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#10 切り裂き魔

―地下5階 12/24 午前8時 残り31時間―


その後、夕姫はしばらく目を覚まさなかった。

ようやく目を覚ましたかと思ったら、彼女の記憶はかなり曖昧になり、特に地下5階で俺に会った後の記憶は完全に無くなっていた。

これが意図されたものであるかは断定出来ない。ただ、流生に関係があると確信している。

とりあえず、流生の話は彼女の前では避けたほうがいいだろう。


深夏が起きたので、軽く事情を説明して俺達は地下5階のボス部屋へと向かった。

深夏は足を怪我しており、俺が抱きかかえて移動している。

足を怪我してようがしてまいが、戦闘には参加させたくないので、絵里との協力の交換条件としてボス戦のときは夕姫が守ることになった。

ボスについては前回は暴走した深夏が倒してしまったが、今回はそうもいかない。


「ここがボス部屋ね」


大きい扉の前に到着する。マップを見ても、ここがボス部屋なのは間違いない。


「深夏、ここで待ってくれ。」


「う、うん。気をつけてね。」


「ああ、死にはしないさ。夕姫、頼む。」


「分かった。深夏ちゃんは任せて。」


扉を開けて中へと進む。絵里も後に続く。

最初は暗くてよく見えなかったが、突然電灯が灯って中の様子が見えるようになる。

部屋はとても広くて遮蔽物がなく、普通に走れるぐらいの広さだ。

そこの中央に人が倒れている。


ガタン



「な、何!?」


「後ろを見ろ!閉じ込められた!」


後ろを振り返ると、後ろの扉が閉まっている。

扉を蹴るが、開かない。ロックされてしまっているようだ。

・・・分断された。外は夕姫と深夏がいる。

これが奴らの仕業なら、確実に襲ってくるだろう。夕姫は大丈夫だとは思うが、足を怪我している深夏は危ない。

などと考えていると、部屋の中央で倒れていた人が立ち上がる。

どうやら身長と服装から察するに男性のようだ。

髪は金髪で、察するに欧米人のようだが・・・


「ダグラス!?」


「知っているのか?」


「知っているも何も、私の婚約者よ?殺されたはずじゃ・・・。」


ダグラスは何も答えない。

目を瞑り、ただひたすらそこに立ち尽くすのみ。


「ダグラス!聞こえないの!?私よ!エリーよ!」


「・・・」


ダグラスがカッっと目を見開く。


「ウオオオオオオオオオオ!!!」


咆哮を上げ、こちらを睨みつけてくる。

目は虚ろで明らかに正気ではない。


「ダグラス!私が分からないの!ねえ!」


「落ち着け。たぶん正気を失っている。」


「で、でも・・・。」


突然死んだと思っていた婚約者が目の前に現れたのだ、混乱するのも無理もない。


「冷静になれ。正気を失ってるなら、動きを止めればいい。グスタフはどんな能力を持ってるんだ?」


「私の能力が最大の防御だとすれば、グスタフの能力は最大の攻撃。グスタフが触れた物は分解され、まるで斬られたかのような錯覚に陥る・・・能力名は切り裂き魔。」


「触れたら駄目ってことか・・・絵里、どうすればいい?」


「そんなの私にも分からないわよ!」


触れたら駄目・・・そんな相手どう倒せば良い!?

そう話している間にもダグラスはこちらに向かってくる。

銃を足に向けて撃つが、案の定弾は分解して消滅し、ダメージを与えることが出来ない。

銃の音に反応したのか、ダグラスはこちらへ走ってきて手刀で斬りかかってくる。

触れてはいけないため、紙一重でかわしつづける。防戦一方だ。

相手の弱点は分かっている。それはリーチの短さだ。

触れなければいけないという制約があるため、リーチが短い。だが、こちらはリーチこそ長いが有効なダメージを与えることができない。

婚約者が生きていて、しかも正気を失っているという現実に直面し、冷静さを失った絵里は戦力にならないし、俺一人でやるしかないが俺の能力ではどうあがいてもダメージを与えられない。


俺は避けながらもある物を用意する。

戦うと勝てない。ならばやることは一つ。


戦略的撤退。


隙をついて猛攻から抜け、扉のほうへと逃げる。

そして、手に持った小型のグレネードランチャーを扉に向けて発射する。

だが、1発では壊れない。

走って逃げながら次弾を装填する。


「絵里!今は逃げるぞ!」


「でもダグラスは!」


「落ち着け!今のままじゃどうすることもできない!一旦退け!」


絵里の手を引っ張りながら次弾を扉に発射し、扉が半壊した所でグレネードランチャーを投げ捨て、デザートイーグルでブチ破る。

扉が人が通れる程度に空いたので、そこをくぐって部屋から出る。

しかし、通路に出た先の光景は想像を絶するものだった。


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