第21話 クローン、オーク砦攻略
オークの巣の終着点。数ある通路が一本、また一本と集まり、最後に一本だけの道となった。
狭い道なので、退却のことも考え少数精鋭で挑む。
勇者を先頭に戦鎚士二名、聖騎士二名、大魔導二名、聖弓士二名、聖王一名の10人パーティだ。
一度、忍を使い偵察を行っているので、戦略を練り万全の状態で臨めそうだ。
細く長い通路を1時間ほどかけて進むと、地下にもかかわらず広大な空間が現れる。
多分東京ドーム3個分とか4個分というレベルだ。
そこには、岩や土を利用して築いた外郭に囲まれた、ドデカい要塞のような砦が存在していた。
これだけのモノをどれだけの時間を掛けて作り上げたのだろうか。
中は、沢山のオークの鳴き声が騒がしく、壁の向こうでせわしなく動いているようだった。
壁の上からたくさんのオークの頭が見えるが……。
おそらく一頭一頭がオークジェネラルクラスだろうと思われた。
空間の入り口に着いた勇者たちは突撃の陣形をとる。
前衛は突破力に優れた勇者を中心に両脇に戦鎚士、さらに隣に聖騎士で守りを固めていた。
後衛は大魔導二人と聖弓士二人。その後ろに全体を援護するように聖王を配置した。
さっそく作戦通り始めますか。
大魔導がゆっくりと両手を広げ、上に大きく持ち上げるような仕草をする。
大きな地響きを立てて、岩壁が高くそびえる様に地中からせり上がり、砦の姿を隠すほどに隆起した。
前に前に押し出すように手を動かす大魔導に合わせて
岩壁はゆっくりと傾きだし、ガラガラという音とともに大きな壁は崩れ、巨大な瓦礫が砦の中に降り注いだ。
オークたちは混乱し沢山の悲鳴が聞こえる。
しかし、容赦ない攻撃は続く。巨大な瓦礫の隙間から難を逃れたオークが這い上がってくる。
そこに間髪入れず、超振動の地震。瓦礫が砕け這い出てくるオークを、砂の中に沈めた。
そして、アースウォール。もちろん地中から土の壁を作り出す防衛魔法だが、もちろん縦だけでなく、
横に使う事も出来る。つまり、砂をそのまま固めて、沈んだオークを生き埋め状態にするということだ。
これで砦の外にいる殆んどのオークは片が付いた。
そして、外郭が沈み平らになった荒野を駆ける5つの白い影が。
壁を高く倒壊させている間に、前衛の五人は全力前進し、生き残りのオークを片付けながら真っ平らを走り、一直線に砦を目指す。しかし砦の中からはハイオークと、オークジェネラルが何千匹と姿を現した。
砦の中にはまだまだ戦力が多く残ってるのか。
勇者が立ち止まった。
剣を大きく振り上げそのまま振り下ろす。
真っ直ぐに振り下ろされた剣先から衝撃波が。衝撃波は砦まで到達し、堅牢な砦に大きな衝撃を与え、
固い岩でできた砦に深さ1メートルはあろうかという大きな傷を残した。
しかし堅牢な砦は、衝撃波の斬撃だけでは何十発放とうと効き目は薄そうだ。
勇者はまた走り出す。そこに追い付いてきた戦鎚士と聖騎士が並ぶ。
勇者の一撃が作り出した砦までの一本道に迫るオークたちを、
聖騎士が3メートルはあろうかというランスブレードで貫き切り裂き防いでいる。
戦鎚士たちも大型バイク一台分はあろうかという戦鎚を振り回し止まることなく前進を続ける。
迫るオークジェネラルは聖弓士の一撃で上半身を貫かれ腰から上が存在していなかった。
突撃から5分もたたないうちに砦の前にたどり着く。
砦は大魔導の風化魔法で徐々に堅牢さを失い、聖王の付与魔法によって強化された戦鎚によって、
一撃のもとに崩れ落ちた。
砦の中には、オークジェネラルたちを盾に天井の瓦解から身を守る一匹のオークがいた。
大きさはハイオークくらいだが、性別は女か。
出るところは出て、引っ込むところはなく、全てが出ている。たる型体系だ。
そいつは、犠牲になったオークジェネラルなどには見向きもせずに柔らかそうな素材でできたソファーに寝転んでいた。
鑑定解析結果は
オーククイーン[ダンジョンマスター]とある。
瓦礫とともにオークジェネラルを蹴り飛ばしオーククイーンに迫る勇者。
そのとき、足元に転がっていた小さな瓦礫につまずく勇者。
そのままオーククイーンに向かって頭から突撃の体勢だ。
…ん、このやらかい感触は。
ぺちんっ!
オーククイーンのビンタ。
なぜか痛くはない。痛くはないが、これが、かの有名な幸運か。
クイーンは頬を赤らめ視線を逸らせ顔を伏せた。そして再び視線を戻すと。
あごを少し上げゆっくりと目を閉じた。熱い口付けをせがんでいるようだ。
嬉しいシチュエーションのはずなのに。はずなのに……!
この晴れない心はなんだろう。
あぁ、オークだからか…
そして、クイーンの腹部が徐々に膨らんでいく。
あれ、まだ何もイタしてはいませんよ?
これが世に言う、「目を合わせただけで妊娠させられちゃった!」と言うやつですね。わかります。
サヨナラクイーン。手遅れになる前に、手を打たねば!あなたの子よ、何て言われたらたまったもんじゃない!(おなかの大きくなった姿に止めを刺すのは少し気が引けるけど)
そもそも何もしてないから、それ俺の子じゃないから!
と言う心の叫びとともにオーククイーンを葬ったのだった…
オーククイーンはその姿を留めず光の粒になり消えていった。
オーククイーンが消え去ったその場所には、紫色のこぶし大くらいの透明な結晶が転がっていた。
拾い上げ、鑑定解析をかける。
魔結晶…魔力溜が何千年もかけて結晶化したもの。
所有者の記憶や欲望を写しだし、ダンジョンという形で、その願望をかなえる。
魔結晶は魔力をさらに集め、その領域を広げ、さらに魔力を集め、所有者の願いを実現していく。
所有者は、魔結晶に集められた魔力の使用権を持ちイメージ通りの世界をその領域に実現する。
所有者は、不老。
ダンジョンの秘密が一つ解き明かされた瞬間だった。
ダンジョンは、所有者の理想を実現するもののようだ。
これって、所有者が変わった場合どうなるんだろ。ダンジョン崩壊?
そりゃまずいな。つってももうクイーン倒しちゃったしな。
[ダンジョンの所有者の消滅を確認、新たな所有者を確認
[ダンジョンマスターを認定しました
[ダンジョンマスターヒトシ登録完了
うん、思いがけずダンジョンマスターになってしまった。
ブックマーク、評価嬉しいです。
読んでいただいてると実感します。
ありがとうございます。




