第69話 レアメタルな奴
『称号【真理の求道者】を獲得、称号に真理の求道者が追加されました。』
久々の称号ですね。
うーん、やっぱり声変わった?
今度こそはまともなやつっぽいけど、どうだろう。
称号【真理の求道者】…この世の理を追い求めそのうちの一つを解明した者に与えられる称号。
「真理」…エネルギーの法則。
『スキル<変換>を獲得しました。』
変換…生命力、魔力を他のエネルギーに
ロスなく瞬時に変換できる。
スキルにより全属性全系統が
使用可能になったので
各属性各系統魔法を統合し
「魔法」になりました。
魔法 Lv.13
わーい、「魔法」ってかなりアバウトになったぞ。
そして持ち腐れ。いや、凄いと思うよ。
凄そうなの来たけど俺、魔法結局使ってないんよね。
でも便利なはず、きっと。これからは魔法だよね!
今後、使う場面があるかな?
使う場面になってちゃんとコントロールできるか不安です。
「ドリさん。…今、考え事をしていたら称号とスキルを獲得しました。」
「はい?」
ですよね。ホント。
ドリさんもポカーンですよ。
「真理の求道者と言うものなんですけど。」
「真理、ですか?」
ドリさんはまだ話に付いてこれていない。わかります。
「世の理を一つ解明した者に与えられるらしいです。」
するとドリさんは何かを理解したかのように語り出した。
「彼の者、世の理を知り、世の理を司る者なり。神に等しき力、魂を掌握せる。」
「なんですかそれは?」
「古の伝聞です。
太古の時代。ある大魔導師が、
長年の研究の末にこの世の理を紐解きました。
魂を操る力は、全ての生死を司る、
まるで神様のような力だったのです。
魔導師はその力を使い、近隣の国を滅ぼし、
自分の王国を作り始めました。
歯向かうものは皆殺し、
気にくわないものも皆殺しにしました。
そうして殺された者達はアンデッドとして蘇り、
魔導師に支配されました。
それから男は自らを不死王と名乗り、
やがて世界を死の恐怖で支配し始めました。
驕り高ぶり、傲慢になった不死王は
遂に神に対して牙を剥きます。
神の門と呼ばれる天界へと続く回廊を目指し
進軍を開始しました。
その時の軍勢は100万とも200万とも言われています。
しかし、不死王の目の前に一人の男が忽然と姿を表します。
不死王はついに神の逆鱗に触れてしまったのです。
神の使いとも、神自身とも言われる男に何を囁かれたか、
不死王は狼狽え始め、抗う術なく光となって消え去りました。
そして不死王の支配は去り神が治める世界に平和が訪れたそうです。」
「魂を操るか。俺のとは違うみたいですね。」
「そうですか。真理も一つではないんですね。」
「きっと不死王は魂の理を解き明かしたんですね。」
「ヒトシさんは何を解明したのですか?」
「俺は生命力と、魔力についてです。」
「それは、さっき話してた内容ですね。」
「はい、変換と言うスキルを手に入れました。
何でも変換時のロス無しで瞬時に魔法を放てるとか。
お陰で全系統魔法使えるようになりました。」
「全、系統…。しかもロスなしで、
ヒトシさんの魔力量で効率よく魔法が使えるなんて、
正に神の領域かもしれません。」
「そんな大袈裟ですよ。俺魔法ほとんど使ったことないですし。」
「今ヒトシさんに必要なのは力ではなく
力の使い方を教え導いてくれる、『師』かもしれませんね。」
「俺もそう思います。」
誰かついでにクローンの素晴らしい使い方も教えて。
-スライムの巣第三階層最奥-
深夜、金色スライムの様子を窺う俺。
あ、本体は就寝中ね。
「わー、ホントに金ぴか。」
スライムはてりってりの金色だった。
名をレアメタルスライム。
ええ、それだけ立派ならレアでしょうよ。
メタルスライムと同じ性質なのか。
試す必要があるな。
スキル『貫通』。
タルトに教えてもらったスキルだ。
彼らはこのスキルによって、
いかに堅固に守られた暗殺対象でも容易く葬ってきた。
ナイフの先端に魔力を集め貫通力を持たせた攻撃を行う。
「スローイングナイフ。」
一直線にスライムに向かって飛んでいくナイフ。
ズズ…
砂の擦れるような音と共にスライムのど真ん中に突き刺さった。
クローンは生命力を込めたことで
ステータスが大幅に上がり攻撃力も上がっているようだった。
これは楽勝。
と思った次の瞬間。
プス…
何か針の様な物が肩に刺さっていた。
金色の針、あのスライムか。
太さ1cm長さ20cmの針だ。
この針、メタルスライムのパターンで言うと分裂するんだけど。
なんか刺さってる部分からミチミチ音がする。
これは!
