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幼馴染との出会い

強◯、誘拐表現ありです。ご注意ください

一度目の人生は蒼中心に回っていた。


蒼と出会ったのは、小学2年生、俺が暴行を受けていた時だった。


俺はその日、一人でちょっとした森の中を探索して回っていた。多分前日に読んでいた子供向けの洋書のせいだったと思う。森の中に迷い込んだ少年が様々な冒険をするよくある話。


夏休み真っ只中だったけど遊ぶ奴がいなくていつも一人でいた。別にいじめられていた訳じゃなくて飽き性な俺と遊びたがる奴が少なかったから。ゲームも習い事もスポーツもある程度出来る様になったらすぐ他に手を出していっていた。なまじ何でも出来ていたからそこから上達させて満足して飽きるの繰り返し。


周りの子供達はなぜすぐに出来ないのか不思議で、"なんで出来ないの?"と聞いていた。そうしたら周りの子供達が俺に近づかなくなった。だから俺は一人で遊ぶ様になった。


そんな俺に目をつけていた奴がいたなんて知らなかった。歩き回って見つけた小さなプレハブ小屋、勝手に入ったら不法侵入になる事は知っていたけど、小さな冒険みたいでワクワクしてドアノブに手をかけた


「うっわ、重っ!」


立て付けが悪いのか扉を開けるのに思いっきり体重をかけた。扉が閉まって外に出れなくなるのは困るので開けたまま入ると、小屋の中にはノコギリ、チェーンソー、スコップなどの工具があり、しかしどれも錆びていて使えるかも怪しいもので、窓は割れ、物は散らばっていた。誰かが管理しているとは思えなかったが、それならそれで誰かにバレても怒られないとうれしく思った。どうにか自分だけの秘密基地にできないか考えていたら口を大きな手で塞がれた。


「喋るな、大人しくしろ」


男の声だった。

いきなりの事で小屋の中に自分以外の人間がいるとは思わず気づくとこすら出来なかった。どうにか男の手から逃れようと足と手をバタつかせていたが、一切緩まない、さらには口元に布を詰められ、両手を後ろ手に縛られた。


悔しさと得体の知れない恐怖から言葉も出ない。正面を向かせられやっと自身を縛った相手の顔を見た。知らない男だった。面識すらない。男の顔は酷く興奮していて眼は血走っており、口からは激しい息遣いが聞こえ、今にも喰われてしまうのではないかと感じた。


コイツは誰だ、何で俺を押し倒している?ここの管理人か?だからってこんな乱暴な事するか?何でベルトを外そうとしてる?どうにかして男の気を逸らせないか?

頭の中にいろんな考えが浮かぶが何一つ纏まらない。困惑、恐怖、不安、緊張で頭の中が埋め尽くされる。

それからは思い出したくもない、必死に隙をつこうと男のブツを噛んでやったら死ぬほど殴られた。口の中に広がる血の味、頭がぐわんぐわん揺れ、歯なんか取れてしまったんじゃないかというほどに。


ある程度大人しくなったと思ったのか、男はあの気色悪い行為を再開した。星が散る視界の中見えた窓の端から自分と同い年ぐらいの少年と目があった。少年は俺を見て酷く、吃驚した顔をしていた。俺は男以外の人間を見つけてこれで助かると、涙を流した。



助けて、助けて、助けて、この地獄から救い出して



縋る様な思いで少年をみた。しかし、少年は窓から消えた。


ああ、そうだよな。そりゃそうだ、こんな現場見たら逃げる。相手は子供だ。仕方ない。仕方のない事だ。このまま誰にも見つけられず、殺されちゃうのかな?死んじゃうのかな?本当は一人は辛かった、寂しかった。家に帰っても、親は遅くまで帰ってこない、学校ではあまり周りと馴染めずに孤立していた。

一人ぐらい何でも話し合える友達が欲しかったなぁ。


そんなことを考えていたら目の前の男がうめき声を上げて蹲った。何が起こったか分からないまま両椀を掴まれ、男の下から出された。


目の前には先ほど見た少年。その澄んだ空みたいな目には困惑、恐怖に混じって勇気が見られた。少年は持っていたスプレー缶を捨て、俺の前で後ろ向きにしゃがみ、「乗れ」と言った。体の節々が痛むが、少年に手伝って貰いながら、必死に動かし、少年の背中にしがみついた。


自分とそう変わらない身長なのに持ち上げられるか心配になったが、ゆらゆらと立ち上がり何とか歩き出した。栗毛色の髪の毛が頰に辺り少し擽ったく感じた。


幸い扉は開いたままの為そのまま外へ飛び出した。

背中に聞こえる「クソガキがっ!!逃げられると思うなよっ!!絶対に捕まえてやる!!!」という声に悪寒を感じより一層強く少年にしがみついた。



それから少年の家に連れていかれ応急処置をして貰い、すぐさま救急車で運ばれた。

病院につきすぐに治療が開始した。最初担当しようとしてくれた人は男の人だったが、自分より大きな男の人を見ると体がこわばり、意図しない涙が出てくる。体が大人の男の人に触られると拒否反応を起こす様になっていた。

