第四話†論文盗作†
大学卒業、修士課程修了には課題として論文がある。論文等の長文を書くことを忌み嫌う人が多いこの御時世である一方で、私は論文などの長い文章を書くことがとても好きであるし、それを自負している。
そんなある日、提出した論文について担当教授である桜坂教授に呼び出された。
「何で呼び出したかは分かるよな、須藤君?」
須藤、というのは私の苗字である。桜坂教授は疑いの目で私を見た。
「いえ、恐縮ながら、分かりません」
私がそう言うと、教授は机に入っていたUSBを取り出して、私の目の前でそれを机に置いた。そのUSBは間違いなく私が教授に提出したものだった。
「お前、これ、盗作だろ?」
桜坂教授は先程と同じ目つきをして、私に訊いた。
「いえ、盗作ではないです」
私は教授の発言を否定した。
「じゃあ何でWikipediaに全く同じ文章がいくつも出て来るんだ?」
教授がパソコンを操作し始めた。スクリーンにはWikipediaのページが開かれていた。
しかし、私は正論を言った。
「Wikipediaのそのページを編集したのが私だからです。このSTU1106というのが私のWikipediaでの登録名です」
「」
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