右肩を引きちぎる!
引きちぎられた右腕の断面から
紫色の触手が何十本もウネウネしていた。
気持ちわるっ!
侵食されてる。てかえげつな。
スライムじいさん、これ普通の人間が喰らったら
取り返しつかないからね。
クローンの右腕は操られるようにレアメタルスライムの方へ這いずっていく。
パキンっ
刺さった針に向かって投げナイフ。針は真っ二つに分かれた。
触手はしぼみ、腕は動かなくなった。
プスリ…
あ、触手の方に気を取られていたら今度は右脇腹を刺された。
無理矢理引き抜くと、金の針の先から無数の触手が。
びっくりして思わず投げ捨てる。
うげー。トラウマもんですよ。
あれが体の中に入ってくると思うと…。
あいつ、生理的に無理!さっさと倒す!
スライムを見ると針が次々とニョキニョキ盛り上がってくる。
その先からは紫の触手が。
あー、マジ無理!
見た目と中身のギャップな。
プス…
そして、反応速度を越えた射出速度。回避不能。
刺さった針を引っこ抜き、引っこ抜き硬化。
きん……きん…ぴしっ!きん…ききん!きききききききききききききん!
ショットガンのように一斉に放たれた針。
大丈夫。ほとんど刺さらなかったし、
刺さっても触手を送り込めるほどではないな。
ゆっくり近づき、
ザクッ!ザクザクザクザク…
滅多刺しだ!下手に反撃されても嫌だもの。
中からはおびただしい数の触手が現れた。
「うえー、どこがレアメタルなのよ。触手スライムじゃん。」
ガキっ!
「ん、何か当たった。」
ビー玉大の赤っぽい虹色に輝く金属だ。
鑑定解析
ヒヒイロカネ…あらゆる金属との親和性を持ち、溶け込み
硬度、柔性、剛性、対腐食性、魔力融和性、復元性を持つ。
ヒヒイロカネ。聞いた事がある。
伝説の金属だ。これか、レアメタル!
どうやら他の金属に混ぜて使うみたいだけど。
誰か、詳しい人に聞いてみないとな。
とりあえず、無限収納行きだね。
このスライムの凶悪さと、このちっぽけな金属玉が
ドロップアイテムとして適正なのかわらないけど。
次からは問題なく倒せそうだね。
さて、第3階層突破しましたよ。
スライムお爺。今行くから待っててね。
第四階層に向かう途中、他のダンジョンの様子を確認。
ドラゴンは30階層か。
今のところ新しいドラゴンは出てきてないみたいだから
問題はなさそう。攻略続行。
炭鉱はミスリルゴーレムの階層に到達した模様。
ミスリルゴーレム程度で攻略に手こずるクローンたちじゃないか…。
他のダンジョンを確認しながら下の階層に移動していると、いた。
スライムお爺こと、エンシェントスライム。
『ほほほ、…よう辿り着いたな。』
スライムじいちゃんは孫を迎えるかのような喋り方で語りかけてきた。




