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第3話 冒険準備完了

冒険者ギルドを出た俺は同じ商業区にある武器と防具の店を探す。最初は防具屋に行き、その後武器を買うことにするつもりだ。この街の周辺に出るモンスターは武装さえすれば一般人でも問題なく対処が可能とのことらしい。現代で剣道部に所属していた自分ならまず遅れを取ることはないだろう。しかし、この世界と現代の一般人で能力に差があった場合どうなるかわからない。防具には特に力を入れて選ぶべきだろう。


「おっ?あったあった」


商業区を周り続け、盾の絵が描かれた看板を見つける。建物もそこそこ大きく良い物が期待できそうだ。


さっそく中に入り商品を見渡す。ファンタジー物では定番ともいえるレザーアーマーやフルプレートアーマーを始め、バックラー、カイトシールド、プレートヘルム等、防具装備品は一通りそろっている。その中でも特に興味を魅かれたのは商品名に『ブリガンダイン』と書かれた鎧だ。


ブリガンダインは服の内側に金属片を打ち込んだ袖なしチョッキとも言える鎧だ。しかしこのお店に置かれている、もしくはこの世界のブリガンダインはレザーアーマーの内側に金属片を打ち込んだ造りになっている。胸部くらいにしか金属片が打ち込まれていないが、軽戦士用の鎧であるため性能的には問題ないだろう。自分ではチェインメイルやフルプレートアーマーではまともに動ける気がしないし、戦い方も身軽でいた方が合っている。防御力と身軽さが両立できるこの鎧はまさに自分向けといえるだろう。


その後、頭装備には額部分の面積が少し大きめに作られたサークレットさらに手で持つのではなく革の紐を体の一部に括り付けて使用するタージェという盾があったので購入した。武器は両手剣を想定していたので盾はあきらめるしかないと思っていたからこれはありがたい。お金にはまだ余裕があったので、ブリガンダインに使われている革には4つ星モンスターであるパムートという像の様なモンスターの皮を使用している物にした。鉄には及ばないものの防刃効果が高い皮らしく、体の動きを阻害するほど固くもないので相手によっては鉄の鎧で戦うより優位に立ち回れることもあるらしい。手のレザーグローブと足のレザーブーツもパムートの革で統一した。


「まいど!また買ってくれよ!」


会計を済ませ、人懐っこい笑みを浮かべた店主の声を背に防具屋を後にする。防具はその場で装備させてもらった。


(10000ジル吹っ飛んだがこれも必要経費だろう。命に比べれば軽い軽い♪)


駆け出し冒険者に手が出るような金額ではまずないだけに、装備の性能は相当なものと考えていいだろう。これなら簡単にモンスターの攻撃で致命傷を負うことはまずないだろう。後は武器屋で剣を買うだけである。


「いらっしゃい!ゆっくり見て行ってくんな!」


二本の剣がクロスした絵が描かれた看板の店が武器屋だ。中に入ると防具屋の店主と同じように人懐っこい笑みを浮かべた武器屋の店主が声をかけてくる。


「直剣タイプの剣が見たいのですが」


「それなら左側の方に置いてあるぜ。ロングソードやクレイモアとかがあるな」


店主の指差す方向に目を向けると確かに先ほど話に出た剣の他にツーハンデットソードや直剣とは少し違うフランベルジェ等もある。


とはいえお金も少し残しておきたいので剣は少し強い程度に抑えておくつもりだ。そう思い剣の値段を見る。ロングソードが500ジル、クレイモアが700ジル。防具はかなり高価な素材の物を買っただけに、剣の値段が控えめに見えてしまう。


(とはいえ一番安い剣が300ジルのショートソードだと考えると700ジルでも高い方なのか?)


異世界トリップ二日目にしてもう金銭感覚が狂い始めているのだろうか?高い買い物をしたのは防具だけなのだが。


(ん……?)


『バスタードソード 1000ジル』


おおっ!バスタードソードだ。ゲームでも序盤、中盤においてそこそこ強い武器として有名だったりする剣である。値段的にもなかなかの強さの剣と見てもいいだろう。


試しにバスタードソードを持ってみる。


「……!えっ!?」


軽い!?片手でも楽々持ち上げられる。1メートル以上はある鉄の剣のはずなのに部活で振っていた竹刀より軽々と振り回せそうだ。


「おおっ!そいつを軽々持ち上げるなんてずいぶん力持ちじゃないか。防具もいいもんを装備してるみたいだし、坊主あんた若そうにみえるがもしかして3つ星か4つ星の冒険者なのか?」


「いや、今日冒険者になった1つ星ですけど……」


店主が少し驚いた様子で聞いてくるのでやはり異常なのかと思いながらも正直に答える。


「そりゃすごい!駆け出しの冒険者でいきなりバスタードソードなんてまともに持つことも出来ない奴の方が多いからな。あんた冒険者として大成するかもしれんぞ?1つ星でそれなら4つ星になるころにはかなりの超人になるだろうからな」


「星が多い人たちはそこまで動きが違うんですか?」


「おう!4つ星以上の冒険者をそこまで多く見たわけじゃないが一般人の目からしたら人間離れした動きにしか見えねぇよ。フルプレートアーマーで軽業師並みの動きをするなんて普通自分の目を疑うぜ?」


「な……なるほど。それは確かに自分の目を疑いたくなりますね」


どうやらこの世界の冒険者は高ランクの人ほど人間離れした動きが出来るほど体が強化されていくらしい。そして自分はすでにそこそこの力を持っている様だ。つまり多少なりともチート能力が備わっていたのだ。


(これはうれしい誤算だったな。能力的なチートって異世界転生で神様から直接力を与えられたり、RPGのレベル制やステータスが見れるようなシステムの世界のパターンが多いと思ってたからな。いや、そもそも俺が異世界にトリップしたのもこの世界の神様の仕業なのかも。じゃなきゃこの世界の服やお金が最初から持ち物として入っているはずないもんな。でも直接俺に干渉してこないってことはとりあえず自分の好きなように行動しても問題は無いって捉えていいよな)


ひとまず浮かび上がってきた疑問は自分の中で自己完結させバスタードソードを購入することにする。それから剣の手入れのために油と手ぬぐいも合わせて購入した。がこれにより自分が荷物を入れるためのリュックサックを持っていなかったことに気づき、急いで雑貨屋を探しだしてリュックサックを購入する。


最後の最後で慌ただしくなってしまったが、これで準備完了だ。冒険者ギルドに戻って依頼を受けることにしよう。まだ何か忘れていたとしてもそれは気づいたときに対処すればいいだろう。こんな適当で大丈夫かな?俺。



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