第96話 地底神殿
白い彫像の戦士たちが神殿を支える柱を武器に
一斉に動き出したわけですが。
これ考えたやつバカなの?
それともあの柱はただの飾りなのだろうか。
あれか、彫像の武器用か。
最初から持たせとけばいいのにね。
あれですね。
雰囲気ですね。
わかります。
思わぬところでこのダンジョンの制作者と気が合ってしまったかもしれない。
とか言ってる間に相手さん戦闘準備完了してますがな。
何てね、こっちもただボーッとしてた訳ではないのだよ。
魔王なめるな!
なめるな魔王!
…よし!
彫像に一気に飛びかかる。
振り回す柱もお構いなしに、大剣でぶった斬る!
次から次へ飛びかかってはぶった斬る!
斬ると言うよりはぶっ叩くかもしれない。
砕け飛び散る彫像。
こうしてる間にも経験値も魔力もクローンたちがどんどん稼いでくれてるから、
レベルアップしてるんだから!
一対一だったらあのままでもよかったけど、
何十体も相手になんてさすがにできない。
魔力も経験値も入らないから全然美味しくないし。
さっさと倒して、先に進もう。
…あ、素材はちゃんと回収しないとね。むしろこれが目的だったよ。
でもこの動く彫像の仕組みも知りたいんだよな。
ダンジョンマスター倒せばわかるかな?
魔力がたまってきたところでペネトレイターを分裂させる。
殲滅を任せて奥へ進むと、祭壇があり白くて大きな鳥の彫像が鎮座していた。
鳳凰?不死鳥?
とにかく羽が豪華な鳥だ。
「あれ、これも動くの?」
いや、動かないか。
索敵に反応がないから判別がつかない。
「そうか鑑定だ。」
聖輝石
…邪悪なものを浄化し聖なる力に変える魔法鉱物。
聖白石じゃなかった。
じゃあ今まで集めてたものも、聖輝石?
無限収納の中を鑑定する。
聖白石
…魔力の動きを鎮め無力化する。
あ、聖白石だった。
これってどう違うんだ?
魔力=邪悪て訳じゃないのか。
「どれどれ。」
黒い小さな球体を作り出し、巨鳥に向けて放る。
「シャドウボール。」
闇属性の球体は触れたものを闇で蝕むのだが、
ズズ…。
黒い球体の触れた部分が黒く染まり始め染み込むように侵食していく。
黒い球体は完全に侵入を終え、黒いシミを残した。
しかし黒い染みは徐々に薄くなり元の状態に戻った。
「我を一瞬で完全に蘇らせる者が来たか。
これは少しは楽しめそうだな。」
さっきまでの彫像からは想像出来ないくらい滑らかに動き出した巨鳥。
「しかし残念だったな闇の使者よ。
どれ程の闇の使い手であろうと完全に復活した聖霊鳥には通じぬぞ。
そして我を倒さぬ限り先へは進めぬ。」
なんと、行き止まりだと思っていたらこいつを倒せば先に進めると。
完全復活。
つまりさっきの一撃で、満たされてしまったわけですね。
「シャドーボール。」
「ほう、先程の技はそれか。初期魔法でそれほどとは驚きだな。
しかし、何度やっても結果は同じ。」
聖霊鳥が喋り終わると共に放る。
今度は侵食せずに白い羽毛の表面で消えていく。
聖霊鳥の纏った聖属性の魔力と相殺されているのか。
そして相殺して足りなくなった魔力の分は浄化して吸収すると。
「面白いな。」
もう一個放る。
同じ現象だ。
「驚いたな、それほどの魔力を使いまだ余裕があるか。」
続けて2個、3個…。
徐々に侵食を始める黒球。
「貴様、これはなんのつもりだ。」
構わず黒球を放り続ける。
今や聖霊鳥の周りは黒球だらけ。
黒いコブだらけの悍ましい魔物が完成した。
「わ、我はどうなってしまったのか?
黒い、黒い力が流れ込んでくる。」
黒い染みは浄化される事無く、全身に広がっていく。
やがてそこには黒い鳥が一羽。
邪霊鳥
…邪蝕石で出来た鳥。光の力を闇の力に染める。
「我は新たなる力を得たり!闇の王よ。この先に道を示そう。」
闇の王とかそんな物騒な名前で呼ぶのやめて。
そんなじゃないから。
「あ、ありがとう。
この先には何が?」
「再び長い回廊が続き際奥には邪霊鳥がいる。
その先は…。」
「うんありがとう。その先は自分の目で確かめるよ。」
「あいわかった、出すぎた真似をいたした。」
「いや、ありがとう。」
俺は邪霊鳥に見送られて、祭壇奥に現れた階段を下った。
…
さっきとは正反対。
黒で埋め尽くされた神殿。
像も柱も真っ黒。
「うわ、今度は敵だらけ。
石像から柱まで索敵に引っ掛かりまくり。
動かないけど。」
邪黒石
…魔力の動きを促し活性化する。
あれ、聖白石と真逆だ…。
聖と邪。静と動。聖と魔…。
こんがらがってきた。ここで考えててもしょうがないか。
「先へ進もう。」
今度はペネトレイターを2体生成。
両サイドに別れて彫像が動く前に壊す。
これ凄くいいアイディアよ。考えたやつ天才!
ダンジョン制作者涙目ですね!
次々と破壊されていく黒い彫像。
ドドドドドォォォーン…!
「そう簡単にはいかないよねやっぱり。」
黒いやつは動きがよかった。
白いやつの三倍は動きがよかった。
だれかさんの専用機じゃないのに!
ダメだステータス上がってきてるけど、
この短時間じゃたかが知れてる。
確か、魔力を活性化するんだよね。
「ホーリービーム。」
光の光線が一直線に空間を切り裂く。
ボンッ!
と爆発するように砕け散る彫像。
効果ありだ。
魔力を活性化するってことは魔力の影響を受けやすくなるって事だ。
逆に聖白石。無力化ってことは魔力の影響を受けにくくなるってことか。
…。
「シャドウボール。」
俺はあることを試してみた。
黒球は黒い彫像に入り込み蝕む。そしてすぐに崩れ去った。
「あれ、闇魔法も効く。」
基本的に聖属性には聖属性は効かないはず、逆に闇属性もまた然り。
他の属性でも基本的にはそうなっているけど、
聖属性と闇属性はその特徴が顕著で同属性同士だと全く効果が無い。
こいつらは闇属性ではない?つまり魔黒石は闇ではない。
「うーんよくわからん。」
黒い神殿の際奥。
同じような祭壇があった。そして黒い鳥。
邪霊鳥が鎮座していた。




