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第27話 本体、冒険者(F)になる

冒険者ギルドは3階建てのレンガ造りの立派な建物だった。

建物の真ん中には、剣と弓と斧が交差しその前を盾が覆うような形のエンブレムが掲げられていた。


扉の前で一呼吸して、俺は扉を開いた。



中には数名の冒険者が受付と話をしていたり、待合席で談笑などをしていた。

俺が入ると、一瞬ざわめきが収まり、こちらに視線が集まる。

しかし、またすぐ何事もなかったかのようにそれぞれ話し始める冒険者たち。

良かった、からまれる様子はなさそう。

閑散としているのは、もう昼も過ぎてこれから依頼を受けにくるものなんていないからかな。


混んでる時間だったら、もしかしたらからんで来るようなヤツもいたかもしれないけどね。

運がよかったかも。


俺は真っ直ぐ、空いている受付に向かい、声をかけた。


「あの、すいません。冒険者登録したいんですけど。」


「ようこそ冒険者ギルドへ。私、受付のシェロル・ネストと申します。冒険者ギルドは初めてですか?」


受付をしてくれたのは茶髪の髪が肩下まで真っ直ぐ伸びた、目鼻立ちのキリッと整ったモデルみたいな美人の受付嬢さんだった。


「あ、はい。初めてです。あ、しょ、紹介状。執務大臣からの紹介状があります。」


綺麗な人と話すのはあまり馴れていないので緊張してドモってしまった…。


「紹介状、ですか…?」


受付嬢さんは怪訝そうな顔で紹介状を受け取り、


「少々お待ちください。」


奥の階段を上っていった。


ん、何かおかしかったろうか。執務大臣からの紹介状を渡しただけなのに。


10分後、シェロルさんは戻ってきて


「ギルドマスターがお会いになるそうですので、2階の応接室までご案内します。」


紹介状が効いたか。ギルドマスターのお出ましですよ。これは特典盛りだくさんかもしれませんよ奥さん。入会料無料から初期装備費用全額負担から。送料、金利手数料無料、最大30回払いで、月々なんと2800円!どこからともなくハイトーンボイスの通販会社社長の声が聞こえた気がした。

30×2800円か、テレビとか洗濯機とか冷蔵庫とか、エアコンとか、大型家電だね。



応接室に入ると、ぼさぼさ頭で、無精ひげのマチョマッチョな50代のおっさんが自分の筋肉と語らっていた。

そして一瞬固まり、


「ようこそ、冒険者ギルドへ。俺がギルドマスターのダンテだ」


何事もなかったかのように自己紹介した。


「ヒトシです。執務大臣の紹介状、何か問題でもありました?」


俺は、さっきのシェロルさんの怪訝そうな顔が気になったので聞いてみた。


「ん、ああ。紹介状な。ありゃ、何の意味もない。国がギルドに干渉することなんてできないし、認めちゃいけない。紹介状なんてもらっても、もらわなくても、会員登録はできるし。みんなF級から優遇無しの平等スタートだ。執務大臣にいいように追い払われたってわけだ。なにがあった?」


ダンテさんは、面白くなさそうに言った。


「新しく、オークの巣と、リザードの沼とスライムの巣を見つけたんですよ。そのお礼に報奨金と紹介状をくれたんです。」


ダンテさんは思い切り目を見開くと、


「ダンジョンを三つも見つけただと?それもオークとリザード。それが本当なら、エライことだぞ。おい、王城に使いを出して、確かめて来い。下の奴らじゃだめだ。大臣か、次官クラスに問い合わせろ。今書状を書く。」


ダンテさんはあわてて紙とペンをとりスラスラとペンを走らせそれをシャロルさんに渡した。


「わかりました。急いで使いを出します。」


「それから、確認次第ギルド全体に通達。リストに挙げる冒険者たちと連絡をつけろ。」


なんだか急に慌ただしくなった。聞くと、オークとリザードどちらも武器防具には欠かせない素材で、それらが大量に準備できるであろうダンジョンが手に入っただけで、国の防衛力は格段に上がるそうだ。そして、それを手に入れるためには大量の冒険者が必要で、各地から冒険者が集まり、冒険者が訪れることで、そこにお金を落とし、ダンジョンに関する経済だけじゃなく、王都全体が潤うのだ。そしてそれらから得られる税収も莫大なものとなる。余った粗悪な素材は他国に売りつける事も出来るし。一石二鳥にも三鳥にも四鳥にもなるのだそうだ。

