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第45話 失意のウサ耳君

目の前には片耳の取れた可哀相な兎人族。


誰がこんな酷い事を。

はい、わたくしでございます。

いやいや、こっちは命を狙われてたわけだし。


額から頬に血が伝う。


あ、耳治そうね。

俺は自作(クローン使用)のハイポーションを掛ける。

みるみる生えてくるウサ耳。便利すぎる。一家に一本は欲しいね。


スライム使えば簡単に作れるのに、この効果。コスパ良過ぎる。


驚愕の表情の兎人族。…の男。


うん、この美人の容姿にまだ男だと受け入れられない自分がいます。


「それは…。」


「え、ポーションだよ。兎人族ではあんまり一般的ではないかな?

 あ、ハイポーションか。どっちでもいいけど。」


「ハイポーションでも再生の効果はありません。」


あ、そうなの?前もこんなことあったような。

今度錬金のハイポーションの効果を確かめなくては。


「それより、やけに簡単に口を割ったね。」


「はい。もうこの仕事、やめようと思って。

 隠れて物陰から仕留める簡単な狩りだからって言うから受けたのに。

 しかも悪魔のような悪い奴だから、止めを刺したら、英雄になれるって。

 仕事もたくさん来て、すぐに大金持ちになれるって。」


悪魔ね、確かにそう呼ばれてるから間違ってないけど。

話がうま過ぎると思わなかったのかな。

だって悪魔のような凶悪な奴を仕留め損なったらどうなるか考えなかったのかしら?

でもあの腕ならやれる自信もあったのか。俺も避け損なったらおでこにブスリだったし。


「でもさ、やめてどうするの?

 雇い主に口止めに殺されるとか、考えなかったの?」


「え、なんでそうなるんですか?狩りに失敗しただけですよ?」


あ、なんかだめだこの子。色々と考えが浅すぎる。


俺は、この仕事が暗殺という事、人に言えない事をやってると、

人の命とは何なのかや倫理について説明した。

こっちの世界で通じるか分からないけど。


すると、ポロポロと涙を流すうさ耳青年。


「ごめんなさい、ごめんなさい。ボクもうこんな事しません。

 村に帰って静かに暮らします。貴方に許してもらえるならだけど。」


「と、兎人族の村ですと!?もしやそこには兎人族が楽しく暮らしているとか?

 君みたいな美形のおねいさんも沢山いたり?」


「はい、楽しくかどうかは分かりませんけど、

 僕なんかは別に美形でも何でもないですよ。」


「ふぉ!僕なんかは別にだって!?どれだけ美人がいるのか。

 許す許す、だからぼくを兎人の村に連れてって?」


「あの、おにいさん何を企んでいるんですか?」


ぎくっ!


「まさか、人さらい?!

 やっぱりおにいさん悪い人だったんだ。

 何とかここで仕留めないと、村が危険だ!」


「ちょっと待った。ちょっと!誤解だから!

 俺の名前はヒトシ。ただの新米冒険者だから。」


「ヒトシさん。

 あ、ぼくはタルトです。

 ヒトシさんってあのヒトシさん?」


“あの”ってなんだろう。俺いつの間にかそんなに有名になってたんだ。

主に大臣たちの広めた悪名の方だろうけど。


「世界樹復活させてくれたんですよね!」


「なんでそれを知ってるの?誰にも話してないんだけど。」


「僕らの村は世界樹の加護を受けている森の中にあるんです。

 村の森の聖域にある枯れ掛かっていた世界樹の苗木が復活して、

 一族に森の加護が戻ったんです。」


そうなんだ、まさかトレントの森の外まで影響があるとは思ってなかった。


「すると、森の精が訪ねて来て、

 なんでも各地にある世界樹の苗木の様子を見て回ってるって言ってました。

 そして、ヒトシさんが世界樹の森のバランスを整えて、

 世界樹に生命力を取り戻す手伝いをしていると聞いたんです。

 それで加護が復活したって。

 そんな人を殺そうとしてたなんて…。村長に何て言えば。」


ドリさんそんなことしてたんだ。森の精もいろいろ忙しいんだね。


「仕事も失敗して、これじゃ出稼ぎにきた意味がないよ。」


騙されてたしね。


「村はそんなに貧しいの?」


「はい、だんだん森は活力を取り戻しているんですけど、

 まだみんなが生活できるくらいの生命力は戻ってなくて。

 まだ何年かはかかるって、ババ様が言ってた。」


「そういう事だったんだね。」


「本当にごめんなさい。僕たち兎人族は隠れて狩りをすることが得意なんで、

 それを活かした諜報とか暗殺とか隠密行動の仕事をしながら稼いでいるんです。」


今、暗殺言うたで、おたくさん。きっと、暗殺=狩り。の認識なんだろうね。


「僕は気配を消す事では村一番の自信があったんだけど、あっさり見つかっちゃったし。

 王都の冒険者はすごいんですね。僕なんかじゃ太刀打ちできないと思い知らされました。」


「俺も看破のスキルを使わなきゃ隠蔽スキルを見破れなかったよ。」


「そんなスキル聞いたことないです。僕ら兎人族は隠れることも得意ですが、

 逆に見つけるスキル、それに対抗する術も沢山知ってますけど、

 看破なんてスキルは初めて聞きました。」


「え、じゃあどうやって隠れてる相手を見つけるの?」


「匂いとか音とか。気配察知の感覚を強化するスキルはありますけど。

 相手のスキル自体を見破るスキルなんて反則ですよ。」


いつの間にか俺は反則オリジナルスキルを作ってしまっていたようです。

僕は、いまだにこの世界の常識がはっきりと分かりません。

もしかしたら俺が知らないだけで、俺が作った非常識なスキルはまだまだ存在するのかもしれません。


「ごめんね。なんか、いろいろ。

 じゃあさ、俺の依頼受けてくれない?

 錬金ギルドからいくらで依頼受けてた?」


「成功報酬で金貨一枚です。」


おい、俺の首は金貨一枚の価値ですか?

こいつを使って殺せれば儲けもん、位に思ってる?

もしかしてそんなやつらばっかり雇って俺に仕向けるつもりか?

数撃ちゃあたる的な。やめてね、鬱陶しいから。


俺はどうしたもんかと考えた。そして一つの“イタズラ”を思いついた。


「わかった。その十倍出す。

 錬金ギルドに“これ”を持って行って、「依頼は達成した」と、伝えてくれ。」


俺は手を前に突き出すと白いモヤを放出した。


そして一体のクローンを作り出した。


OK、成功だ。フフフ、これから面白いものが見れるぞ。

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