第48話 希少な水、大量入荷しました
とりあえず第二階層の地上部制圧は予定通り。
地底湖には紫色したデロデロの巨大スライムが。
エンシェントスライムだ。
『もう諦めてしまったのかと思ったんじゃが、さらに強くなって戻ってきたようじゃな。』
「すいません。色々あって、なかなか来れなかったんです。」
『そうか人間の事情は分からんが、また来てくれてうれしい限りじゃ。
さてさて、ここからが本番じゃ。地底湖をどうやって攻略するかの。
楽しみにしとるぞ。』
そう言うとエンシェントスライムは奥へと行ってしまった。
自分の作ったダンジョンを攻略させて楽しむなんて、それはそれで面白そうだね。
いつか俺もやってみたいな。憧れるよね。ダンジョン経営とか。
ものすごく時間かかりそうだけど。
さて、問題の地底湖だ。
地底湖からはどんどんスライムが湧いてくる。
すべてのスライムはここから湧いてきてたのね。
スライムの発生源だけあって、圧力が半端ない。
サンダーウォールを通り抜けたスライム水が、
滝のように流れている。
これじゃ、凍らせたり塞いだりしても圧力で亀裂が入りそこから崩壊してしまいそうだ。
サンダーウォールを湖面に展開して所々足場を作って大魔導を配置。
隙間からスライム水に混じって湖水があふれだす。
すると、そこからまたスライムが発生し始めた。
スライムは足場を埋め尽くし大魔導を飲み込もうとする。
これでもだめか。
エンシェントスライムは地底湖の水を
触媒にしてスライムを生成しているのか。
サンダーウォールにやられたスライムは、スライム水となり溢れ出し、
湖水とともに岸から流れ出る。
スライム水は地面に浸み込んで消え、
湖水だけが残り、
そこから泡のように膨れ上がり
次々とスライムが生まれる。
泡と違うのはスライムの中が液体で満たされているという事。
水の体積が増えるって不思議現象だよね。
ま、異世界なんで何でもアリですよね。
でも今更実感。
おっと、また余計なこと考えているうちにスライムが溢れはじめちゃった。
水面上ではスライム水は浸み込んでいかないので、地上部に浸み込ませるしかないんだけど。
とりあえず地底湖を包囲するようにサンダーウォールを展開しなおして。
ふう、何とか元に戻った。
サンダーウォールで湖面を塞ぐやり方はダメだ。湖水自体を何とかしないと。
いっそのこと湖水を汲み上げて別の場所に移すか。
転移魔法がいいんだけど、消費が激しすぎる。
そうだ、いい考えがある。
ウォーターボール。
湖水で直径3メートルくらいの水球を作り地上部へ飛ばす。
そこから生まれてきたスライムを
サンダーウォールで囲い殲滅する。
初期魔法だから魔力消費も少なくて転移魔法のと比べると1%の消費で済む。
さあさあ、どんどんやっちゃってください。
水球用の大魔導を用意しどんどん地上部へ放つ。
膨れ上がったスライムたちに水球がぶつかり、潰れ飛び散る。
あれ、サンダーウォール必要なさそう?
これは嬉しい誤算だ。
1時間後ウォーターボールから現れるスライムが明らかに減っている。
水位が下がってウォーターボールではスライム水しか汲み上げれなくなってきたってことだ。
地底湖のサンダーウォールからスライム水の放出も減ってるし。
スライム水が邪魔になって来たな。これじゃこれ以上の攻略は難しそう。
どうにかこれを処理しないといけないんだけど。
このスライム水に価値があればいいんだけど。
不味くて飲み水にもならないし。
なんとなく鑑定を掛けてみる。
鑑定結果
スライムのおいしい水
魔力成分を完全に取り除いた美味しい水。ミネラルが豊富で生命力に溢れている。
え、おいしいの?なんか天然水みたいな名前になってるし。
魔力を完全に取り除いたってことは、
前飲んだ時は魔力が混じってたから不味かったんだ。
これは使えるかも。
でも地底湖の水と混ざってるしな。
ん、待てよ。
地底湖の水もただの水じゃないだろこれ。
鑑定結果
魔力水
魔力を豊富に含んだ水。錬金、調合などで利用される希少な水。
…。
金の匂いがする。これを知ったらまた大臣たちが騒ぎ出しかねないな。
せっかく大人しくさせるために努力してるのに元に戻っちゃうよ。
クローンスライムに無限収納と吸水、分離のスキルを付けて吸えるだけ吸ってみよう。
うん、どんどん吸うね。みるみる水位が下がっていく。
30分後。
うん、全部吸い終わっちゃったね。しかも一匹で。今までの苦労はなんだったのか。
湖底に沈んだスライムはあっという間に湖水を全て飲み込んだ。
地底湖は外周3キロメートル水深は100メートルはあっただろうか。どれだけの水量があったのかは想像もできないが。
無限収納に入る容量はもっと想像できなかった。
湖底の最深部、そこには魔力水の源泉が存在していた。
水源からはジャブジャブと魔力水が溢れだしていた。
そりゃこのデカさの地底湖の源泉だからね。
これだけ湧き出ていてもおかしくはないけど。
ないんだけど。
この水、希少なんだよね。
確か…。
これ以上無限収納にしまってもどうにも出来なそうなので、地上に汲み上げてスライムにして討伐することにした。
よし、このことはとにかくギルドマスターのダンテさんに相談して、
あとは丸投げしよう。困ったときのギルドマスター。頼りにしてます。
空になった地底湖を越えて先に進むと、陸地が存在し。さらに地下へと続く縦穴が存在していた。
あ、これで終わりじゃないのね。
俺は第3階層へ続く穴を見つめ。次はどんな試練が待ち受けているのか。
やっと冒険再開。もう大臣出て来なくていいよ。




