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第65話 深緑色の絆

夢魔に忠誠を誓われた訳なんですが。

あれ、デジャブ?


そばに置いておくと毎日が危険日なので、

逆スパイとしてヴォルフガングの元へ送り返すことにした。

不在を付けたスライムを同行させたので、

情報が逐一分かるし、リフエムに何かあっても守ってくれるはず。


彼女はヴォルフガングに関する情報はほとんど持っていなかった。

悪魔召喚され、使い魔として使役されていただけだった。

夢魔は基本的に主人に対しては絶対服従のマゾ気質になるらしい。

主人がマゾの場合はそれに合わせてサドになるともいってた。

戦闘能力は低く、容姿やスキルを活かした誘惑が得意。

ハニートラップなどの色仕掛け要員だね。


一息ついたのでレイちゃんを召喚する。


「ごめんね。危険な目に遭わせて。」


「ホントよ。まさか私を無理矢理憑依させるとは思わなかった。」


「色っぽくてよかったけどね。」


「うっさい。見た分はちゃんと体で払ってもらうからね。」


「それって…、もう、レイちゃんのエッチ!」


「そんなんじゃないわよ!…もう。」


レイちゃんが近づいてきた。両腕を前に伸ばすと俺の首に回し、首筋に噛みついた。


いたっ!くないか。


「ンクッンクッ。」


可愛く喉を鳴らしながら

静かに、静かに味わうかの様に生命力と魔力が吸われていく。


「よしよし。」


あまりの可愛さに、思わず頭をなでてしまう。

サラサラの金髪が美しい。

少し尖った耳が真っ赤だった。


しばらくすると名残惜しそうに腕の力を抜き、


「ごちそうさまでした。」


俯いたまま離れる。


「いつも、ありがとう、…ございます。」


「どういたしまして。」


レイちゃんは顔が真っ赤になっていた。

いや、全身が真っ赤に光っている?


「な、なにこれ。」


「どうした?おかしなところは?」


「大丈夫。ただ、力が漲って来る感じ?」


「それって。」


「体の中で何か凄い変化が起きてるみたい。」


「…ふう。段々落ち着いてきたわ。」


しばらくすると、光は収まり、元のレイちゃんに戻った。


「なんだったんだろう。」


「ランクが上がったかも。」


鑑定解析

ロイヤルリッチ…王族の名を冠するリッチ。

        王家の血を継ぐ者のみが進化出来るクラス。

        種族の特性を強く発揮する。


えっとレイちゃんは、エルフと獣人の混血だって言ってたな。

ロズ隊長が。て言うか


「レイちゃん。王族だったのね。」


「私、生前の記憶がないから。自分のことはよく分からなくて…。」


「その子はラウラ。ラウラ・エルファリアだ。

 古代エルフ王朝の姫君だった。」


気付くと部屋の入り口に、ボロボロにほつれたローブの老人が立っていた。


「やっと見つけたわい。王都も大分様変わりしたな。

 建物の外観も変わっていたから探すのに苦労したぞ。

 しかし、この短期間でロイヤルリッチになるとはな。

 お陰ですぐにお主だとわかったわい。」


「あの、どなた?」


「おや、初めてではないはずだが。」


どっかであったかな?


