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第79話 ロマチェス王国

スラー商会当主ハルクさんに

突然の悪役レスラー張りの毒ギリをかまされた訳ですが、紅茶の。


「お前、それがどういうことか分かって言ってるんだろうな?」


「もちろんダンテさんとも話し合って

 対策は立ててもらうつもりです。」


「そりゃ大量の商品を任せてもらえるのは嬉しいが。」


「ハルクさんの腕の見せどころですね!」


「お前他人事みたいに言うなよ…。」


「そうだ、それともうひとつ。

 ロマチェス王とコンタクトを取りたいんですけど。」


ロマチェス王国。

南北東を山と密林に囲まれたペンレシアの西に位置する唯一の隣国。

経済も発展しており、国王の意向でペンレシアよりも

冒険者が活動しやすい環境を国が整えているため、

ペンレシアからの冒険者の流出が増えている。

ペンレシアとは友好な関係を築いている為

ペンレシアにも同様の施策を薦めて流入を防ぎたいが

受け入れられないでいる。


「そう来たか。

 できればヒトシと知り合いと言うことは

 知られたくなかったんだけどな。」


「な、何故です。俺と知り合いだと恥ずかしいからですか?」


「何でだよ…。

 あの人ヒトシの事すげー気にしてるんだよ。

 勧誘とか接待とかすごいことになるぜ。

 俺に対してな。」


何と、隣国にまで噂が広まっていたとは。


「それなら是非会いに行きましょう。」


「はあ、紹介状は書くが。俺は行かないぜ。」


「ハルクさんが来ないと。

 ロマチェスとも取引するんですから。」


「は?ペンレシア王が許すわけないだろ?」


「自国だけでは捌き切れなくなって

 物資が必ずロマチェスに流れ始めますから。」


「お前どれだけの事をしようとしてるんだよ。」


「この国の東西南北に街道を整備して、交易の中心地にします。」


「ふざけてるのか?北と東を山脈で遮られ

 南は密林で道はない。この国はいわゆる僻地なんだよ!」


「そんなの道を作ればいいだけじゃないですか。

 逆に道を通せば今まで山脈か密林の外側を迂回してた流通が

 必ずペンレシアを通るようになります。」


「簡単に言うがな、どうやってあんな高いところに道を作るんだよ。

 そもそもドラゴンなんかが棲む所を誰が通る?」


「高いところも通らないしドラゴンにも会いません。」


「謎掛けをしてる訳じゃないんだ。結論を頼むぜ。」


「トンネルを掘ります。

 山脈の下をぶち抜いて、一本道を作るつもりです。」


「そんなことしたら山が崩れるんじゃないか?

 そもそもそんなことが出来るわけ…、出来るのか?」


「…たぶん。まず崩れることはないと思いますよ。

 念のため内部はアダマン鉱とヒヒイロカネで

 補強する予定ですけど。」


「は…。アダマン?ヒヒイロ?

 …お前、何言ってるのか分かってるのか?」


「はい。固い金属とそれを補強する金属を混ぜれば

 相当いい物が出来るかなって。」


「出来るかな。じゃねえよ。

 それで武器防具作ったら小国の国家予算軽く越えるからな。」


「…そんな、…バカな。」


「バカはお前だよ!

 アダマン鉱は採れる場所を知っているが。

 ヒヒイロカネなんてのは伝説の金属だ。

 この国で採れるなんて聞いたことないぞ。」


「それなら大丈夫です。ほら、これだけですけど。」


俺は赤虹色に輝くヒヒイロカネを

無限収納から取り出しテーブルの上に置いた。


「これが、ヒヒイロカネ。…ヒトシ、やっぱお前すげえな。

 こんなもん採れる場所があるって知ったら国が黙ってないだろ。」


「だからこれは売れません。」


「そうだな。勿体無いが、今の俺じゃあこいつはリスクが高すぎる。

 そのトンネルとやらに使うのがいいかもしれない。


 ったく、話がぶっ飛びすぎだぜ。

 とにかくその流通網構想の第一歩として、

 ロマチェスとの大規模取引をしたい訳だな。

 その為に事前に通告して許可を取り、

 受け入れる準備をしてもらいたいってところか。」


「そんなところです。」


「…そうだな、分かった。

 ロマチェス王には俺から連絡を入れておこう。

 しかし、あとはヒトシの素材採集量次第だ。

 どれくらいを目標にしている?」


「それなんですけど、30%を目標にしています。」


「そうか。しかし、30%アップなんて可能なのか?」


「いえ、ダンジョン稼働率を30%まで引き上げるのが目標です。」


「…今のダンジョン稼働率を知っているのか?」


「買い取り価格ベースで0.5%です。」


「つまり60倍だぞ?!」


「そう言うことですね。

 未攻略の場所も含めると

 相当いい線いくんじゃないかと思ってるんですよ。」


「はっはっはっ!真面目に考えてるのがバカらしくなる!