すぐさま、担当は女の人に変わり触診、レントゲン、傷口を縫ったりと、殆ど処置して貰い、医者には数日入院することになると聞いた。

そこでやっと親について聞かれたが、目線を時計にやると時刻は7時

この時間は二人とも仕事中のはずだ、逡巡した後



「…迷惑かけちゃうし、終わってから電話する」


と、口にした。

すると少年の親が俺の肩を掴み言った。


「迷惑なんてことない!親が子を心配するのは当たり前じゃない!」

「…そう…なのかな…」

「何か言われたら、そん時はウチの子になれよ。それに入院するにしても親には連絡しないと」


少年はそう言って、手を握ってきた。


「わかった…」


俺は持たされたスマホを使い、父に連絡した

2コールも立たずに相手は出た。


「どうした?珍しいなこんな時間に連絡なんて、なにかあったのか?」

「お父さん…お、俺…」


言葉がつっかえて声が出ない。仕事中なのに電話して、しかもこんな異常な事知られて嫌われたりしないか?迷惑がられてたら辛い。

すると手元からスマホが取られた。


「おじさん、はじめまして、俺は蒼。この携帯の持ち主の友達です。今○×病院にいます。息子が大切なら何に変えてでも、すぐに来てください。」ブチっ


少年は俺のスマホを渡してきた。え?こいつ切ったの?あれだけ言って?俺にも喋らせてくれればいいのに…てか、え?友達?もう友達認定なの?友達になってくれるの?困惑していたら携帯が震えて液晶を見たら父からだった。すぐさま応答ボタンを押し耳につけた。先ほどの少年の気候を見て幾分か緊張がほぐれ普通に話せた。


通話終了後、両親は来てくれた。結構場所が離れていたはずなのに30分もかかっていなかったと思う。

両親は俺を見て、すぐ様俺を抱きしめた。


「うっ」


急に二人に抱きしめられ、傷口に触れ痛みが走る


「すまん!そうだよな…痛かったよな…」

「ごっごめんね…まさかこんなことになるなんて…悠月はしっかりしてるから大丈夫だと思ってたの…ごめんね!!」

「本当にすまないと思っている。俺らが研究にかまけて悠月を蔑ろにしていた。それでこんな事に…辛かったよな。怖かったよな。ついてやれなくてすまなかった…これからは絶対蔑ろにしない」


そんな事を言われて心底驚いた。俺のことなんか興味ないと思ってた。だっていつも仕事仕事って忙しそうだったから

確かにスマホには位置情報がわかるアプリが入れられていて、何処にいるかバレていたし両親は安心していたと思う。俺も後ろめたい事をしてる時はわざとわからない様に細工なんかして誤魔化してたけど、指摘されたことなんか無かった。心配されてないのかと思っていたけどそうじゃないかもしれない。


「っう…うあぁあああん!お父さんお母さん!怖かった!気持ち悪かった!」


恐怖や不安で緊張して堰き止めていた感情が爆発して涙が止まらなくなった。両親にしがみついて泣いた後、父は改めて少年と少年の母親に感謝した。なにかお礼をさせてほしいという両親に対し少年の母親は"当たり前のことをしたのだから気にしないでほしい"といった。


「それなら、俺と友達になってよ」


少年は照れ臭そうに俺を見つめていった。俺は驚いて


「えっもう友達認定されてたのかと…」


といった。さっき言ってたのに、まだ友達じゃないのかと可笑しくなって小さく笑った


「ああ言わないと、怪しまれると思ったんだよ!で!なってくれるの?なってくれないの?」


「勿論!俺でよければ!俺は来栖 悠月」


少年の手を掴んで満面の笑顔で微笑んだ。すると手を握り返してくれた


「俺は氷室 蒼よろしくな!」


最悪な出会いだったけどアイツ、蒼に助けられなければ俺は死んでいたし、あんな目にあったのに俺とよく友達になってくれたと思う。普通ならトラウマ物だ。



後日、俺を暴漢した男は捕まった。常習犯だったらしい。一度捕まり、刑務所にいたが、出所しても悪癖は直っていなかった。偶然近くに住んでた俺に目星をつけて誘拐した。犯行の悪質性がみられ、改心しそうにないため医療刑務所に入れられてるらしいというのはあれから一切俺はあの強姦魔と会っていないし、俺は暫く、親と蒼と蒼の親としか会えなくなっていたからだ。


幸い傷は残らないと聞いてはいたが、あの時以来、うちの小学校に転校して来た蒼にべったりくっついていた。

蒼は俺が何をいってもそばにいてくれた。

俺とクラスメイトとの壁があると分かると、お互いに意見を聞き、"周りと仲良くしたいならまずはその口の悪さを治すことからだ"と言ってきた。最初は怪訝に思っていたが、俺が喋る度に、"さっきの言葉はよくなかった、その時はな…"と指摘され次第に無自覚に使っていた言動が良くなかったのだと気づいた。


俺はクラスメイトに今までのことを謝りなんとか許してもらい、誤解を解いていった。後にクラスメイトに聞いたのだが、蒼が"悠月は口は悪い。でも、不器用なりにもみんなと仲良くしたいと思ってるんだ。もう一度チャンスをくれないか?"言われていたらしい。

次第にクラスメイトとの壁がなくなり、何人かと友達にもなれた。これも蒼おかげだ。


何より、あの地獄から救い出してくれた蒼が俺には俺だけのヒーローに見えた。それはだいぶ精神面、体調面が良くなり学校に通い始めてからも続いた。


そしてそんな蒼に俺は恋をした。


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