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第2話 クローン、強化始めました

無事スライム討伐を終え、魔力回収をし、

意気揚々と本体のある場所まで引き上げようとしたとき、

目の前にうごめく無数のプルンプルン。


そう、今やっとの思いで倒したばっかりのスライムが何十匹も…


密集し過ぎて、くっついたり離れたり。数えきれない。

さっきの騒ぎに反応して集まってきたのかもしれない。



俺は慌てて狭い通路に入り、身を隠した。



さすがにこの量のスライム相手にできるのか?


いや、でもここ通らないと元の場所まで帰れない…


幸いこっちにはまだ気付いてないみたいだし。


一気に駆け抜ければ行けるかもしれない。

こうして隠れていても、しばらくいなくなる気配はなさそうだな。

何かいい方法は…



ん?

スライムの群れの中にぽっかりと円形の空間がある。

あれは、さっきのスライムを倒した場所か。



もしかして、仲間がやられた場所には、

危険を察知して近づかない習性でもあるのかもしれない。

いやきっとそうに違いない。


とりあえずスライムを踏み潰しながら、あそこを目指してみよう。



俺は壁ギリギリまで後ずさり、助走をつけ一気に飛び出した。


プルプル震えたまま動かないスライム。

身を固めて防御態勢を取るスライム。

小さく固まり、体当たりを仕掛けようとするスライム。



固まっているスライムは踏んでもつぶれなそうだし、

足を取られるかもしれない。



とっさの判断で、俺は無反応のスライムを目がけて飛び込む。



びしゃん!


びしゃん!



踏みつけるたびに、水風船がはじけるような音を出しながら

つぶれるスライム。



足元は青白く光り、魔力が吸収されていく。



びしゃん、びしゃん!



びゅおん!



調子に乗って踏みつけていると、

右肩を掠めるスライム砲弾!


すんでのところで当たらなかったけど、

足元が狂い、身を固めているスライムを踏んづけてしまった。


野球ボールでも踏みつけたような感触。

足をとられる。



やっぱり固まっているスライムは踏みつぶせない。

これはまずい、どんどんスライム砲弾が飛んで来るぞ。



とっさに身をひるがえしうつ伏せになる。



次の瞬間、



びゅおんびゅおんびゅおん!びしゃんびしゃんびしゃんびしゃん!



頭の上に降り注ぐスライム水。

どうやら自分たちでぶつかり合い、自滅を始めたみたいです。



どんどん青白い光が降り注ぎ、クローンの体が青く染まっていく。



スライム水を嫌ってか、どんどん俺から離れていくスライムたち。



ふぅ…。



とりあえず、スライムぼっこの危機は去ったみたいだね。



[クローンの魔力貯蔵量が一定値を超えました]

[クローンを強化しますか?]


YES/NO



お?さっきまでの声とは違う。

感覚的に、声というより文章かな?

スキルの関係かもしれない。


さっきのスライムシャワーを浴びて魔力が相当たまったんだろうか。

よくわからないけど、今より強くなって戦いが楽になるんだったら、

願ってもないことだよ。


とにかく、いろいろやってみなくちゃ何もわからないもの。

答えはもちろん、


YES!



攻撃特化/防御特化/速度特化/魔導特化/レベル上昇

                魔力使用量  10

                 魔力残量  44/30


お、また選択肢だ。

クローンはどう強化するのか選べるみたい。

魔力量も数値化されてるし。

とても親切設定!


今、大体20匹くらいスライム倒したから、

スライム一匹で大体魔力量2ってとこかな。


さて、何を上げるべきか。

今はすべてにおいて心もとないからなぁ。


全然思い通りに動けないし。

とりあえず、レベル上昇でどれだけ強化されるか試してみるのが無難かな。


よし、レベル上昇で!



[クローン体のレベルが2に上昇しました]


[ステータスを確認します]

筋力  3 → 6

体力  3 → 6

敏捷  3 → 6

魔臓  3 → 6

魔導  3 → 6


[使用した魔力は本体合流時には還元されません]

             魔力残量  34/60



魔力残量の右側は魔力最大値かな。

たぶん魔臓か魔導ってのが増えたことで、30から60に増加したんだ。

魔臓1で魔力10てことかな?


まてよ、クローンに使った魔力て、俺の10%だったよね。

クローンのステータス初期値が3てことは、俺はオール30てことになるのかな。

後で自分のステータスも確認できるか見てみないと。


魔力残量が最大値を超えるとレベルアップできるのかな?

もう少し検証が必要だけど、

今はとりあえずどれだけ強くなったか試してみたいな。


ここでいっちょスライム狩りでもしますか。

だいぶ逃げちゃったけどね。

でもあれだけ大量にいたんだから簡単に見つかるよ。



行動開始。さっきより体がだいぶ軽い気がする。



きっと隅っこのほうに…。

ほらいましたよ~!あ、かたくなってる!