 分かった分かった。何でも持ってこい。

 全て売りさばいてやるよ!」


「ハルクさんならそう言ってくれると思ってましたよ。」


「その話を聞いたらロマチェス王も飛び上がるくらい驚き

 どんなに忙しかろうと時間を作って

 すぐに招待状を送ってくるだろうよ。」


「ではロマチェス王によろしくお伝えください。」


「ああ、任せろ!

 この香茶を手土産に話しつけてくるぜ。」


ハルクさん自ら出向いてくれるのか。あ、お茶を売り込む気だな。

確かな手ごたえを感じながら俺はスラー商会を後にした。


(ヒトシ、ヒトシ、聞こえるか?)


あ、ジーノさん!


(おお、何と便利な。このスライムには世話になっているぞ。

 良くできた生き物だ。)


でしょう、寝心地最高ですよね。


(ああ、旅の疲れも一晩ですっきりだ。

 と、それよりもだ。魔王になってしまうとはな。

 この国は本当にどうなってしまうのか。)


大丈夫ですよ。この国にも次代の若い力が育っています。

直に、彼らがかつての王国の姿を取り戻してくれます。

いや、それ以上のものを作ってくれますよ。


(はは、おおよそ魔王の言葉とは思えんな。

 まあ、望んでなったわけではないか。

 変わっておらぬようで安心した。)


はい、何にも変わりません。

ジーノさんはどうですか?レイちゃんは?


(ワシらは、レベルも魔力レベルもどんどん成長中だ。

 かつての王国軍ですら相手にならぬほどの力は既に手に入れた。)


もう?この前別れたばかりですよね。


(だがまだやつには届かぬ。

 しかし、これならすぐに追い越せるであろう。

 仲間たちも成長してきておるしな。)


そうですか。レイちゃんは?


(あの子は、なあ。ここには居らぬ。)


え、ではどこに?


(恐らく先へと進んだ。ダンジョンの構造も知っとるようだったし、

 もしかしたら既に一番奥へ到達したかもしれん。)


そうか、一応レイちゃんも俺のクローンだからね。そこら辺は共有できるんだ。


(自身も成長しながら頑張ってヒトシに魔力を送っていたぞ。)


そうか。レイちゃんも頑張ってくれてたか。


(さすがはロイヤルリッチと言った所か。

 ワシの仲間とは一線を画す力を持っている。

 だか、一度戦闘になるとかなり好戦的で手がつけられん。

 集団戦には向いておらんかもしれんが、

 魔法などの使い方はセンスの成せる技か、

 どんどん吸収して肉弾戦と織り混ぜて

 自分のものにしとるよ。恐ろしい子だ。)


あ、ありがとうございます。引き続きお願いしますね。


(ああ、出来るだけの事はするつもりだ。それではまたいずれな。)


ジーノさんもレイちゃんも順調に?成長してるみたい。

こっちも始めないとな。


さ、移動しますか。


王都の外に出てクローンを生成する。

ジョブは、『フィールドシーカー』。

高い機動力を誇り広範囲マッピングとダンジョン探知の能力を持つ。

そこにスキル『疾駆』を付ける。

普通はスキルを付けてもスキルレベル1から始まる。

本来は魔力を消費してスキルレベルをあげるが、

本体が持っているスキルはデフォルトで本体のスキルレベルと同じになる。

スキルレベルが上がるほど必要な魔力が増えるので

バカにならない魔力を消費することになるのでかなりの節約になる。


手始めに各ダンジョンに向けて78体のフィールドシーカーを放った。

さて、俺はスラムに向かうとするか。


『金色の獅子』


「…流石ダンジョンマスターと言ったところね。」


完全に瓦解した大砦に、散らばる焼け焦げたオークの死体。


咽返るような死臭の中向かい合う、

ローブを纏った少しだけ尖った耳が特徴の金髪の少女と、オークの女王。


少女の攻撃が通らない。

オークの女王は余裕の表情だ。


オークの女王は魔法を無効化する魔法陣で守られている。

少女が雷轟の巨竜を放つ。

雷撃を放ちながら迫る竜は女王の目の前で、掻き消えた。

驚愕の表情の少女。

恐らく今のが彼女の最大魔法だったのだろう。

この魔法が通じないとなれば、打つ手はない。

その時、少女が地を蹴ってオークの女王に一瞬で迫った。

蹴り跡は黒く焦げているようだった。

脚に雷撃を纏い、一瞬の瞬発力を得る。

自らへのダメージと引き換えに、最大のチャンスを手に入れる。


白く輝く障壁。それは全てを拒む最大の防御魔法。

少女の体は高速の迫撃の反動で、嫌な音を立て大きく弾け飛んだ。


しかし女王に油断はない。追撃の黒弓。

放たれた無数の漆黒の矢は上がる土煙に向けて容赦なく突き刺さった。


土煙が晴れた時、そこには金色の獣の美しい姿が。


次の瞬間、女王は獣を見失っていた。

いや、既に通り過ぎた後だった。

彼女の真ん中を。


戦いは、光速で無慈悲な一撃によって幕を閉じた。

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