#6 リベンジ
「やり直してみたくはないですか?」
目の前の黒髪灼眼の青年が俺に問いかける。
「・・・どういう意味だ」
「いや、言い方を変えましょう。救えたはずの命を救ってみませんか?」
「救えたはずの命?」
「そう。救えたはずだった、あなたが奪った命を。」
「なっ・・・!」
俺はカッっとなって胸ぐらを掴む。
しかし、目の前の少年は無表情だ。気持ちが悪いほどに。
「救いたいとは思わないんですか?やり直したいとは思わないんですか?
僕には救いたい人がいる。力を貸してください。」
――――――――――――
―地下7階 12/23 午前7時 残り50時間―
正直、今の状況を100%理解しているわけじゃない。
でも、ありえないことがあいつの仕業で起きている。それは紛れもない事実だった。
「おじさん、どうしたの?」
隣のワンピースを着た少女が俺の顔を覗き込んでいる。
「いや、何でもないよ。考え事をしていただけだ。先を急ぐぞ、深夏。」
適当にごまかして歩みを進める。
昔見た忌々しい光景。そして片時も忘れたことのないこの少女。
それが今、目の前にある。信じられない光景だ。
あいつの言うとおりにし、危機に陥っていた深夏を助けて地下7階まで進んでいる。
もうあんな目に遭わせるものか、もう一度冬樹に会わせてやる、その一心でここまでたどり着くことができた。
まだまだ道のりは長い。
「おじさん見て!敵がこんなに!」
深夏が端末を指指す。
ロボットがざっと8体といったところか。
地下7階と地下6階は深夏ちゃんと分断させるようにあの女の罠が仕掛けてあります。
出来るだけ迂回はしないでください。ピンチのときは俺が駆けつけますので・・・
あいつの言葉を思い出す。
8体ぐらいならいける。これぐらい何ともない。
「深夏、後ろから誰か来ないか見張っててくれ。俺はこいつらを蹴散らす!」
「ちょっと!おじさん!」
「お前は俺が守ってやるから心配するな。じゃあ、行ってくる。」
「・・・うん」
俺はデザートイーグルを構えて飛び出す。
相手の武装を確認。遠距離型が3体で・・・近接型が5体か。
とりあえず遠距離型を一匹ずつ倒す。
弾に能力を込める。
まずは1発目。遠くにいる遠距離型のボディーを粉々に吹っ飛ばす。
2発目。手前の遠距離型の頭部を吹っ飛ばし、機能を停止させる。
3発目を撃とうとしたが、その前に攻撃が来そうなのでマントに能力を込めて硬質化させ、前に広げて盾にする。
遠距離型が発砲した弾がマントに当たるが跳ね返り、逆に反射した弾が能力によって倍速化されて襲いかかる。
これで遠距離型の3体は倒した。あとは・・・
マントが地に落ちると同時に左手にベレッタを持って、両方とも発砲。残った近接型を乗らず駆逐する。
「これで全部だな。次は・・・
お前だ、杉崎麗香。」
敵が異様に密集していた場合は既に敵の罠の中です。逆に深夏ちゃんを囮にすれば相手から来るかもしれません。
パリン
俺は真後ろに発砲し、氷の壁を撃ち壊す。
そして、その中に居た女性に銃口を向ける。
秘書のような格好をした女性。あいつに名前は聞いた。
「お、おじさん・・・」
深夏は氷で身動きを封じられている。
その前に杉崎がいるが、顔は動揺を隠しきれていない。
「ど、どうして私の名前を・・・」
「2回目はそう簡単にはいかないってことさ。覚悟しな、女狐」