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誘拐事件

♪〜♪♪

「あ、すみません着信が…少し席外します。食べていてください」

「わかった」



なんだか恥ずかしくなってきたのでちょうど良かった。左腕につけられた腕時計を見て顔が綻んだ。


暫くしても椿が帰って来ないので先にトイレに行こうと個室から出た。トイレを済ませて廊下を歩いていると中庭が見えたため外に出た。椿の声が聞こえてきた。まだ電話中のようだ



「はい、茜はまだ眠ったままです。僕も色々方法を探してはいますが目ぼしいものは…ええ…はい…しかしやはり今回の事件は…」

ジャリッ



「あっやべ」



少し踏み込みすぎたのか足元に敷いてある砂利擦れてが鳴ってしまい椿に気付かれてしまった



「お父様、友人が来ましたのでまた後ほどお話しさせて頂いてもよろしいでしょうか?…はい…はい…ではまた、ええ、…失礼します」

「ごめん、中断させてしまって」

「いえお気になさらないで下さい、父からの連絡なので、こんな所でどうかされましたか?」

「いや廊下から見えて綺麗だなと」

「確かにライトアップされていますから星空も相まって綺麗ですね」



クシュッ少し肌寒かったのかくしゃみが出てしまった



「ここは冷えますから中に入りましょう」

「あ、うん」



個室へ戻り夕食を再開した。



「実は今日僕の誕生日でした。だからこそ一緒に過ごしたいと思い。お誘いしました」

「えっ?ごめん知らなかった。それならプレゼント2つ用意すれば良かった…気が利かなくてごめん」

「伝えていないので知らないのは当たり前です。それに今日一緒に過ごせただけでも僕にとっては最高のプレゼントなので」

「そう言われると照れるな。なら来年はプレゼント2個用意することにする!」

「なぜ2個なのですか?」

「なんか損した気分になるじゃん」

「そういうものなんですね」

「そういうもんなの。だから来年も楽しみしてくれよな」

「はい、来年も二人で過ごしましょう」



その後のお会計がいくらなのかドギマギしていたが、すでに払っているので心配ありませんよ。と言われ複雑な気持ちになった。今日の支払いはどれも精算済みだったそうだ。せめて誕生日なのだから払わせてくれと伝えたが断られた。

次遊ぶ時は俺が最高のプランを組み、全てスマートに精算を済ませてやると意気込んだ。そろそろ解散しようかとなり駅で別れようかとなったが、心配なのでマンションまで送らせてほしいと言われた。

ありがたく送ってもらうことにした。今日観た映画が怖すぎてまだ一人になりたく無いのだ。思い切って泊まって行ってもらおうかと思案していると帰り道にある公園が目についた。



「?椿、あそこのブランコにのってる女の子の」



近くに怪しい二人組の男がいないか?と口に出す前に少女を大柄な男性が抱き上げ路上に停めていた黒いバンに少女を押し込んだ。



「はあ?ちょっ」



咄嗟に駆けつけたが、一足遅く走り去っていく車。いやまだ間に合う。幸い足には自信があるんだ。



「椿、悪いけどすぐ110番して、追いかける」「え?悠月さん?」



返事をする前に走り出した。ここの住宅街は丘の上にあり、入り組んでいて車で大きな公道に行くとなると必ず通る道がある。少し斜面が急にはなるが例の道に降りるため坂を駆け下りる、前日雨だったせいか土がぬかるんでおり気を抜いたら足を取られそうだ。

ザッザッ

一足早く行動につき車を待つ、すると車が前方からやってきた。



「クソ間に合わなかったか」



一か八かやるしかない。本当は障害物を置きたかったが、諦める。幸い俺は四階から落ちても助かったんだ今回もいける!迫ってくる車にタイミングを合わせてボンネットに飛び乗る、実は昼間は工事をしており夜も片道しか開放していないためある程度速度は落ちると考えたのだ。



「悠月さん?!?!」



坂の途中から驚愕した椿の声が聞こえるが無視をして体を使い視界を塞ぐ、本当は窓を割りたかったが目ぼしい道具がなく諦めた。今は何をしてでもこの車を止めなくてはいけない。


すると車が停車し中から男が出てきた、そいつをうまく避け後ろのドアを開けた。案の定中に両手足を縛られ眠っている少女がいた。すぐに助け出そうとして手を伸ばすが、逆に車に押し込まれてしまった。次の瞬間頭を殴られ意識が飛んだ。遠くから椿の叫び声が聞こえた。


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