第70話 魔王
スライムの巣第3階層を攻略して、
第4階層にたどり着いた俺をスライムお爺こと、
エンシェントスライムが迎えてくれた。
『ほほほ、遂に辿り着いたな。どうじゃ、儂のダンジョンは?』
「うん、個性的でした。」
『ほほ、そうか。しかしよくレアメタルスライムを倒したもんだ。』
「はい、なんとか、ザクザクと。」
『ザクザク?あのヒヒイロカネを取り込んだスライムをザクザクと?』
「斬鉄と貫通のスキルを使いました。」
『そうかそうか。どちらも有効な手段、見事じゃ。』
「でも、あの触手針は反則ですよ。
回避できないし。乗っ取られるし。
攻略不能コンボですよ。」
『ほほほ、そうじゃろう。あれほど見事なスライムはおらんよ。』
「いや、あれってスライムと呼んでいいのかな?」
『うむ、実はな。第3階層は儂一人で作ったのではないのだよ。』
「どうりで3階層だけ雰囲気が違うと思いましたよ。」
『本来は第2階層までだったんだが、
ある日リイヴちゃんという
ダンジョン好きの女の子がやって来ての。
「こんなに魔力が溢れてるダンジョン
このままにして置くのは勿体無い」と
ダンジョン作成プランを提案してくれたのじゃ。
お陰でヒヒイロカネを持つスライムが完成した。
ヒヒイロカネを持つダンジョンなどそうはあるまい。
儂は満足じゃ。』
「その子、一人で第2階層を攻略したんですか?」
『そうじゃ。そして物足りないと申しての。』
何だろその子。滅茶苦茶強いじゃん。
「その子も強いんですね。」
≪新たな魔王が誕生しました。≫
?!
『ふむ、新たな魔王とは、これはまたひと騒動ありそうだの。』
どうやら、スライムお爺にも聞こえているようだ。
「きこえました?」
『ああ、恐らく全世界の者が世界の声を耳にし
新たな魔王の誕生を知ったはずじゃ。』
そうなんだ。これ世界の声って言うんだ。
「魔王ですか、恐ろしいですね。
この世界は大丈夫なんでしょうか?」
『魔王といっても生まれたてじゃ。
どのような者かは知らぬが、
いきなり人類の驚異になることはあるまい。』
『称号【魔王】を獲得、称号に魔王が追加されました。』
称号【魔王】…世界に魔王として認められた証。やったね、おめでとう魔王様!
『どうかしたかの?』
「いえ、今の称号がどうのこうのっていう声は聞こえました?」
『いや、聞こえんかったが。称号持ちなのか?』
どうやら今のは俺にしか聞こえてなかったみたい。
魔王、魔王…。俺が、魔王?
確かに少しばかりやり過ぎたかも。
でもさ、いきなり魔王とか酷いんじゃないかな…。
異世界に来て半年、俺は早くも世界に名を轟かせる魔王様になってしまったようです。
なんでだろう、誰がどうやって認定したのか分かんないけど。
俺、自分から先に手を出したことなんてないし、
酷い事やってるやつが他にいるよね!
