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#11 追い求めた先に

僕は愛する者を手に掛け、そして僕は人ではなくなった。

手に掛けたときのあの感触、あの人の最期の顔が脳裏に焼き付いて離れない。

泣いているのに、笑っていた。僕なんかのために。


電磁バリアを解除した後俺は瀕死、いやほぼ死んでいる彼女を可能なかぎり遅くした。

レベル5となった俺には最早完全に時間を止めることすら可能だった。遅くすることなんて造作もない。

時間を操る能力。時計の針を弄る能力。


武藤は姿をくらまし、行き場所を失った僕はある研究者に拾われる。

御堂という名前だったか。彼女は人間の持つ特殊な能力について研究しており、僕の時間を操る能力に興味を持っていた。

御堂はまず、僕に一つの疑問を投げかけた。


「時間を操れるなら、何故時間を巻き戻さないんだ?」


僕には何故か時間を巻き戻すことは出来なかった。

時計の針を進められる。止められる。でも、戻すことはできない。

御堂は考えられる理由を3つ挙げた。


1つ目。そもそも時間は巻き戻すことができないから。

2つ目。能力が足りていないから。

3つ目。過ぎた能力に身体がもたないから。


御堂は1つ目に関しては研究の結果から可能性が低いと言い、2つ目と3つ目が理由だろうと推測した。

そして、御堂は僕にこう持ちかける。


「私の実験台にならないか?」



――――――――――――


パリン


氷の竜が割れて崩れ去る。


「な、何これ!?何が起こったの!?」


深夏が慌てふためく。


「これってもしかして・・・」


「そうだよ、夕姫。」


深夏と夕姫の前に着地する。

今の状況を簡単に説明すると、杉崎に襲われていた2人を助け出したと言った感じだ。

実際夕姫が居れば勝てはしたのだが。


「コレハイッタイ・・・ナンダッテイウノ・・・」


氷のように崩れかかった杉崎の体が地面に横たわっている。


「運が悪かったね。君達の思い通りにはならないよ。」


バンッ


銃弾を撃ち込まれ、杉崎は絶命した。



「さて、夕姉。いや、夕姫。待たせてごめん。」


夕姫は少し目を瞑ったあと、僕の見覚えのある表情に戻る。


「りゅうくん遅すぎ。終わったら罰ゲームなんだから。」


そう言ってにっこり笑う。


「はは、楽しみにしておくよ。」


そして、僕に会い一ノ瀬夕姫としての記憶を取り戻した夕姫はプログラムが発動する。

血塗れの姫君...Bloody Princessと名付けられた悪趣味なプログラムは夕姫を戦闘マシーンへと豹変させる。

一ノ瀬夕姫としての記憶がトリガーとして設定されている。事前に以前の夕姫としての記憶も入れてあるので、僕を数回見ただけで記憶が復元する。

夕姫はもう一度目を瞑り、そして再度目を開けたときには目は紅蓮に染まっていた。

それと同時に夕姫の姿が消える。

僕は咄嗟に能力を発動し、周りの時間を遅延させる。

すると、刀を持った夕姫が目の前に出現し今にも刃が僕に襲いかかろうとしていた。

次に僕は自分の時間を加速させ、刀を避ける。

夕姫は刀を返し横薙ぎしてから、間髪入れず袈裟斬り。

横薙ぎを避けたあと、時間を止めて刀を両手で受け止める。


この間の攻防、わずか一瞬。

近くで見ていた深夏には何が起こっていたのかすら分からないだろう。

世界の時間を止められる時間は連続で3秒。世界を遅延させられるのは連続で10秒。

僕自身が加速するのは無限にできるが、強化されていても体の負担が大きいので連続20秒。

どれも使用の間隔は2秒。

しかし、触れているならば無制限に時間をコントロール出来る。


夕姫は刀を離させようと力を入れるが、僕が両手で押さえているためすぐには動かない。

そして刀を通して時間を止めようとするが、気づいたのか、夕姫は刀を離して後ろに飛んで下がる。


・・・チェックメイト。

すかさず時間を止めて飛んでいる夕姫を抱きとめる。

飛んでいる最中なら、3秒であっても無抵抗に体を拘束できる。

夕姫は必死に抵抗するが、完全に捕まっているため無駄な抵抗になる。

僕は袖に隠しておいた小型の注射器を出し、夕姫に注射する。

注射器の中には御堂が作ったBloody Princessプログラム消去のプログラムが入っている。

抵抗していた夕姫はおとなしくなり、目は元の色になる。

顔を正面にやり、僕は一言声を掛ける。


「おかえり、夕姫。」


「ただいま、りゅう・・・んっ・・・」


間髪入れずに口を塞ぐ。少し驚いた顔になっていたが、次第に顔が涙で歪む。

待ち望んでいた瞬間。僕はこの瞬間を何年もの間待ち望んでいた。

この瞬間は何十年のように長く感じられた。今までの時間がまるで短かったかのように。





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