そこで、早急に名のある冒険者を集めて調査隊を結成するという。一秒でも早く。といった感じだ。

つまり、それだけ重要な物を俺は見つけたってことだ。金貨一枚と、無意味な紹介状なんかで手を打った俺は大馬鹿者ってことだろう。大臣に騙された。大臣ってそんな人のこと騙していいの?仮にも国の代表みたいなものでしょ?国自体の信用を失いますよ。まぁ、俺みたいなどこの馬の骨とも知れない奴に報奨金なんて渡す必要もなかったって事だろうけど。

まぁ、この国の皆さんの役に立ったって言うなら、別にそれだけでいいですけど。


その後、ダンジョンについて詳しく聞かれ、クローンのことと最奥まで行ったことは隠し、オークの集落があるらしいこと、リザードマンの洞窟があることを伝えた。

大臣が詳しくダンジョンのことを聞かなかったのは、ロズ隊長からある程度聞いていたこともあるだろうけど、俺をギルドに紹介して、「ギルドに全て丸投げしよう」っていう大臣のイヤらしさが見えるような気がした。うん、大臣嫌いだわ。


俺はダンジョン調査に協力することを約束し、受付に戻りシャロンさんに説明を受けて、冒険者登録した。


冒険者には等級があり、下はFから最上級のSまで。依頼の達成回数、達成率、達成難易度で、ポイントを点け、一定のポイントを貯めると昇級出来るということだった。

F級は薬草などの採取依頼。普通の手紙や、小包などの配達依頼と言うことだった。

常時依頼と言うのもあり、魔物の素材は常に依頼が出ていて素材を収めると、討伐した魔物のランクによってポイントがもらえるそうだ。ちなみにオークはE、リザード、ハイオークはD、リザードマンはC、

オークジェネラルはBだった。これオークジェネラルの皮とか持ってきたら、いきなり目立っちゃうよね。とりあえずオークの皮でもおさめてポイントと生活費を稼ごうかな。

薬草採取でもいいけど。あんまりお金にならなそうだし。見つけたら拾う感じでいいや。


ちなみに今はもう昼過ぎ。ほとんどの依頼は遂行中と言う印が押してあり、受けられそうな依頼はなかった。厄介そうな魔物の討伐、素材入手依頼は残っていたけど。俺はまだF級、受けれる依頼はE級までだった。


とりあえず昼飯がまだだったので、街の中で食べれるところを探したけど、高級な店しかなくあんまりお金を無駄にできないと思って、店には入らず街外れに屋台があったのでそこで食べることにした。

20歳くらいの明かる目の茶色のショートヘアの元気な女の子が一人でやっており、非番の兵隊さんたちの昼飯時を狙って店を開いているようだ。昼時を過ぎ、店じまいしている最中だったけど、余っているのでいいからとお願いしたら、コッペパンに切れ込みを入れそこに山盛りの野菜と甘く煮付けた川魚を2匹挟んだ、てんこ盛りサンドが出てきた。野菜入れ過ぎて、魚が上に載ってる。


「こんなになっちゃった。おにいさんごめんね~。」


いたずらな笑みを浮かべ、山盛り川魚サンドを手渡してくる女の子。

俺はそれを受け取り。


「いくらですか?」


「銅貨3枚だよ~」


「あ、すいません。今金貨しか持ってないんですよ。お釣りないですよね。」


「え~、おにいさんお金持ち~。いいよいいよぉ~。どうせ余ものだし。その代り美味しかったら常連さんになってね~。」


朗らかに笑ってまた片づけを始めた。うんうん、明るくて、気さくないい子だな。


俺はお礼を言って、今夜の宿を探すために再び歩き始める。

野菜盛りだくさんのサンドを頬張りながら。パンは少し硬めだけど、野菜は新鮮だな。きっと朝どりの野菜を使っているんだろう。魚にはなかなかたどり着かなかった。野菜多すぎ。思わずふふっと笑ってしまう。魚は内臓を取りよく煮込んであるようで、骨まで軟らかく頭からしっぽまで丸ごと食べられた。結構甘みと、塩気が強かったけど、野菜と一緒に食べると、これがすごく合って丁度いい塩加減、野菜もパンもさらにおいしく感じた。これで銅貨3枚だったら、毎日食べに来てもいいな。


俺は幸せな気分になり、鼻歌を歌いながら歩いていると、宿屋が並ぶ通りに出でたので、一番安そうな宿を探して、泊まることにした。

評価、ブックマークありがとうございます。

作者、暴走気味のため。ここが要らない、ここがうざい、ダラダラ無意味。など、戒め諫めのお言葉をお待ちしております。

もちろん、面白かったよー、などの感想も期待値100倍でお待ちしております。

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