第4話 クローン魔力転送始めました
大王スライムの部屋から出てきたのは100匹を超えるスライムだった。
狂喜したようにスライムたちの上で飛び跳ねるクローンたち。
ただスライムを踏み潰しているだけなんだけどね。
あっという間にスライムを倒し終わり、また探索を始めようとした時、
さらに多くのスライムが大王部屋から出てきた。
さっきの3倍はいるだろうか。
今度は少し大きめのヤツも交じっている。
しかし構わず飛び込んでいくクローンたち。
再び狂喜の踊りが繰り広げられ、
次々とスライムたちを葬っていく。
相当な量のスライムたちを倒し、
かなりレベルの上がっているクローンたちの敵ではない。
スライムアタックも難なく躱す。
当たったとしてもびくともしない。
安心してみていると、
さらに奥からもっと大量の数えきれないスライムが現れた。
「どんだけでてくるの?」
スライムアタックのレベルじゃない。
スライムの波に押しつぶされ圧死する…。
ここは『撤退』だ!
一度戻って作戦を立て直さなくては。
なんでいきなりあんなに大量のスライムが現れたんだ。
「あの奥には何もなかったはずなのに。」
もしかするとあの大王様が生み出してるのか?
ダンジョンのスライムが倒されると、
防衛のためにああやって
大量のスライムを生み出しているのかもしれない。
相当やばい奴だと思ってたけどさ。
あれはマジでやばいよ。
スライムの移動速度は大したことがないので、
簡単に逃げることができたが、
時々色の違う黄色いスライムがすごいスピードで体当たりしてきた。
木の棒でぶっ潰したけど結構な剛速球ですよあれ。
よく木の棒に当てられたよ。
動体視力も上がってるんだねきっと。
そうこうして洞窟の入り口までたどり着き、本体を起動。
洞窟の外まで追ってくるかもしれないから、
とりあえず少し離れた場所に避難。
一回合流して作戦を立て直そう。
レベルアップすればさらにクローン強化できるだろうし。
クローンに触れ次々と吸収していく。
[クローン魔力量は9835です
回収量は50%の4918です]
「効率上がり過ぎでしょ!」
前回が25で今回は4918ですよ。
約200倍。
確かに狂喜のスライム大虐殺はありましたよ。
クローンたちが悪魔的に微笑んでるようにも見えましたよ。
無表情なはずなのに。
声『スキル<クローン>のレベルがあがりましたLv.4
最大生成数 3 → 20
魔力回収率 50%→90%
最大魔力 15%→25%
操作性 30%→80%
[派生スキルが発現しました]
魔力転送Lv.1
クローンより魔力が転送されてくる 転送量 1/秒
転送条件を設定することによりスキルが使用可能になる
条件を設定しますか?]
YES/NO
う~ん、よくわからないけどとりあえずYESで。
[クローンからの転送条件を設定します]
クローンの魔力量 割合/一定
ここは割合かな。
一定量にするとクローンのレベル上げができない。
そして割合は100%。
クローンをレベルアップさせて、
その残りをこっちに転送してくれれば、
無駄なくレベルアップもできるはず。
ここら辺はやってみていろいろ変えていこう。
でもこれでクローンと一々合流しなくても、
魔力を回収できるようになったわけだ。
毎回回収してから生成してたんじゃ
クローン全然増やせないもんね。
魔力の消費量も増えてきてるし、
効率的にやるためには回収してられないもん。
さて、レベルはどれくらい上がったかな?
Lv 2→ 16
生命力 600→ 4800
魔力 600→ 4800
筋力 60→ 480
体力 60→ 480
敏捷 60→ 480
魔臓 60→ 480
魔導 60→ 480
総魔力 4948/4800
あ、魔力が4800超えちゃったもったいない…
これからは無駄にならないように使わなきゃね。
さー、またクローンつくりますよ!
今回はかなりレベルアップしたから、
相当強いクローン作れるよたぶん。
一体の消費が25%だから、とりあえず3体が限界だな。
洞窟に様子見に行かせよう。
生成したクローンに搭乗(意識だけ)して、と。
「さあ出発!」
どうやら洞窟の外にはスライムは出てきてないみたい。
ちょっとずつ警戒しながら進んでいくと、
あちらこちらにスライムがプルプルしていた。
とりあえず通り道のスライムだけ撃退して奥まで進んでみよう。
さっき入ってきた時とは違い、
奥から出てきたスライムのせいか量も多いし、
色つきも何種類かいる。
どんな特性を持っているかはよくわからなかった。
なぜなら、一撃で蹴り飛ばして消滅させているから。
さっきのレベルアップとスキルのおかげで、
相当強化されている。
さっきの探索とは比べ物にならないほど高速で進んでいる。
あ、彼ら強すぎてこれ以上レベル上げても無駄そうだから、
途中でレベル上げはやめて、
魔力の転送条件を一定にして80を超えたらすべての魔力を転送してもらうことにした。
おかげで12体目のクローンを洞窟に送り込むところですよ。
後発隊にはスライムの掃討をさせながら進んでもらっているので、
俺のレベルも20まで上がってきました。
スライムだけでこんなにレベルが上がっちゃって
この先の冒険が心配になってきました。
いい意味で。
そうこうしているうちに、先発隊が一番奥までたどり着いたようです。
さっきまでのスライムラッシュは落ち着きを取り戻し、
大王部屋の前にはもうほとんどスライムは見当たらなかった。
と、安心していたその時、
ダンジョンの異変に気付いたのか、
大王が次の部隊を送り込んできたようです。
その数なんと1000以上はいそう!
ふふふふっ。
さっきの俺なら恐れて逃げ帰ってきたところだろうが、
今度は違うぞスライム野郎!
なんとかかんとか括目せよってやつだ。
何とかが多すぎてよくわからんけど…
ゆけ、われらがクローン精鋭隊よ、スライムどもを蹴散らすのだ!
スライムの群れにクローンたちが突撃していく。
一度の体当たりだけで数十のスライムが消し飛んでいく様は
まさに圧巻であった。
瞬く間にスライムを蹴散らした彼らの表情はすがすがしかった。
(本当は無表情)
しかし、スライムの群れはとどまるところを知らない。
奥から奥から無限にあふれてくる。
「やばい、倒しきれない…。」
”倒しきれない”のではなく魔力が吸収しきれなくなってきた…
もったいないここはまた一時撤退だ!
この日俺は2度目の撤退を余儀なくされるのであった・・・・
なんやねんこの洞窟、おかしいで!
一気にパワーアップしたらそこでハイ瞬殺ちゃうんかい!
すっきり勝たせてくれよ!
さっさと次のストーリーに進みたいんじゃ!
こうしてスライム洞窟の攻略は遅々として進まないのである。