「あ、大臣が連れてきた死霊術士!はぁ。次から次へと…。」


「待ってくれ。もう大臣とは繋がってはいない。

 あれはお前さんの幻術にやられてもう使い物にならんよ。」


「じゃあ目的はなんですか?」


「ラウラの…、その子の回収だ。」


話を聞くと、元々この館は今目の前にいる死霊術士のものだった。

つまり、レイちゃんを産み出したのはこの人。

そういえば、死霊術士がどんな人だったか女将に聞いたことがある。

名前を墓荒しのジーノ。

墓を掘り起こし、死体を漁る。そして蘇らせて操る。

王国に仕えていたが、ある王族の死後その遺体を持ち去り

蘇らせクーデターを起こした。

だが失敗して、王都から逃げた、と。

相当な危険人物だ。


そんなやつが大臣のもとで何をしていたんだろうか。

そして、なぜ今さらレイちゃんを迎えに来たのか。


「嫌だ、と言ったら?」


「そのときは諦めるしかあるまい。」


「へ?」


まさかの答えに声が上ずってしまった。


「その子はもう私の支配下にはない。

 どうやったのかは知らんが、

 私が施した従属の刻印が消えている。

 しかもロイヤルリッチとは…、

 既に私に扱える代物ではない。」


「じゃあ何の為にここへ?」


「お主に会うためだ。」


さらに老人は語りだした。

国王がおかしくなり始めたのはヴォルフガングが来てから。

現王を使い、前王を暗殺した。そして影で王国を操っている。

そこで前王を復活させクーデターを起こしたが失敗。

再び戻り大臣に取り入りチャンスをうかがっていた。

同時にレイちゃんも探していたけど、長い年月が経ち

王都も変わり建物の外観も変わっていたので

探すのに時間がかかったそうだ。

レイちゃんを置いていったのは、

追われて慌てて逃げたからで、

王都を出てから気付いたが

もう戻ることはできなかった。


と言う事だった。


「ラウラはエルフの王と獣人族の姫、

 金獅子姫の間に生まれた混血の子。

 しかし、王弟が率いる他種族との交わりを

 排斥しようとする一派によって国王と王妃は惨殺された。

 ラウラは怒り、狂獣となり王弟一派を殲滅したが、

 それによって身体と心に深い傷を負った。

 自身をコントロールできなくなる前にと、

 自分を慕ってくれるものに封印を頼んだ。

 と、古い文献に記されておった。

 私は若い頃、各地を回って無念の死を遂げた魂を救ったり、

 害をなす強力な力を持つアンデッドや

 死霊達を討伐する旅をしていた。

 人から依頼を受けることもあったが、

 殆ど独断で霊廟に忍び込んだり

 古代遺跡に潜入したり無念の魂を掘り起こしたりしてたからか、

 巷では墓荒しなどと言う不名誉な通り名がついてしまったがな。

 どうでもいいことだ。

 ラウラもそのうちのひとつだ。

 その文献が気になってその地を訪れると、

 崩れ落ちた墳墓の上に今にも消え入りそうな

 ひとつの魂があった。

 体と心が朽ち果て、魂だけが封印をすり抜けたのだろう。

 死霊術を使い従属契約を結び、

 わずかな生命力を与え、連れ帰ったと言うわけだ。」


「あなたは、私の恩人だったのね。

 今までずっと恨み続けていた。ごめんなさい。」


「仕方ない。置いて行ってしまったのは事実だ。

 だが、血肉の契約を結んでおいてよかった。」


「血肉の契約?」


「ああ、壁の中にラウラの依り代となった

 私の左親指が埋まっているはずだ。

 その依り代からわずかだが

 生命力が供給されるようになっていてな。

 もし私が離れたり、死んでしまっても

 この場所にいる限り一人で生きていけるようになっている。」


「そうだったのか…。」


俺は驚いた。

ジーノの左手には指が一本も無かった。


確かに、今まで長い間空き家になっていたはずの

この家でどうやって存在を維持していたのかとは思っていた。

まさかそんなカラクリだったとは。


「もしかして連れ帰った者達全てにそれを?」


「そうだが。」


俺は心底感嘆した。


「俺は、そんなことも考えず、

 レイちゃんを一月も放置してしまった。」


「それは仕方ないわよ。」


「いや、ジーノさんは凄い。

 レイちゃんへの、いや死者全てへの慈愛と尊敬が感じられる。」


これは真剣に考えなければいけないことだ。

レイちゃんと俺は約束していた。

生気を吸うのは俺からだけって言う約束を。

どんなにお腹が空いても

レイちゃんは約束を破らなかった。

俺はその誠実さに答えなければならない。


「レイちゃんはこれから俺が支えます。」


壁から親指を掘り起こしジーノさんに返す。



「これは、貰ってもいい?」


レイちゃんの指には深緑色のリングが嵌められていた。


「ああ、それは契約の指輪だ。構わぬよ。」


レイちゃんは指輪を大事そうに胸に抱いた。


返した指にポーションを掛け、親指のあった場所に当てる。

すると、みるみる繋がる指。その光景に驚いた顔のジーノ。


「なんと!これはエリクシル?!」


なんか神薬的な名前が出てきたけど。


「そんな大層なもんじゃないですけど。

 ほんとは指が無くても全部直せるんです。

 けど、これはジーノさんと死者たちの

 絆のようなものでしょうから。」


「…ありがとう。私は、よき理解者を得られたようだ。

 しかも、強大な、の。」

レイちゃん超絶進化。

レイちゃん結構好きです。いや、かなり好きです。

でも今気付いたんですけど、レイちゃんの初登場、本編じゃなかった…。

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