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第56話 小さな木の実

ザルバさんとの稽古を終え、スライムベッドで睡眠中の本体に意識を戻す。


…目を覚ますとスライムベッドの中に誰かいる。

茶髪の美女。肌がスベスベででまつ毛が長く、

鼻もスッと筋が通っていて高く、唇と頬はほんのりピンクに色づいている。

そして頭には、うさ耳。


「タルト君、人のベッドで何をしているのかね。」


まだ眠いのか布団を引っ張り、くるまるタルト。


ドキっ。かわいい。


この子、男の子なのよね。ホント、やめてほしい。

でもなぜ俺のベッドに。

あれか?ウサギは寂しがり屋だからか?寂しいと死んじゃうのか?


まあ、もう少し寝かせとくか。


そういえばスライムの巣第三階層の探索はどうなってるかな?


(現在20組40名で探索中。損害0。討伐数は、2000組です。)


とりあえず変化なしか。

他も変化なし。トレントの森も探索進行中。霊峰ガルガド周辺組は?


(探索継続。ドラゴンの群れに度々遭遇。

 討伐数はレッサー250ドラゴン20飛竜9。

 尚ドラゴンは一定方向から定期的に出現。ドラゴンの巣があると予測されます。)


ドラゴンの巣か、楽しそうだな。あ、またクローンを使って攻略しようとしてる俺がいる。

地力を上げることを忘れるな。勿論クローンも使うけど、自分でも探索しよう。

ガルガドもとりあえずこのまま探索継続。巣を発見したら報告してね。

(了解しました。)


とりあえずクローンはこれでOK。


「タルト、起きて。メシ食って出発だよ。」


「…は、はいぃ。」


朝弱いのね。


タルトはしばらくボーッ、としていたけど、朝ごはんを準備していると、


クキュ~。


とお腹がなって、エヘヘと照れていた。

そのかわいさ要らないから。

いや、むしろ受け入れた方が楽になるのか?

て、なんの葛藤やねん。



さて、出発だ。


「すいません、僕のせいで出発遅くなりました。」


「いいよ。緊急って訳じゃないから。

 タルトは、敵見つけたら教えて。」


「わかりました。早速ですが、います。

 フォレストウルフです、素早い動きと、群れで行動する為連携が厄介な魔物です。

 でも今回は一匹だけですね。ハグレ狼のようです。」


初戦にはちょうどいいかな。聖剣は…、やめて。何かないかな。

ドザエもんをまさぐる。あ、あった。リザードナイトから手に入れた剣だ。

いや、うん。でかいな。取り敢えずこれでいいか。


「ヒトシさん、戦うんですか?」


「うん、クローンに頼らず自分でも戦うようにしないとね。強くなれないから。」


「十分に強いのに。」


と、タルトは不思議そうにしていた。

先に進むと茶色い体毛の2mはあるでかい狼がいた。


おお、こいつか。思ったよりでかいな。


狼はすでにこちらに気づいて、低い唸り声を上げて威嚇している。

咄嗟に剣を構えると、飛びかかってきた。


あれ、こいつ遅いぞ?


剣を手放し右にスッと躱して、横っ面にジャブ。


ドゴンッ!


と、ぶっ飛び、木をなぎ倒し狼は死んでいた。


剣使うと返り血浴びそうだったから拳にしたけど、素手で十分だな。

剣よりグローブかなにか欲しい。

さ、次々。


「タルト、行くよ。」


その後も熊、虎、狼の群れとも何度か戦ったけど、手応え無さすぎた。

これじゃ地力を伸ばそうにも相手が弱すぎる。

これはダンジョンに潜るしかないな。


昼を過ぎた頃、世界樹の苗木に辿り着いた。

苗木と言うか、それは大木だった。

ま、世界樹がデカいから、それに比べたら苗木か。


「それにしても立派だな。」


そばまで行き手を触れる。ザワザワと葉を揺らし、薄緑色に光る。


なにかが流れ込んでくる。心地のよい癒しの力だ。


「こ、こんにちは。」


木の陰から何かがこちらを覗いていた。


「こんにちは。君は?」


するとおずおずと姿を表す。

茶色の肌、緑色の髪の毛。


「わ、私はドリアード。」


やっぱり。

かわいらしいどりさんだね6、7才位に見える。

ドリさんがいってたのはこの子のことだね。


「ありがとうございます!

 あの。世界樹様を助けてくれて!」


「元気になってよかったね。」


「うん!この子が枯れちゃって。」


世界樹を優しく撫でるドリアード。


「私も疲れて眠ってたんだけど。この前、ねえ様が起こしに来てくれたの。」


ねえ様って、ドリさんの事だな。


「そしたらいつのまにか元気になってて。

 ヒトシさんのお陰だっていってた。

 お兄ちゃんがヒトシさんでしょ?」


「うん、そうだよ。よくわかったね。」


「だってねえ様の加護を持っているもん。」


「分かるんだね。」


「うん、わかるよ!ねえ様の加護は強いもの!」


「そうなんだ。」


「ねえ様の加護には敵わないけど、私のもあげる。」


小さな手のひらに握られていたのは、かわいらしい木の実だった。

受けとると手のひらに溶けるように消え、なんだか暖かった。


「一個だと弱っちいけど、たくさん集めると森の恵みをたくさんもらえるようになるよ。」


「ありがとう。他の世界樹にも会いに行ってみるよ。」


「うん!絶対だよ?みんな待ってるから!

 この子もさっきヒトシさんから元気をもらって活き活きしてるよ!」


「俺も元気もらったよ。」


「じゃあ元気の取り替えっこ、したんだね!」


「そうだね。」


ステータスには「森の加護」の下に「森の恩恵」と表示されていた。


集めるのもスタンプラリーみたいでたのしいかもね。


「これから兎人族の村に行ってチルト族長に会わなきゃいけないんだ。

 どうかな、元気にしてるかな?」


「チルトは、もう土に還る時が近いのかもしれない。

 どんどん元気がなくなってる。

 私の恩恵ももう届かないみたいだし。

 行くなら急いだ方がいいと思うよ。」


「わかったありがとう。」


「チルトはタルトにすっごく会いたがってたよ。」


「はい、すぐに戻ります。」


何やら、これは急いで戻った方がいいような雰囲気だな。


「急ごうタルト。」


「はい!」


こうして俺たちは兎人の村に急ぐのだった。

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