なんか出ない。
というか、俺はいったい誰に対して
俺や姉さんのことについて説明してるんだよ。
「?どうしたのこうちゃん?」
「いや、何でも」
「ふ~ん、変なの」
姉さんが運転する車の助手席に座って
俺は一人ため息をつきながら一緒に"おでかけ"を
したがる理由を考えていた。
ちなみに今俺が乗っている車にはどういうわけか
鉄の棒が張り巡らされている。
ロールケージとかいうものらしいが、人が座るところには
スポンジが貼ってあり恐らく事故ったときに
頭をぶつけないように、ということだろう。
そしてこの車、普通の軽自動車のはずなのに
運転席・助手席共にリクライニングがついていない。
親父が言うには
「リクライニングなんか要らねえんだよ」
とのことだがどう考えても違う。
座席自体が普通のヤツと明らかに違うんだから何かしらの理由で
取り替えたんだろうと思っていたら、
「というか、あれはフルバケットシートと言ってな、
あれじゃないと大会に出れないから付けてるんだ」
と説明してくれた。
「ああ、ちなみにシートベルトが二つ取り付けてあるが
4つひもがあるほうが公道では使うなよ。
シートベルトしてるのに着用義務違反で捕まるからな」
という説明も姉さんと一緒に聞いた。
おまけにこの車、軽自動車にもかかわらず
明らかに格上の車を発進加速で振り切るのだ。
どうなってんだよこの車。並の車じゃないぞこれ。
マフラー等は純正流用とかいうことをして
住宅街を走れるようにできる限り静かに
しているという。ていうかこれどうでもいいな。
ちなみにオートマじゃない。
だが姉さんはそれらをなんとも思っていないように
車を運転する。
「ふふふ~、水着選び楽しみだな~」
弟に一体何をさせるつもりなのだろうかこの姉は。
というより姉さんは弟に一体何を求めてるのだろうか。
そんなことを思いながら俺と姉さんはモールへと向かった。
誤字脱字間違い等ありましたら報告ください。
全力で直します。