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隣との距離。恋との距離。  作者: とりけら
1章 出会い編
6/23

あいさつ

[佐藤悠基]

うぅーーーー……。

家に帰ってからというものの、僕はずっとこの有様だ……。夕飯を食べている時も、お風呂に入っている時も、心ここに在らずと言った感じだ。

何故こんな状態なのかというと………………せっかく連絡先交換したからってすぐ何か送っていいものなんですかねぇ!!??

石川さんから連絡先交換しようって言われたから、てっきり石川さんから連絡くるものだと思っていたけど違うのかな……。

やっぱりこういうのも男からが普通…………って、僕って僕自身に対するハードル高すぎな気が……。今まで人生で体験したことないんだから分かるわけ……。まあそんなことよりも、今は目の前のトーク画面……。もし!もしね!もし、こちらから送るとしたら、どんな文面がいいんだろうか……。うーーん……「本日もお日柄が良く……」うん、確実に違うな。

「はじめまして……」はじめましてではないな。

「最近いかがお過ごしで……」親戚の人かな。

「夜遅くにごめんなさい。まだ起きていますか?」うんうん、こんな感じの文章が……って、石川さんからメッセージきたんだけどぉぉ!!??


[石川実里]

うぅーーーー……。

家に帰ってからというものの、私はずっとこの有様……。電車に乗っている時から夕食の時もお風呂の時もずっと、心ここに在らずと言った感じ。

何故こんな状態なのかと言うと………………せっかく連絡先交換したのになんて送ればいいのぉぉぉーーー!!??

佐藤君からなにかくるかなって期待してたのこないし……、やっぱり連絡先交換しようって言ったの私だから私から送るべきなのかな……。いやね、私だってなんで送ろうか考えてはいた。

「これからよろしくね」だとか「友達承認ありがとう」だとか「下校の時の話、続きしてもいい?」だとか…………最後のはちょっと違うか……。

気づいたらもう夜の9時過ぎてたんですよ……。この時間過ぎるとなんか送りづらくなる気持ち、きっとわかってくれる人がいると思う。9時過ぎたらだめ、9時前ならOKという風潮やめてほしいとこの時ほど思ったことは無いね。うん。

と、まぁ関係ない話は置いといて、やっぱり私から送るしかない!か……。

うぅーーーー……。振り出しに戻ってきたぁ………。とりあえず、メッセージボックスに書いた文字は「夜遅くにごめんなさい。まだ起きていますか?」……うん、圧倒的無難なメッセージ。問題はその次…………送る勇気を誰かください!!!!なんでぇぇメッセージ考えるよりも送る方が勇気いるってなんでなのぉぉ。って当たり前の事言ってるよぉぉ、頭おかしくなってきたぁぁ。そんなこんなでずっとベットでごろごろごろごろ…………。

その時、"ポッ"って聞こえた。ん……何かメッセージきた……佐藤くんならいいのにな…………って私がメッセージ送った音じゃん!佐藤くんに!!!なんでこうなるのぉぉ!!!!


[佐藤悠基]

まずいまずいまずい!!とりあえず早く返信を!!


[石川実里]

送っちゃったものは仕方ない!!このまま勢いでいく!!


[佐藤悠基&石川実里]

「夜遅くにごめんなさい。まだ起きていますか?」

「はい。起きていますよ。」

「はじめてのメッセージ送っておこうと思いまして。遅くなってごめんなさい。」

「いえいえ、僕もなにか送ろうと思ってたので、大丈夫ですよ。」


[佐藤悠基]

ぼくもなにかおくろうとおもってたので……?え……?やってしまったのでは……?い……や……ここは逆に考えるんだっ!送る意思はあったという弁明の言葉ってことで伝わってくれれば……っ!


[石川実里]

ぼくもなにかおくろうとおもってたので……?

え……?私のことを思ってくれてた的な……?えっえっえっ、そんな急に言われてもちょっとえっと心の準備がっ!っと早く返信しなきゃ!うーんっと、ここは逃げの一手っ!下校中の話をもっていく!


[佐藤悠基&石川実里]

「そういえば、下校の時の話に戻るのですが……」


このまま約1時間ほど本の話をするのでした……。


[佐藤悠基&石川実里]

「気づいたらもう10時過ぎてますね。石川さんは寝なくて大丈夫なんですか?」

「大丈夫、と言いたいところなんですが正直眠いです……。」

「では、また明日、部活で話しましょう。おやすみなさい。」

「明日、楽しみです。おやすみなさい。」


[佐藤悠基]

あぶないあぶない、ずっと話していたいと思っちゃってた……。相手は女の子なんだから気遣いしっかりしなきゃ。女の子と話すなんて初めてだったから緊張した……変なこと送ってなければいいけど……。

僕は会話履歴を見た。すると自然に顔がにやけて……いや違う、笑顔に、笑顔になった。楽しかった……。部活ではこんなことが続くのだろうか……。緊張はする、でもそれ以上に楽しみだ、と思っていた。期待に胸を膨らませて、目を閉じた。


[石川実里]

あぶないあぶない、ずっと話していたいと思っちゃってたよ……。佐藤くんのこと考えてなかったな……私のこと考えてくれてさよならした、なんてことだったらうれしいな……。私、変なこと送ってないよね……?私は会話履歴を見た。すると自然に顔がにやけてくる。好きな、人と、夜に会話……。明日悪い事が起きてもおかしくないと思ってしまうのは自然なことで。それほど幸せに感じていた。明日から部活で自然に話せる。そんな日々がずっと続く。私は楽しみで仕方なく、その興奮が冷めて眠りにつくまで1時間もかかった。

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