第97話 魔力の不思議
地底神殿第二階層際奥。
黒い鳥の前に立っている訳ですが。
これはあれだな。
目の前に白い光球が現れ輝く光の線が彫像に延びる。
「ホーリービーム。」
あー…、貫通力があり過ぎて、胸にぽっかり穴が開いちゃったよ。
きっと大切な人を失ってしまった時に空いてしまったんだね…。
大丈夫。その心の穴は、いつか時間がうめてくれるから…。
それを人は時薬って言うんだってよ。
…。
反応なし。よし!
吸収された気配もないし。どうしよ…。
とりあえず光属性吸収させてみる?
「ホーリーライト。」
強力な聖なる光が辺りを包み、黒い彫像が白く変化し始めた。
これなら行けそうだ。
気がつくとさっき貫通した穴も塞がっていた。
あれ、さっきみたいに普通に復活させた方がよかったかな?
光が収まると、祭壇から降りた白く輝く聖霊鳥がひれ伏していた。
「光の王よ。我に新たなる力をお授けくださったこと、
誠に恐悦至極にございます。
この先に道を示しましょう。ささ、お進みください。」
うん、これはきっと「光を吸収して復活、対峙する」と言うワンシーンを飛ばしちゃったね…。
………
階段を下りながら考える。
邪蝕石に聖属性を与え続けると聖輝石になるのか。
聖輝石と、聖白石は全くの別物?
このダンジョンの制作者はなんの目的でこんなことしてるんだ?
いや、一階層は魔法軽減と闇属性吸収。
二階は物理強化と聖属性吸収。
真逆の能力が必要になる。以外と難易度高いダンジョン?
いや、そもそも聖闇以外だったら効くのか?
物理攻撃も試してないな。
もうちょっと色々やれば謎が解けたかもしれないな…。
今はとにかくダンジョンマスターだな。
これは知能の高い魔物が治めてるに違いない。
第三階層。
灰色の空間、灰色の石像。
吸魔石
…魔力を性質ごと固定、安定させて保存する。
…つまり、
「ホーリーライト(極小)」
彫像一体にだけ魔法が当たるように調整する。
彫像が白色に輝く。
鑑定結果は聖輝石だった。
「できた。思った通り。」
でも聖輝石になると闇属性を聖属性に変える効果が付くんだよね。
「ファイアーボール」
火の玉は白く輝く彫像に吸い込まれた。
お、火属性も吸収されたみたい。
と思った次の瞬間。彫像は粉々に崩れ去った。
瓦礫は吸魔石ではなく聖白石と邪黒石の混合物だった。
何となくわかってきたぞ。
瓦礫に魔力を流し、土魔法で錬成する。
瓦礫は一枚の石板を形づくった。
「できた。吸魔石だ。」
吸魔石は聖白石と邪黒石の練成物ってことだ。
そしてその石板に
「ファイアーボール」
石板はわずかに赤く光り火の玉を吸い込む。
もう一発。今度は少し魔力を強めて。
赤く光る石板。
炎熱石
…水の魔力を火の魔力に反転させる石。
その後も色々試し、
聖輝石と邪蝕石
炎熱石と氷冷石
風化石と土沃石
雷帯石と樹緑石
と対をなすことがわかった。
対を成す属性以外の魔力を吸収させると不安定になり
聖白石と邪黒石に戻ってしまうようだった。
でもこれ使い方によってはすごい利用価値あるよね。
水を火に変えたりって、どういう仕組みなんだろう。
魔力おそろしや。
そのまま最奥へ進むと。
放魔像
…放魔石で出来た彫像。
放魔石
…周囲のあらゆる魔力を取り込み魔力のこもった力に変える。
吸魔石とも少し様子が違うようだ。
色は灰色で吸魔石との見分けが付かない。
2メートルを優に越える彫像は大鎌を抱えもたれ掛かるように立っていた。
が、次の瞬間。
風切り音と共に、クローンの体が上下に別れた。
彫像は動いていない。
体を修復し、辺りを警戒する。
すると、気配もなく、背後に佇む目の前の彫像と同じ姿の白い彫像が。
聖輝石。
一階の聖霊鳥と同じ物質だ。
こいつは索敵に引っ掛からない厄介な相手だ。
振り返り白い彫像と向き直る。
あれ、黒い彫像もいた。
何でこいつも索敵に引っ掛からないんだろ?
『フム、この2体を検知できないとは、やはり人間のようだね。』
灰色の彫像が喋り出した。
『面白い。これはなんの技術だい?
魔法か、それとも、科学か?』
男とも女ともつかない声は、この世界では聞きなれない言葉を口にした。
『ここ最近このダンジョンを訪れる者がいなくてね。
どうやら、長い年月のうちに我が地下神殿は膨大な質量によって沈下してしまい、
誰も寄せ付けぬ深い深い穴の底へと潜り込んでいたようだし。
でも誰にも邪魔されなかったお陰で、
ここまで立派な神殿を作り上げることが出来たよ。
ところで今は竜帝歴何年なんだい?』
「竜帝歴ですか?」
はて、竜帝歴とは?
(竜帝歴とはかつてこの大陸を竜帝バ・ンガが治めていた時代の、年号です。)
え、それって何年前?
(およそ5500年前に始まり1500年前に滅びております。)
クローンさん優秀すぎます。いつもありがとう。
「竜帝は1500年前に滅んだそうです。
今はペンレシア王国歴358年です。」
『なんとあの竜帝が滅んでいたとは…。
それじゃあなにかい?今は人間がこの国を納めているってことかい?』
どうやら竜帝と言うのは名ばかりではなく本物の竜だったみたい。
「そうですね。」
『そうか、まさかあの竜帝が倒される事があるなんてね。
思いもしなかったよ。』
「あの、聞いてもいいですか?」
俺はこの話好きな人にまず聞いてみたい事があった。
『なんだい?』
「あなたは、誰?」
そう、どんどん話が進むから聞きそびれてしまったけど、
この人が何者なのかがまずは重要なのではないだろうか。




