第38話 防衛の巨人
進撃のヤツ
まさか、やっていた事が王国軍に全部バレてて、20000もの兵を送り込んで来るなんてね。
しかもドリアードまで捕えて人質にしようなんて。
どこに行っても俺に平和はないのか。
王国軍って実際どれくらいの人数の兵士がいるんだろう。
今回だって俺一人のために20000人も送り込んできたんだから、
相当な数の兵士がいるんだろうな。10倍とか?
20万人かよ。これは急いで何か対策を考えた方がよさそうだな。
さすがにそんな大勢に一気に攻め込まれたらいくらクローンたちが強くても、
命を奪わずに退けるのは難しくなってくるぞ。
とりあえず防壁だな。これがあるだけで敵の侵入を防ぐのがぐっと楽になる。
ゆくゆくは砦でも作って防衛用クローンを作って防衛力を高めていこう。
高い城壁を土魔法で作るか。
いや、もし土魔法の使い手なんかが敵に居たら、俺がオーク砦攻略でやったみたいに防壁を破壊しつつ、攻撃に利用してくるかもしれない。
魔法障壁か?いや、魔力メッチャ使いそう。
となると、クローン。
そうだ、とある書物を思い出した。
それは人間と、進撃してくる筋繊維むき出しの人食い巨人との戦いの物語。
壁の中に埋められていた巨人。
これだ。これしかない。
ウォールジャイアント、壁の巨人だ。
高さ100メートル、幅100メートル、厚さ、10メートルの真っ白な城壁が目の前に生成された。
これ、俺から出てきたんだよね。
見上げるそれは想像以上に大きくて、すこしだけ。少しだけ、ちびった。
だって、彼、凄いの。凄くおっきいの。
そしてやっぱり壁の真ん中には、ヒトシ印の無表情。
しかも口のあたり、筋繊維見えてません?
そこ再現しちゃった?どんなに苦労しても変えられなかった顔が、そこだけ変化する?
森の入り口は幅30メートル十分カバーできる。
さて、これをどうやって設置するかと言うと。
出ました。スキル、自在と間取り。
これで形も内部構造も自由自在。
大きさが大きさだけに魔力も結構使うけどね。
とりあえずデカすぎるから。高さを30メートル幅を50メートル
厚みを40メートルにした。
これで入口は完全にふさがれた。
内部は3層構造にして。一階は正門と通路と出口。
うーん、必要ないか?どうせ移動は移転だし。
いやいや、こういうのは大事だよ。
何が大事かは知らないけどね。
そうそう、今後冒険者とかを招き入れて仕事してもらう事もあるかもしれないし。
二階は寝室と、調理場、お風呂。結構スペース余るな。
ま、後々何かに使えるでしょ。
あ、ドリさんとか、お客さん来たとき用に
リビングスペースも広めに作ろう。
30畳もあれば十分でしょ。
日本じゃ考えられないけどね。
三階はクローンたちの詰め所兼防衛用見張り台。
ここには、殲滅用にドラゴンと魔王を2体ずつ。
接近、中距離戦用に勇者を4体。対侵入者、索敵、情報収集、暗殺用に忍を4体。
そして、ダンジョンから魔力ラインを直接つなげて供給ラインの完成。
砦にこれだけの戦力。しかもダンジョンから大量に魔力を補充できる。
魔力切れでやられることはまずないでしょ。
いくら攻撃してもすぐに修復する防壁。
簡単に突破できると思うなよ。
そうだ、ついでに金貨一枚で引き渡したダンジョンも取り返しておきますかね。
多くの冒険者や、王国兵たちが未知のダンジョン攻略の為に国に潜らされている。
そして使い捨てにされ、次々と命を落としているという。
今までも、ダンジョン攻略で多くの命が一部の者の利益の為に犠牲になってきたなんて許せない。
ダンジョンはみんなの為にあるべきだ。
もともとあったダンジョンはともかく。俺が見つけたダンジョンは返してもらう。
そして魔力を蓄えて拠点を作って、国と渡り合える戦力を整えるんだ。
湿った空気。プルプルしたやつ。スライムの巣に久々に戻ってきた。
あれ?誰もいない。少し中に入ってみようかな。
やっぱり誰もいないね。完全放置ですね。放置してても魔力はたまりませんよ。
ま、スライムなんて倒す価値もないですからね。倒しても素材手に入らないし。
外に出てくる危険もないから、放置されたのでしょう。
あぁ、もっと早く知ってれば魔力のやりくりであんなに苦労することはなかったのに。
とりあえずクローンを放って攻略再開と行きましょうか。
ウォールジャイアントは…いらないよね。
オークとりざーとのダンジョンに向かうと、絶賛攻略中のようだった。
入口付近にはどちらも木造の簡易的な建物が建てられていて、王国関係者、王国兵、冒険者の休憩所兼居住空間のようだった。
いつまでも攻略に時間かけてるから、結局俺入れなかったじゃんか。
小言を言いながら、オーククイーンの情報を確認すると。
いまだにオークの集落で苦戦しているようだった。
確かに狭い通路だから大部隊での攻略は無理だもんね。
個々の戦力が相当高くないと、2000匹のオーク、ハイオークの群れを抜けて、
その奥にいるオークジェネラルには届かない。
しかも数を減らして次の日に再度挑戦しようとしても、元通りに復活してるんだから、
人間側だけが一方的に消費し続けることになる。
さらに、最奥に行くためにはこれを5,6箇所必ず通らなくてはならない構造。
そしてそこを何とか切り抜け、最後にオーク砦にたどり着く。
そこで20000ものオークの群れと、
巨大砦を見た時どう思うのだろうか。
そう考えると結構難易度高いんじゃない?