何度も思いきり踏みつける!


ばちん!


固くなってるせいか、さっきより相当デカい音が響いた。

でもなんとか潰せなくはないな。

さて、どんどん行くぞ~!




10分後


[クローンの魔力貯蔵量が一定値を超えました]

[クローンを強化しますか?(Lv3)]


YES/NO



レベル3になった。



攻撃特化/防御特化/速度特化/魔導特化/レベル上昇

                魔力使用量  20

                 魔力残量  62/60



全体的にあげたいところだけど、

やっぱり攻撃が効かないと魔物相手にも戦えないから。

攻撃受けて魔力削られても、倒して回収すれば回復できるみたいだし。


だから攻撃特化でいこう。


[クローン体のレベルが3に上昇しました]


[ステータスを確認します]

筋力  6 → 15

体力  6 → 8

敏捷  6 → 8

魔臓  6 → 8

魔導  6 → 8


[使用した魔力は本体合流時には還元されません]

             魔力残量  42/80



攻撃力急上昇!

固まってるスライムでも一撃で行けるかな。

特化で上げても他のステータスもちゃんと上がるし、

特化の方が最終的に効率よさそう。



まだまだいけるぞ!


「さてさてスライムちゃーん


どこですかぁ~ ん~?


ここだぁ~!いないかなぁ~?あららぁ~どこにいったんでちゅかねぇ~♪」



………



…だまってやろう


さらに10分後


[クローンの魔力貯蔵量が一定値を超えました]

[クローン強化に使いますか?(Lv4)]



攻撃特化/防御特化/速度特化/魔導特化/レベル上昇

                魔力使用量  40

                 魔力残量  82/80


今度は使用量が40になってる。

倍々になるなやつですか。

ある程度レベル上がったら頭打ちになっちゃうね。

そしたら一回合流して作り直すか。

合流も楽しみだけどね。


とりあえず今回は速度特化で。


[クローン体のレベルが4に上昇しました]


ステータスを確認します

筋力  15→ 17

体力  8 → 10

敏捷  8 → 17

魔臓  8 → 10

魔導  8 → 10


[使用した魔力は本体合流時には還元されません]

             魔力残量  62/100


わ~一気に減っちゃった

あ、体の色が灰色になってる…


でも魔力消費するだけなら、魔力残量オーバーしなくても、

強化できるんじゃないかな?


[クローンを強化しますか?(Lv.5)]

魔力使用量 80



ほらね。

でも、魔力残量にも気をつけなきゃね。


今回はしません。


スライムぺちぺちやってるのもいいんだけど、

せっかく強くなってきたんだから、

もうちょい奥まで進んでみようかな。


あの通路の奥とかまだ行ってなかったよな。


 

そういえばだいぶ奥まで来たけど全然暗くならない。

壁からも微量に魔力がしみだして、薄青く光ってるっぽいし。

あとはクローンの性能のおかげだったりするのかな。



…こっそりと通路の先をのぞいてみると、

さっきより一回り大きいスライムが10匹、ぷるんぷるんしていた。



あれくらいなら蹴飛ばせば倒せるよな。


スライム狩りをしているうちに、

踏みつけるより足で蹴とばしたほうが効率がいいことに気づき、

編み出した戦法。

その名も『スライムは友達だよ!作戦』である。

常にスライムを探し、蹴り続けることで、

スライムに馴れ、スライムを知り、スライムに愛され、

より強くなれるのである!

大空くんの名台詞である。


友達蹴り飛ばして潰しちゃってるよ!?



そう、渾身のボケにも誰も突っ込んでくれないのである。

そう、なぜなら僕は今ボッチだから!



さっきから人の気配が全くない。

ここってそんな山奥なの?


スライムの洞窟なら、

「最初の冒険はやっぱりスライムじゃね?」

な冒険初心者さんがいてもよさそうなもんだけど…


俺って遭難中てことになるんじゃ…

そういえば食べ物とかってどうするんだろう。

そこら辺のキノコとか、不思議な色の木の実とか食って

ハッピーな状態になるのだけは避けたいところですね。



おっと、いけない。

目の前の敵に集中しなくては。

相手はたかがスライム(ちょっと大きい)

油断してるくらいがちょうどいい…おい!おいおいおいおい!

その油断はどこからやってくるのでしょう。



いくらクローンだからってやられて良い訳じゃないからね。


そういえば洞窟に入ってから、

あの不思議な声は聞こえなくなったな。

クローンのことでまだ詳しく聞きたかったのに。

もうちょっといろんなことを聞きたかったな。


なんて考えている間に奥からさらにスライムが現れる。


盆踊りでも踊っているかのように、

輪になり軽快に踊っている。

プルプルしてるだけ、ともいうけど。


しかしその中心には、

和やかな光景に似つかわしくないものが存在していた。


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