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第六話†カーナビ†
今日は車で大学の友人と二人で旅行です!
〈三〇〇メートル先、左方向です〉
赤信号で停車をしているとき、助手席に座っているショートヘアが似合う友人がこんなことを言った。
「カーナビって自己満だよね」
「どういうこと?」
私は首を傾げた。
「だって道案内するだけだよ? 利益も無く。それって自己満でしかないよね?」
「そんなこといってると、カーナビ君、怒っちゃうよ」
私は冗談交じりに彼女にそう返した。
「そんなわけー」
彼女も笑いながら私にそう返した。
すると……、
〈イラっとしたので案内を終了します。ここから目的地までの所要時間は大体二〇分から五〇分です。ここからはあなたの自由気ままに目的地に向かってください〉
「えー、ちょっとー、嘘でしょ!?」
私は叫んだ。
「ほらね」
「ほらね、じゃなくて、真面目にシャレにならないんですけど……」
大体、カーナビが自己満って言ったのは私じゃなくて彼女の方なんだから!
この後、近くにあったコンビニに停まってカーナビ君を説得するまでに二〇分から五〇分かかりました。