小さな光
何かが見える
それは、小さな光
小さい小さい光
とてもとても小さな小さな光
ひとつ、またひとつ
沢山輝いてそこに浮いている
それはそれは小さな光
小さいけれどとても美しい
だけど
小さいから消えていく
薄っすらと、しかし確実に
それは輝きを失い
知らず知らず消え去った
誰一人気がつくことなくソレは消え去った……。
「逝かないで!!」
伸ばした手の先を除けば木でできた屋根が見えた。
「…………ん?」
伸ばした手をそのままにして横を除いた
マルクムとムイトが背中を預けあう形で眠っていた。器用な……
「んん?」
オデコには温くなったタオルがあった。
「……あ~っとあった居た居た、太郎君」
太郎君ははるか遠くに置かれていた、あと何故か箱の中に入っていた
「あ~~~~手がぁぁあああああああ」
伸びればぁ~太郎君を取れたのにぃ!太郎君、君が遠いよ……っふ
「……こい!」
体に流れるチカラを発揮してみた
太郎君が飛んできた
「ぶっっ!?」
掴みそこねて太郎君とちゅーしちゃった。ファーストキスは太郎君か、ははん
太郎君をつかんでごろごろ右へ左へ転がる
あ~落ち着く~
えぇわぁ~
太郎君はいいわ~落ち着く~
「はぁ~~~ぁ」
ごろごろごろ、ごろごろ、ごろごろ、ごろんごろん
「いぃわぁ~」
「えぇい!気持悪い!!!止めろ!」
ごん!
「あぅ!?」
転がる音で起きたムイトに殴られた、酷いまだまだ病人なのに、なんという鬼!
「痛いよ!」
「気持悪いんだよ!お前その人形に憑かれてるんじゃないのか!?」
「ムイト……素だろ」
「お前が言うなよ!」
「そうそう、素」
「お前も認めるな!変人ということだぞ?!」
からら……
ムイトともめていたら横戸式の扉を開く音がした。見ればマヤ族のお子様たち
「ユイ様だいじょぶ?」
「これ、みんなで摘んできたの」
彩り鮮やかのお花たち
気になるのは全部もこもこの不思議な花びらの花だということだが、まぁみみっちぃことだから突っ込むのはよそう。
「ありがとう、皆」
「いいえ、だって……ねぇ?」
「うん、私達が悪いから」
「なにが?」
子どもたちが見合った
「私達が池ポチャさせちゃったから」
マルクムのふいた笑いが聞こえた。
「え、っと……あははは」
「なんのことだ?」
そういえば落ちましたねアタシ
「わたしたち、体が弱いユイ様のために作ったの!」
ジャぁーン、という感じで見せてくれた物が、美の女神アフロディーゼも照れそうなぐらい、なんというかピュアな下着……?
「もこもこ花の花粉で作った下着なの」
「風吹くと飛んでいっちゃうから気をつけてね!」
着れないジャン。それより
「何で下着?」
「なんでって・・・・・・」
子どもたちが見合う。そして首をかしげた
「なんで?」
知りません
そのころノーナイトラウン
「なるほど」
無機質な白い神殿内に透き通るような声が響く。
「いかがなさいましょう、導師」
「『漆黒の毒婦』……ですか、おもしろい」
若いアルトの音程が笑う
「呼びましょう、彼女が『あの彼女』なら現れるでしょう」
「毒婦を聖なるこの神殿に呼ぶのですか?!」
年老いた声や若い声が響く
「いけませんか」
声が止む
「時は来た、変わり目です……我ら人に、栄光あれ」
導師と呼ばれるものがそういえば、彼の後ろで何人もの者が傅いた。
その中にはゼシルもいた……。