表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/231

第77話 魔王と冒険者ギルド

冒険者ギルドに俺の採集した素材全ての

買い取りを依頼したわけですが。

まさかの提案にギルドマスターのダンテさんは驚愕の表情だった。


「な?!お前な、普通の冒険者なら了解を出せないことは無いが、

 お前の場合はクローンを使っての討伐と剥ぎ取りで、

 しかも輸送は無限収納で一瞬。さすがに全ては無理だ。」


「輸送剥ぎ取りは人を雇って行います。

 そして買い取りはいくらでも構いません。

 言い値で売ります。」


「馬鹿な、何故そんな無意味な事を…。」


「そうだ、この国には幾つのダンジョンが有りますか?」


「話を逸らすな…。

 ヒトシが見つけたのも含めて、79箇所だ。」


「買取り価格ベースでの稼働率は?」


「未攻略のダンジョンもあるからな。

 現在攻略済の箇所だけでいうと、0.5%だな。」


「そのうち国が放置しているダンジョンは?」


「ちょ、ちょっと待て!流石に資料無しでは…。

 そこまで把握していない。

 ちょっと待ってろ。今、資料を用意してくる。」


矢継ぎ早の質問にダンテさんはたじたじになり、資料を取りに行った。


― 30分後。


ダンテさんが慌てて戻ってきた。


「悪い悪い。

 ダンジョンに関する資料をかき集めていたら時間がかかった。」


「ギルドマスター、こんなにダンジョンに関する資料をあ…。」


シェロルさんだ。

久しぶりです。その驚きで口が開いたまま固る表情。


「ヒ、ヒトシさん…。まお、魔王になっちゃうなんて。

 私どうすれば…。」


資料を抱えたまま、蹲ってしまった。


「シェロルさんが落ち込むことないじゃないですか。」


「そう言うなヒトシ。

 シェロルはずっとお前の事を心配していたんだ。」


「そうですよね。心配かけてすみません。

 大丈夫、元気ですよ。

 それかほら、今からダンテさんと悪巧みするところです。」


「おい、人聞きの悪いこと言うな。

 俺はただお前に頼まれて資料を用意しただけだ。」


「ハイハイ、いつもありがとうございます。」


「ふふっ。いつものヒトシさんですね。安心しました。」


赤い目を擦り、笑顔を見せるシェロルさん。


「さ、シェロルさんにも協力してもらいますよ。」


「はいっ!」


うん、いい返事。


「あのー。…私も混ぜてもらってもいいですか?」


ドアの隙間から顔を覗かせていたのは、


「あ、アヤさん。ぜひお願いします。」



「まず、各ダンジョンの今年の依頼状況と稼働率を調べたいんです。

 あとダンジョンの攻略状況。

 あと放置されてるダンジョンと、

 放置されてる理由もお願いします。」


「あとは討伐数0の区域も調べた方がいいですね。」


「さすがシェロルさん。お願いします。」


「はいっ!」


あらまあ、いい笑顔。

しかし、アヤさんは不安そうな顔だ。


「あの、ヒトシさんが何をする気なのかは

 何となく分かったんですけど。

 気になるのは他の冒険者や関連する業種の方々への影響です。」


「そうですね。確実にモノが一気に溢れて値崩れしますからね。」


「それならば問題はない。

 ヒトシがガッポリ稼がせてくれた分は、

 その時から冒険者基金を設立してプールしてある。

 そしてまた、稼がせてくれるんだろ?」


「もちろんです。さすがギルドマスター。」


「はい、すごいです。やっぱり頼りになるなぁ…。

 はあ、かっこよ過ぎです…。」


「あやさん、心の声が漏れてますよ。」


アヤさんに小声で耳打ちするが。

ダメだ、ダンテさんしか見えてない。


「じゃあダンテさんとアヤさんは値崩れの予測と、

 対策と、フォローのリストアップをお願いしても?」


「ああ。」


「もちろんです!」


「そうだ。これを冒険者の皆さんに配布してください。

 俺は無限収納から樽に入ったポーションを取り出す。

 このままだと効果が高すぎるようなので

 適度に薄めて使ってください。」


「わかった。樽にヒトシ印を入れてギルドの中に設置しよう。」


「俺の印ですか?」


「ああ、魔王の紋章だ。何かないか?

