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病院生活

次に目に映ったのは白い天井。ああ俺は死ねなかったのか…頭の中によぎったのはそんな感情。あのまま死ねればこの先の辛い現実は見ないで済んだかもしれなかったのに。


「っつ!?」


途端に感じる鋭い痛み、身体には数本の管、多分折れてしまったのか右手と右足がギブスで固定されていた。


「…俺頑丈すぎない?」


自分でもドン引いた。あの屋上は四階ぐらいの高さだったはずだ、よく生きていたと思う。


「んっ…」


横を見ると蒼が寝ていた。なんだよこいつ、ずっといたのか、目元にはうっすら隈がある。


「…蒼、おい起きろ」


寝起きの掠れた声で声をかける


「…、んぁ??!」

「お前寝るならベッドで寝なよ」


ずっとそばにいてくれてたであろう親友にかける言葉じゃないとは思うが、後で身体が痛くなるのは蒼なので。


「っ!!!悠月!目を覚ましたのか!」

「いった!俺病人なんだけど!抱きつくな!」


感情が昂って抱きついてきた蒼の肩を動く左手で引き剥がす。


「すっすまん!痛かったよな!」

「いや大丈夫…なんかあの時みたいだな」

「そう…だな。本当に生きててくれて良かった。お前が俺の前からいなくなるなんて俺、耐えらんねぇ」


蒼の瞳から涙が伝う。


「はっおい!なんで泣いてんの!」

「えっ?俺泣いてなんか…あれ?」


蒼が目元を拭うが涙が次々と流れ出てくる。そんな蒼をみかねて、手元にあったティッシュ箱を蒼に渡した


「ありがと…安心したからか涙が止まらなくなって、お前六ヶ月も寝てたからさ」

「は、はぁ?六ヶ月?嘘?!そんなに?大学は?バイトは?」


長さに驚いた。確かに死ぬかもしれないとは

思ったけど、そんなに時間を無駄にしているとは思わなかった。そんな時間があればアレもこれも出来たのに。頭の中は後悔でいっぱいだった。


「大学とバイト先には報告済み、どちらも暫く休みだ、心配すんな」


いやまぁそれも心配だけど、俺の中では時間が溶けた事が一大事だった。


「はぁ…まぁ仕方ないか…で、全治何ヶ月?」

「治りが早いみたいでほとんど治ってる、暫くは体を慣らすためのリハビリ」

「まじかぁ…俺の体頑丈すぎじゃね?自分でも怖い」

「本当に心配したんだからな、もうこんな無茶やめろよ」

「はいよ」


呆れた顔で蒼がいう。いつの間にか涙は止まってる顔を見て安心した。


「あと、誕生日おめでとう、戻ってきてくれてありがとう。」

「そうか…俺今日誕生日なのか。今年も一緒にいてくれてありがと」


「あっそうだナースコール!」


なんか、むず痒くて話を逸らし、枕元にあるナースコールを押した。すぐに看護師と医者が来て検査された。ある程度の説明をされ、看護師と医者は出て行った。


「そうだ親にも連絡しないと!」

「おじさん、おばさんにはさっき連絡したから大丈夫、今から来るって」

「えっはや!ありがと」

「あの日、お前と一緒にいた女子生徒なんだけど…」

「ああ、南さんね」

「知ってたのか…そりゃそうか…」

「あの子と付き合ってる?」


つい言葉が漏れた。聞くつもりなんてなかった


「いや、付き合ってはいない」

「そう」


それ以上は声に出なかった。

すると、両親が病室に入り同じ様に抱きつかれた。痛かったけど来てくれて嬉しい。


親から渡された俺のスマホはバキバキに折れ曲がっていた。スマホでさえこんなにボロボロなのに俺の体マジでやばいな…


良い機会だし新機種に変えるか…あっでもバックアップ取れてなかったからデータ残ってるかな?

翌日、スマホを再契約したところやはりアプリや写真、あらかたなくなっていた。幸い会話アプリなど頻繁に使っているものはID、パスワードを覚えていたので復活させることに成功した。まあでも、特にアプリデータが消えてしまっても構わなかった、どうせ飽きてすぐあインストールしていたわけなので。


ただ、写真データが飛んでしまっていたので悲しく思っていたら蒼が全て保存していると言ってデータを送ってくれた。


後日警察が来て、あの日のことを聞かれた。南さんは口を閉ざしているらしい。現場検証からも事故と断定されている。実際にあれは事故だったのだから、ありのままに伝えた。彼女は大学を休学していて、自身の部屋に引きこもっているという。


そりゃ目の前で人間が転落するところを見たのだからPTSD (外傷後ストレス障害)でも患ってしまったか。それとも俺が起きて、自分の都合の悪い証言をされるかもしれないと怯えているのか。


まだ断定はできないけどおそらくどちらともだと思う。

俺が落ちたのは確かに屋上からだったが、幸い落ちたところは改装中の花壇で土がこんもり積まれていた為か致命傷にはならずに済んだらしい。


一ヶ月してなんとか歩ける様になり、リハビリが始まった。彼女は一度も病院を訪れていない、まだ外に出られないそうだ。


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