リザードダンジョンも水中通路や地下通路など入り組んでいて、
実は陸路でたどり着ける道は一つしかない。
そこにたどり着くために何万の分かれ道を
一つ一つつぶしていかなくてはならいことを考えると、
相当な労力を必要とするだろう。
さらに、リザードの奇襲を受けるんだから、たまったもんじゃないはずだ。
こっちもまだリザードマンの洞窟までも到達していない。
ま、その苦労も今日でおしまいだよ。報われなかったけどね。
それじゃ、返してもらいますか。
俺はダンジョン最奥まで移動した。
1時間後。オークダンジョン入口。
恐慌状態で必死に飛び出してくる冒険者と、王国兵。
「で、でた!白い悪魔が出た!」
最近話題の白い悪魔ですよー。貴様らのソウルを、イーターしちゃいますよー。
後を追ってのそのそと(逃がすために)ダンジョンの奥から出てきた白い悪魔君ことクローン。
ジョブは、白い悪魔と通り名を戴いたので、デーモンを使わせてもらった。
スキルはなんでしょうか。ハイ残念。スキルは、笑顔。スマイルです。
誰だろうね。スマイル無料なんて言ったの。
ばっちり魔力1000もサービス料取られたよ。
ぼったくり?
でもそのお蔭か、効果は絶大。
みんなさ、顔を見るとね、一瞬凍りついて、ワナワナ震えだすんだよ。
ガッドさんに悪魔の笑顔って言われたの思い出して付けてみたんだけど。
何が怖いんだろうね。友好の笑顔なのに。
でもこれでガッドさんが正しいって証明されちゃったわけですか。
ショックです。
上手く全員を外に誘導したところで入口を壁巨人で塞いだ。
これでとりあえず侵入は防げるぞ。またオーク肉の備蓄を増やせる。
俺のオーク肉で世界制覇だ。
さてと、次はリザードマンの洞窟前に移動しまして。
用意するものは甲羅と水かきとクチバシと頭に皿を乗っけた怪物。
きゅうりと相撲と、しりこだまが大好きな化け物カッパちゃんです。
「ウワ、なんだこの白い腕は!す、凄い力で引きずり込まれるぞ!」
あちらこちらで、悲鳴が上がる。悪戯好きのカッパちゃんである。
あるものは悲鳴を上げて。あるものは悲鳴を上げることさえ許されず。
次々と水たまりに引きずり込まれる。
後ろを振り向くとさっきまで一緒に探索してた仲間が
忽然と姿を消しているんだから、ホラーですよ。
よーでるよーでるでられんけん、ですよ。
もちろん引きずり込んだ冒険者は入口まで送り届けてます。
しりこだまの確認まではしてませんけどね…。
ウソです、そんな能力はありません。よね…。
突然のホラーにすべての冒険者が戦慄し、退却を始めた。
ふぅ、これで奪還は終了。無血開城ってやつですかな。
ちょっと意味が違うか。
まま、だれも死んではいないし。オーケーと言うことで。
リザードの入り口にも壁巨人を配置して完了っと。
ドレイクのザルバさんにもしばらく会ってないし、近いうちに会いに行こう。
さ、次はギルドだな。真相を調べないと。