 そうしておけばお前の施しだと分かるし、

 敵意も下げられると思うが。」


「確かに!さすがギルドマスター。」


「お前はお人好しすぎだ。

 もっとズル賢く生きろ。

 まず、紋章は考えておいた方がいい。」


「はい、分かりました。」


自分の紋章か。自分の紋章を考えるなんて思っても見なかった。

自分自身を現し示すトレードマークか。

そう考えるとなんだかすごい事だな。

格好良いのにしよう。


「でも、ギルドがそこまで魔王と密接な関係って、

 どうなんですか?」


「大丈夫だ。言っただろ?

 魔王は災厄ももたらすが、善行も同時に行う。

 その為にギルドに接触してくる魔王もいる。

 別に珍しいことじゃない。

 お互いに利益があればいい。

 そこはギルマスの裁量だ。」


「あ、そういえばギルマスの代理はどうなったんですか?」


「瘴気の大量発生で中止になった。

 そしてヒトシが魔王になったことで、交渉も中止だ。

 ペレンシアは信用できないと言うことになって、

 冒険者ギルドはヒトシを他の魔王と同じく扱うことを決めた。

 つまり、俺の一存で、ギルドに利があれば手を組んでもいいと言うことだ。

 それに…、」


「それに?」


「ヒトシ、お前が思ってる以上にお前には人望があるようだぞ。

 この国の人間はお前のやってきた事を知っているし、

 感謝もしている。

 もちろん、お前の罪状が王国のでっち上げってこともな。

 つまり、王国がギルドに文句をつけても、

 国民の賛同は得られないって訳だ。」


「じゃあ絶望値が貯まらないのは…。」


「誰もヒトシが脅威になる存在だとは思っていないってことだ。

 恐らくはな。」


「いえ、脅威に思ってる奴はいましたよ。」


どこからともなく声が聞こえた。この声は、


「タルト?」


「ヒトシさん心配しましたよ。

 世界樹の苗木巡りに出掛けたと思ったら

 ドッペルゲンガーに取り込まれちゃうんですから。」


「俺も怖かったよ。」


「ドリアード様が何とかしてみるって仰ってたので、

 僕はギルドの方でやれる事を…。」


「そうか、上手くやれてるんだね。」


「はい。とてもやりがいのある仕事で、

 ダンテさんから兎人族の事を全て任されました。

 今は冒険者ギルド情報部長です。」


「そうかそうか、頑張ってるんだね。」


「で、タルト。話を続けてくれ。」


「はい、ヒトシさんのその災厄の能力、

 国中の誰にもほぼ効果がなかったわけですが。」


あれ、タルトいつから俺とダンテさんの話し聞いてたの?


「効き目があった者が、監視対象の中に数名おりました。」


「監視対象、数名…。」


「はい、まず大臣。商人ギルドマスター。練金ギルドマスター。

 彼らは恐慌状態です。

 業務はなんとかこなしていますが、

 良くも悪くも以前のような行動力は影を潜め、

 精彩を欠いています。

 そして、ヴォルフガング。」


え、あの人にも監視付けてるの?気づかれてるんじゃない?


「ヒトシさんの脅威を受けて嫌らしい笑みを浮かべていましたが、

 恐らく順調に魔王として活動し始めたことを

 思惑通りと思っているのでしょう。

 それから消息を絶っていた奴の使い魔のリフエムは

 ヒトシさんから貰った魔力と自信で逆スパイとして、

 ヴォルフを堕落寸前にまで持ち込んでいます。

 あとは時間の問題でしょう。」


ちょっと待て、タルト。何故その事を。

どこまで知っている?


「分かったタルト。

 ヴォルフの事はそのリフエムとやらに任せても良さそうだな。

 はい、奴に付けていた優秀な人材を別任務に着かせられます。」


「では引き続き頼む。」


「はい。」


「それじゃヒトシさんまた。」


「ああ、頑張れよ。」


タルトは会話を終えると音もなく消え、気配もなくなった。


タルトもグングン成長してるんだな。負けてられない。


さ、それでは始めましょう。宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