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第58話 6時だよ、全員集合!!

「そう言う事だったのですな。」


ダンテさんからの手紙を受け取った兎人族の長チルトは、

手紙を読んで兎人族の現状を理解した。


「すぐに王都に住む全ての兎人に使いを出し、

 冒険者ギルドに集まるように伝えろ。

 これ以上犠牲者を増やさぬために。」


「ちょっと待って。いいの?ギルドや俺のこと信じちゃって。

 騙して利用してるだけかも知れないよ?

 ギルドに集めて皆殺しにするかもしれないよ?

 兎人族を恨む人間かもしれないよ?」


「しかし今ヒトシ様が…。」


「それを信じる根拠は?」


「それは、この手紙に書いてある事が正しいと思ったから…。」


「それじゃあ今までと何も変わりませんよ。

 素直なことは悪いことではありませんけど…。

 そうだな。

 もし俺がギルドマスターは悪いやつだから殺せといったら?」


「もちろん殺します。」


今の会話を聞いて、タルトが何かに気づいた。


「タルト、わかったろ?」


「はい。」


「どういうことだ?」


「僕もヒトシさんに同じことを言われました。」


「そう、それで初対面のギルドマスターにナイフを放った。

 でもそれは俺の言い間違いだった。

 ギルドマスターは悪い人ではなかったんです。」


「それで、ギルドマスターはどうなったんです?」

 

「大丈夫です。助けました。」


ま、ギルドマスターがそんな間単にやられるとも思わないですけど。


「そうですか、よかった。」


「今、兎人族はこれと同じ状況にあります。

 ダンテさんの手紙にも書いてあったと思いますけどね。

 犠牲者を増やさないため、何より兎人族の未来のために、

 もっと真剣に考えなければならないのです。」


「確かに。しかし、どうやって正しい者を見分けたらいいものか。」


「簡単です。相手を知ればいいのです。

 幸い兎人族は情報収集能力に非常に長けています。

 相手が、友達になりたい、助けたい。

 そうやって近づいて来たらどうしますか?」


「そんないい人なら友達になればいいではないですか。

 友達が多いことは良いことです。」


「悪いやつがいるんだ、頼む殺してくれ。

 と言われたらどうしますか?」


「殺せばいい。悪い奴に容赦は必要ないです。」


「そこです。」



「?」


チルトは何のことか分かっていないようだった。


「行動に移す前に相手のことを知りませんか?

 どんな人間か、何をしてきたか。

 何をしようとしているか。

 貴方達なら間単に調べられるはずです。

 

 友達になりたい。

 と言われたら、どんな人だろう?

 

 助けたい。

 と言われたら、何で助けたいんだろう?

 どういう人なんだろう?

 

 悪いやつだ。

 と言われたら、そいつは何をしたんだろう?

 どういう人なんだろう?

 信じる前に、殺す前に、相手のことを知ってください。

 一度立ち止まって、考えてください。

 それを掟にすれば、間単には利用されなくなるはずです。

 まずは考え、知ることです。」


「うむ。それではそうしましょう。掟が決まったぞ!」


「待ってください!」


チルトの発言をタルトが遮った。


「そこなんです。父さんは今、ちゃんと自分で考えましたか?

 まず、考えましょう。そして自分達の目で確かめましょう。

 そして相手を知りましょう。」


「どういうことだ?」


「本当に利用されているのか確かめるんです。

 僕たちにはそれを実行する能力がある。

 それをヒトシさんは教えてくれているんです。」


タルトが確かめるようにこっちを見た。

俺は力強くうなずく。


「そういうことか。私はまだ話の本質を理解していなかったのだな。

 今、兎人が受けている依頼について全て調べろ。

 依頼主と、依頼内容について、関係者から全てだ。

 ギルドについても同じく。

 ギルドに助けを求めるかどうかはその結果で判断する。」


チルトはこちらに向き直り。


「ヒトシ様。我々は貴方を信用します。

 そう、自分達で判断します。」


「はい!」


その後は早かった。

兎人を斡旋する者、依頼主と、その関係者。

依頼内容に関する人物と、利害関係。

なんと全てを一晩で調べあげてしまった。

ギルドについても、最重要機密まで調べあげてしまったようだ。

流石にここまでやるとはチルトでも思わなかったようだけど。

後で聞いたら、族長を復活させた秘薬が気になったみたいで、

ポーションを試しに舐めてみたらしい。

そしたら、みんな急にやる気を爆発させて調査に乗り出したようだ。

兎人族には肉体より精神の方に作用が大きいみたい。

兎人って温厚で弱そうに見えるけど、本性は狂暴で野性的なハンターだよね。

肉食だし。

タルトを見ててもそう思うよ。

悪いやつ見つるとハントモードになって目付き鋭くなるし。

耳を触ると、男としてのブライドズタズタにされるし。

スイッチ入ると人が変わるもの。激情型、直情型だよね。

そして、そんな彼らが小瓶を持ち出したと…。

大丈夫かな、ダンテさん。大丈夫かな、ギルドのみんな。



……


………


次の日の朝、兎人族がギルドに次々と姿を現した。

その数総勢50名。

やる気を滾らせた兎人族は誰からともなく円陣を組みだした。


そして、大地を震わす雄叫びがギルド周辺に轟いたと言う。


次、いってみよう。

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