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第35話 ドラゴンと退治

首のないドラゴンと体の無いドラゴン。一瞬でドラゴンが二体になりました。

ドラゴンとの「対峙」が三秒でドラゴン「退治」になってしまった。


勇者さんやさすがに早すぎじゃないですか?

確かに勇者と言えばドラゴン退治は付き物ですけど。

流石に張り切り過ぎちゃいましたね。

もう少しドラゴンの容姿とか説明する時間位欲しかったな。

ほら、そっちの方が盛り上がるでしょ。


…ズシャリ。


ドラゴンは、頭が無い事に今、気が付いたのか、

数秒の間をおいて地面に崩れ落ちた。


よし。とりあえず、最後のナレーションはうまく決まったか?


兎にも角にも、普通のドラゴンは問題なく討伐できそう。


あ、こいつレッサーな奴だ。

レッサーでこのデカさか。


あ、ドラゴンは体高3メートル位、羽根を広げると10メートル位のデカさだった。

説明する暇もなかったからね。皮膚は暗い緑色で、強靭な後ろ足と。

腕と言うよりは前足のような形の四足歩行。だと思う。

次はもう少ししっかりと観察しようね。


まだ上空には二匹のレッサーと思われるドラゴンが。

低空を飛び回り、こちらの状況を窺いながら、

仲間に危険を知らせているのか、けたたましく鳴き声を上げている。


あ、降りてきた。違う、落ちてきた。

頭蓋に一本矢が貫通してる。

怖っ!何なのこれ。悪戯にしてはやり過ぎじゃないかと思うよ。

かわいそうに。警察に通報しますよ!マスコミなんかもわんさか来ちゃうよ!


あ、うちのボウマスターか…。


低空と言ってもかなり高いところを飛んでいたように見えたけど。

あんなところまで矢が届くんだね。


警戒して仲間を呼んでいるみたいだったけど、来るかな?


集まられると厄介だから、こっちも戦力を整えよう。


探索のために散開していた主戦力組のチームを集合させて様子をうかがう。


来たぞ!


レッサーが30匹はいるか。あれは!一匹デカい奴がいる!

あいつが群れのリー。群れの…。

あれ?落ちた。


デカいのが落ちるのに続いて、次々と落ちていくレッサードラゴン達。


だから早いんだって!まだ遠いから!


パニックになり逃げまわるレッサードラゴンは、

容赦なく放たれるボウマスター一人の矢によって、一匹一匹確実に仕留められていく。

そして最後の一匹が落ちた。


レッサードラゴンと、デカいドラゴンはこちらに近づくことすら許されず駆逐された。


いや、俺的には何の問題もない勝利なんですけどね。

絵的に、これでいいんですか?

もっと接近戦でワイワイやった方が良かったんじゃないすかね。


シミュレーションゲームでも遠距離当てて削ってから接近戦したりしますけど。

これ、たぶんドラゴンさん達、戦闘のフィールドにすら到達してませんよ。

ゲーム画面の外に矢を放ってるみたいになってますよ、たぶん。


まあ、それはしょうがない。クローンさん強すぎるんだもの。


それよりも、俺にはドラゴン退治でもう一つ楽しみにしていることがある。

それは、「ドラゴンの肉」である。


ある書物によると。ドラゴンの肉は非常に美味しいそうだ。

なんでも、グルメなフェンリルさんや妖精竜さんや

スライムなんかに大好評と言うことだった。


どんなに美味しいのか。俺はドラゴンと言う単語を聞いた時から、

ずっと楽しみにしていたんだ。

さあ、剥ぎ取るぞ。爪とか。牙とか。鱗とか。皮とか。心臓とか。

そんなんはどうでもいいんだ。貴様らにくれてやる。貴様らって誰だ?


とにかく、ドラゴンの肉だ。早くドラゴンの肉をよこせ!

おっと、おいらのベルセルクが騒ぎ出しちまったぜ。



最優先でレッサードラゴンの肉と。

デカいのは、鑑定をしてと。

やっぱりドラゴンか。ごめんよ、ドラゴン。まともに戦ってあげられなくて。

次は頑張って近づいてきてね。


で、ドラゴンの肉と。無限収納に入れて。


ハウスタートルの本体で受け取る。


ありがとうドザエもん。

こうして一瞬でドラゴンの肉を手に入れられるのは君のお蔭だよ。


さ、さっそく調理だ。と言っても焼くだけだ。

キッチンのカマドにはもう火は入れてある。

アツアツに熱したフライパンに厚切りにしたドラゴンの肉を乗せる。


じゅうじゅうと、肉の焼ける音に、香ばしい香り。これは楽しみすぎるぜ!