正当防衛とはいえ魔王認定されそうなことをした記憶はあるけど。
でも、王国を滅ぼすだの、人類を蹂躙するだの、
大げさなことを宣言したわけじゃないのよ。
…それに近いことは言った気がするけど。
うん、口走ってた記憶もなきにしもあらず。
それかな…
それだな…
結構な事言ってた気がする。でもあれは間違って…
今さら冗談ですってだめですか…
だめですよね。
力ずくでダンジョン奪還しちゃったし。
王国軍の皆さんを蹴散らしちゃったし。
はぁ…。
「…はい、【魔王】と言う名の称号を獲得しました。」
『なんじゃとー!?』
≪新魔王ヒトシ≫
・ペンレシア王国内にてダンジョンの略奪及び占拠
・ペンレシア王国要人の脅迫及び監禁暴行
・ペンレシア主力クラン壊滅
・ペンレシア王国軍大虐殺
・勇者奇襲及び聖剣略奪
・他余罪多数
≪ペンレシア王国提案による世界評議会において
賛成15、反対3、無効及び欠席8、
の賛成多数で魔王の認定を受けました。≫
なんか、あることないことでっち上げられてるな。
誰も殺してないし、勇者の方から仕掛けてきたんだし、
聖剣はその勇者の忘れ物だし…。
『なんじゃ、人間の評議会での魔王認定か。
ちとつまらんが、お前さんの強さなら納得じゃ。
それにしても随分と、悪評が立っとるようじゃな。』
「それは…。」
『魔王認定を受けたので
世界に向けて魔王宣誓を行ってください。』
え、え、ちょっと待って、そんなん聞いてないけど。
『何じゃ、急に焦りだして。どうした?』
「なんか魔王として宣誓しろとかって…。」
『すればよいではないか。』
「いや、いきなり、て言うか魔王って大袈裟すぎ…。」
バツッ…。
あ、これマイク繋がったね。マイクかどうかは知らんけど。
心の準備が…。
≪あ、えーと、ご紹介に預かりましたヒトシです。
いきなり魔王として何か言えと言われても、
突然のことなので何を話していいものやら。
まあ、あれです、評議会の罪状に
色々納得のいかない所も見受けられましたが、
皆さん私利私欲もいいですが、
悪い事や喧嘩は止めて、仲良くしましょう。≫
『ヒトシ、もう少し魔王らしいことを言わんか。』
そんなこと言ったって、魔王って何するのか。
≪えー、そうだな。せっかく魔王認定されたので世界征服やります!≫
ブツッ…。
「なんつって。
んでー、悪い事してる奴らを懲らしめて
世界を平和にして見せます!なんつって。」
ふー、こんなかんじか。
≪新魔王による宣誓が行われました。宣誓内容は世界征服です。≫
称号【魔王】宣誓…世界征服
※征服を完了するまで宣誓の変更は不可能です。
あれ?なにこれ?
『よく言った、最近の魔王はどうも消極的でいかん。
魔族の王国を作るだの、竜族の再興だの、
同族の恨みを晴らすだの、腑抜けばかりじゃ。』
なんか誉められたけど、半分冗談のウケ狙いですからね。
本気でやる訳じゃないですからね!
『魔王様には専用ダンジョン用に魔結晶が送られます。
まずは居城を構え、魔王としての拠点作りに取り組んでください。
また魔王コマンドが使用可能になりました。』
なんスか魔王コマンドって。
召集…他の魔王を召集し会議を開ける。
布告…宣戦布告や、告知、号令など
範囲、対象を指定した遠距離、広範囲放送ができる。
念話…魔王専用回線の通信ができる(認証時)
災厄…魔力を消費し各地に災厄を撒き散らし不幸や絶望を集める。
『人類に絶望をもたらし、魔王値を集め魔王レベルをあげましょう。』
なんだ?この謎の魔王システム。
ヒトシはバージョンアップして魔王システムを実装しました。
なんつって。
魔王認定されたけど。逆に魔王が活動しやすい有利な状況になってない?
ダンジョン用意して、他の魔王と連携とらせて、
一方通行だけど発信もできるし。
それでは始めに新魔王誕生に際しまして、
他の魔王様達を召集し六天魔会議を開いて下さい。
そこで就任の挨拶をして頂く決まりになっています。
え、六天魔会議ってなに?挨拶?
魔王様たちに?えーーーっ!
無理無理無理無理!
そんな恐ろしいこと!
いきなり殺されたらどうするの?!
『新魔王様には1週間の不干渉期間がもうけられていますし、
会議中の武力や魔法による争いは禁止されています。』
そうなんだ。以外としっかりルール決めしてるのね。
『では召集コマンドを選択して下さい。』
俺は促されるままに召集コマンドを選択した。
ついに魔王になりました!そして謎の魔王システム発動!!




