第94話 ドワーフ鉱山跡
-銀緑亭ヒトシの部屋-
部屋の窓から外を見ると銀緑亭のオーク肉料理に行列が出来ていた。
安い、旨い、早い。三拍子揃った魔王様推奨の料理店だ。
何せオーク肉を卸しているのは最近なにかと話題のその魔王様だからだ。
そして誰もこの肉の正体を知らないと言う。
知らぬ間に魔王の肉の虜になってしまっているのだよ諸君!
クックッ、クックックッ、クハーッハッハッ!
よし、魔王様ごっこ終わり。
俺が魔王になっちゃって女将も心配してるんじゃないかと思って顔出しに来てみたけど、
忙しそうだから店が落ち着くまでしばらくダンジョンの状況を把握してようかな。
とりあえずダンジョンマスターは倒さないように指示してあるけど…。
いくつかの浅いダンジョンはすでに攻略済み。
例のごとく倒したダンジョンマスターを生成し直した時に、
ダンジョンマスターの願いを叶えダンジョン内の構造を大幅に拡大してしまうので、
経験値と総魔力をごっそり持って行かれた。
レベルも急激に下がったからかなり焦った。
ちなみに経験値の方は一回ゼロになりましたよ。
もう少しゆっくりいこうぜ。
はい、俺の指示次第ですね。
すいません。
ゴブリンのダンジョンはゴブリン城になったりゴブリン要塞になったり。
ウェアラットは自身を巨大化、二足歩行化してハーレム宮殿を作った。
キラービーはグレートクイーンに進化して、
無数のクイーンビーを使役。
地上部を新たな密林のダンジョンに作り替え、
ダンジョン内で餌の採取を可能にした。
みんなの夢を叶えてあげたいところだけど、
こればっかりは相当な経験値と魔力を消費するから時間がかかりそう。
流通網も整えなきゃならないし。
必要なのは鉱石系の素材だな。
廃坑とロックリザードの巣を攻略するのが先決だな。
あと、ガルガドの鉱山跡が今のところ一番効率が良い。
他はほぼ国の管轄下にあるから手は出さないでおくとして。
リザード系は基本的に主成分は石で出来ている。
アイアンリザードはそこに鉄成分が3割程度。
シルバーリザードは鉄3割、銀1割。
ミスリルリザードは鉄3割でミスリルは1%も含まれていない。
アダマンリザードに至っては0.1%未満しか含まれていないのだ。
アダマンタイトは抽出も極めて難しいらしい。
しかもその硬さと融点の高さから加工が非常に難しい。
熱に強く頑丈という事にもなるのだが、
現在の技術ではリザードの素材をそのまま使った
ブロック積み程度にしか利用価値がないので需要がないのが現状だ。
こんなに頑丈な舗装用資材は無いのにね。
集めた鉱物系魔物の素材を無限収納の中で混ぜ合わせ繋ぎ用の資材を作る。
道路の舗装で使うアスファルト、コンクリートで言うとセメントの役割だね。
つまり土や砂や小石を固めるボンドみたいな役割のものになる。
-ゴブリンの洞窟入口-
少量の舗装用ボンドを土に混ぜ錬成する。
魔力が地面に染み渡り、王都へ向けて平らな道ができ始めた。
幅は約10メートル。
巨大馬車でも楽に通れる道幅だ。
山を切り崩し谷を埋めどこまでも一直線に延びる道。
真っ直ぐに伸びた道はいずれ街道に合流し王都まで届くだろう。
そして同じように流通拠点からは、
さらに広い道が西へ東へ北へ南へ、それぞれ延び始める。
これはすぐ鉱石素材が底をつきそうだ。
流通網を整えるのは思ったより時間がかかるかも知れない。
とりあえずハルクさんにお願いしてある「西側」優先だな。
-ドラゴンの巣83階層-
ドラゴンとレッドドラゴンが主力だがルビードラゴンが姿を現し始めた。
サイズや姿はレッドドラゴンと大して変わらないが、色がやや明るい赤色である。
ブレスの火力が異常に高く広範囲を焼き尽くすインフェルノブレスを放つ。
勿論クローンには効かないけどね。
どうやらこのダンジョンは火竜系のドラゴンの住処みたい。
でもこのダンジョンて何階層あるんだろ?
まあ、魔力的にも素材的にも一番の稼ぎ頭なのは間違いない。
でもこれだけ豊富に素材が手に入るとなると、一番値崩れするのは間違いないな。
しかもドラゴン素材を扱うにも相当な技量と経験が必要だ。
滅多に手に入る素材じゃないらしいし、扱える職人がどれ程いるのか。
これはドラゴン肉以外お蔵入りかもな…。
-鉱山跡-
鉱山跡を奥に進むと徐々にゴーレムの数は減り、最奥に遺跡が姿を表した。
住居や鉱山跡と言うよりも砦や要塞に近いか。
鉱山を守る為の物ではない様だし、
入り口じゃなくて何でこんな奥地に砦を築く必要があったのだろう。
しかもここはダンジョン化していないようだし、魔物も見当たらない。
レイスくらいか。
「どなたかは存ぜぬが。ここはあまり長居していい場所ではないぞ。」
背丈は低いが肩幅の広い髭を蓄えた白髪の老人が
忽然と姿を現した。
こんな所に人が?