焼きあがるのを待ちきれず何度もフォークを刺して焼き加減を確かめる。

とっても引き締まっていい肉だ。

火が通るにつれて弾力が増していくレッサードラゴンの肉。


あれ?弾力が増していく。


あれ?フォークが刺さらない。


ドラゴンの肉に至っては、石みたいにガチガチに固くなってるよ?


これ、食えないんじゃね?


とりあえず、ましなレッサードラゴンの方に噛り付いてみる。

うん、ゴムタイヤを齧っているようだ。

もちろん、ゴムタイヤを齧ったことはない。そこまで腹ペコ君ではない。


味は、あることはあるけど。食えたもんじゃないね。

ドラゴンの肉に至ってはもう石です。断言します。石です。

これで人をなぐり殺す事も出来ますよ。便利です。

筋繊維の密度がすごかったもんね。そりゃガチガチになりますわ。


母さん、こちらの世界のドラゴンは食用には向かんようです。

楽しみにしてただけに、とてもショックです。

明日から僕は何を生きがいに生きていけばいいんでしょうか。

もう霊峰に登る目的の半分は失われてしまいました。


そんなことはないんだけど。


ここは気を取り直して、ギルドに行ってドラゴンの素材を買い取ってもらおう。

さてさて、いくらの値段が付くのやら。


王都で人に姿を見られるとまずいので、直接特設買取所へ。

王都を旅立つ俺に合わせて、誰にも見られない様に専用の買取所を設置してもらった。

通信用の装置でギルド長室に連絡。

待ってましたと、ギルドマスターのダンテさんが1分で到着。


どんだけ期待して待ってたんだよ。子供かよ。


「ヒトシ、早く出して見せろ。ドラゴンなんて一年ぶりだ。

 もう、素材の欠片も残ってやしない。これは、ギルドに取ってもお仕事になるぞ!」


ドラゴンって、そんなに凄かったんだね。苦労してないので、価値が全く分かりません。ごめんなさい。


「じゃあ、出しますよ。」


俺は無限収納から、ドラゴンの素材を取り出す。

皮と爪と牙と骨と。剥ぎ取ったドラゴンの素材は畳2枚分にもなるほどだった。


「これだけか?」


まあ、レッサードラゴンだからね。こんなもんですよ。


「あ、レッサードラゴンなんで、小さめですね。」


「いやいや、レッサードラゴンでもすごいんだ。ただ、肉と内臓はどうした?」


「あ、肉も内蔵も固くて食べられませんでしたよ。」


俺はとても残念そうにギルドマスターに説明した。


「ドラゴンの内臓はな、様々な薬の調合に使われるし、

 肉は滋養強壮、筋力増強の効果がある薬が作れる。」


俺はギルドマスターのマチョマッチョな体に目をやり。

待っていたのは、実はこの筋力増強薬。そう、ドラゴンの肉なのではないかと確信する。


「すいません、肉は食べられなかったんで、全部捨ててきちゃいました。」


「ウソ。だろ?」


ハイ嘘です。


ダンテさんは呆然と立ち尽くしていた。いつもの筋肉がしぼんでいた。


「冗談ですよ。」


「ヒトシ、その冗談は全然笑えないぞ。」


わーん、怖いよ~。ダンテさん、笑いが引きつってますよ。目が笑ってませんよ。

ほら、笑って笑って。


「…。」


誤魔化すように、俺は次々とレッサードラゴンの素材を取り出していった。


一体。また一体。そしてさらに一体。10体くらい出したとき、

ちらりとダンテさんの顔を見たら、ポカーンとしていた。


ほほほ、我々の勝利ですな。


さあ、シェロルさんを呼んできてもらおうか。


我に返り、俺のドヤ顔に気づいたダンテさんは、咳払いを一つ。


「シェロルを呼んでくる。」


と言って、ふらふらと外へ出ていった。


ギルマスよ。貴様は今俺の掌の上で踊らされているのだよ。


そしてシェロルさんを連れて戻ってきたダンテさん。


シェロルさんもポカーン。


おっと、その顔を見ると思わず口がにやけた形になってまう。


俺の視線に気づいたのか、頬を赤く染めて


「コホン、では、査定に入ります。」


そこに、もう一人の受付嬢、アヤさんも助っ人に現れた。


ポカーン。


辞められまへんなぁ。


「あ、ちょっと待ってください。」


ここまで、取っておいた。俺のとっておき。


「これもお願いします。」


俺は、レッサーの3倍はあるであろう、ドラゴンの素材をおもむろに取り出した。


3人とも完全に活動を停止しましたね。再起動まで1分。


ささ、査定お願いしますよ。

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