「分かっていよう。ワシは既にこの世の者ではないとな。
そしてこの場所もこの世ではない。」
「あれ、俺いつのまにかあの世に来ちゃったの?」
でもこれクローンだしな。複雑になってきたぞ。
「心配するな。お主は死んではおらぬ。
そもそもその体には魂は入っておらぬようだしな。
興味をそそられるぞ。
ふはは、死して尚探求心を失わぬとは
つくづくワシの探究心も馬鹿の域に達しておるわ。」
どうやらこの人は死んでいるらしいけど、昔の研究者かなにかだったのかな?
「あの、失礼ですけどあなたは?」
「知りたいか。よかろう教えてやろう。
ワシはこの地に鉱脈を見つけ移り住んだドワーフ一族の長、ドナルだ。
今は封印の番人として、この地で封印を守っておる。」
「それじゃあ外の遺跡も、ダンジョンのゴーレムも貴方達の作った物ですね。」
「遺跡か。既にそれほどの年月が経ってしまったのか。
ああ、そうだ。
あれはワシらの隣人小人族の秘術とワシらの技術の間に生まれた子だ。
そしてその全ては我が民もろとも災厄によって滅ぼされた。
小人共も自分達だけなら逃げおおせたものを、
ワシらに付き合う必要などなかったのだ。
ワシは人間の勇者と生き残った戦士達を連れて、
災厄を打ち破り魂をこの地に封印することに成功した。
勇者の力を借りてこの身を不死に変え、戦士たちと共に封印を守っておる。」
「じゃあこの先に災厄が封印されているんですね。」
「ああ、奴の体は滅びたが、
恐ろしく邪悪で強力な魂は次の体を探し動き始めたのだ。
あ奴はあちらこちらに自分の種を蒔き
常に次の体を用意している狡猾な奴だ。
魂は何とかこの地に引き留めたが、
今も次の体はどこかの地で眠りに就いているに違いない。
この災厄を復活させてはならぬ。
魂と体を引き合わせてはならぬのだ。」
何だか物凄くヤバイところに来ちゃったみたい。
「分かったなら早々に立ち去るのだ。」
「そうします。なんだか俺の手には負えなそうだし。
でも、ダンジョンのゴーレムは自由に倒させてもらいますけどね。」
「ああそれはかまわん。」
「それと…。色々ドワーフの技術とか教えて欲しいんですけど。」
「ほう、ワシらの技術がどれ程の価値があるか知って申しておるのか?」
「そうですよね。今日会ったばっかりの奴にそう簡単に教えないですよね。」
「ほほ、そうではない。ワシらにとって技術は宝だが、
今となっては無用の長物。
何かの役に立つことが出来るのであればその方が良い。
聞きたいことがあればいつでも訪ねてくればいい。」
「本当ですか?ありがとうございます!」
建築技術や、ゴーレムの技術を見るに
相当高度な魔法と科学技術を組み合わせてるに違いない。
その技術が俺に扱えるかは分かんないけど、
クローンがあれば何とでもなりそうな気がして怖いです。
放置ダンジョン ランク素材距離開発収入階層
ゴブリン1 E無し1済0(捕獲)5/5階
ゴブリン2 E無し2済み0(捕獲)5/5階
ゴブリン3 E無し3済0(捕獲)5/5階
ゴブリン4 E無し2済0(捕獲)5/5階
ベルセルクゴブリン E無し1500006/6階
ウェアラット1 F 無し2済12000004/4階
ウェアラット2 F無し1済12000004/4階
ウェアラット3 F無し2済12000004/4階
キラービー1 D蜂蜜C5済5000003/3階
キラービー2 D蜂蜜C61500001/3階
ロックリザード1 D建材D1済120000006/6階
ロックリザード2 D建材D330000003/?階
ロックリザードの廃坑 D建材D560000003/?階
マッドゴーレムの墓所 C建材F65000001/?階
アントの地底窟 D外殻F612000002/?階
チープトレント1 F建材F2済50000001/1階
チープトレント2 F建材F1済50000001/1階
トード地底湖群 D毒袋C6300000?
レッサーデーモン B皮革E7160000002/?階
スネイルの塔 B甲羅E630000006/?階
不死者の溝 C無し65000000?
レイスの廃墟 E無し3済40000003/3階
攻略困難
魔窟 S皮革E715000001/?階
神殿跡地 A皮革A816000001/?階
ソーマの棲み家 S邪眼A715000001/?階
到達困難ダンジョン
王都南方
地底神殿 B聖白石A550000001/?階
湖底遺跡群 C魚鱗D78000001/?階
水神の大瀑布 C竜骨A86000001/?階
北方大山脈方面
魔王の影 A魔石B9未達
天上空洞 A羽毛B12未達
魔楼窟 B魔石B13未達
火竜の口 A無し9未達
タラ山頂火山湖遺跡 B15未達
東方絶壁 A皮革A16未達
コワル樹林帯 D無し12未達
王都西方面
魔王リュグエンの塔 C機械?10未達




