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飛んだ太郎くん


「ユイ、どうだ」


マルクムがコップに冷たい水を入れて持ってきた、若葉雪衣……珠を飲み込んで一日後……高熱発生

ただいまダウン中


「……食あたりかな」

「聖なるものを飲み込むほうがおかしいんだ!」


ムイトも居たらしく、説教と垂れてきた。太郎君を出して聞こえないふり。


「昨日から気になっていたんだが」


ひょい、と太郎君をムイトに奪われる。


「この珍獣はなんだ?」

「亀かな」


断定はできないけどね


「……不細工だな」

「ムイトの顔そっくりでしょ」


太郎君を顔面に向けて投げつけられた、本気で怒らなくてもいいのに。


「ムイト、ユイを苛めるな……一応病人なのだから」

「えっと、一応じゃなくて、病人」


外ががやがやと騒がしい。外を見ると……金色に輝くドラゴンの群れがこちらに向かってやってきていた。わぁードラゴンのわりには中型犬サイズだなぁ~とユイは横になりつつ思った。


「ファブニール」

「アレの名前?何しに来たのかな」

「お前に会いにだろう」

「え?照れる~違うか~睨むなよぉ」


ムイトが白けた顔をしてこっちをみた。アタシのことそんなに嫌いかよぉ


「あれはお前を見極めにきたんだ」


マルクムがムイトのかわりに説明した。


「何を?」

「その力を持つにふさわしいか」

「力持ってないけど」

「なら食い殺されるだけだ」


なんということでしょう、なにやら話がどんどん強制的にこの世界の最強になりなさいといっている。

あたしは大変だ。


「明日にしてって言ってもだめかな」

「自分で言ってみたらドウだ?来たぞ」


窓から傍らに金色のドラゴンを連れた全身真っ白のローヴに包まれ、無駄に輝いた金髪の性別不明の子どもがやって来た、そしてこちらをジロジロ見るなり、溜息ついた。


『貧相』

「すみませんね、ところでそのキラキラどうにかなりません?目が物凄く痛いんです」


今は朝だよ、倍増しだよ


『お前はハゲに今すぐ髪を生やせと言えるのか?』

「申し訳ありませんでした!!」


子どもは詰まらなさそうにあくびをすると、ドラゴンが子どもを睨んだ。


『我はファブニールの長ルートそしてコレがアマル=タイア』

「えっと?ドラゴンがルート?でしゃべってるのが・・・・・・?」

『我は人語を話せないゆえ、こやつに通訳してもらっているのだ。そこのところ間違える出ないぞ』


まぎわらしい


「で?見極めにきたんですか?」

『あぁ、珠はもう取り込んだようだな……拒絶反応は無いようだな』

「飲むものだったの?」


二人(?)が黙った。


『……飲んだのか?』


飲みましたよ?


『なかなか器量の具わった娘だな!直に飲み込んで拒絶反応が無くてよかったな』

「あったら何かあったの?」

『内臓どっぱーん』


怖いことをコミカルにしかも簡単に語りますね。


『無いというのなら能力チカラはもう会得できているだろう』

「うん、なんとなく」


大地から湧き出る噴水の水のように体中に滑らかに流れるものがある。それを感じることもできるし……操ることも容易だ

今はまだ完全には行き渡っていない気がする

そのための高熱だろう


「本当にお前選ばれた漆黒の者なんだな」

「漆黒シリーズ多いよね……いくつ呼び名あるの?」

「地方によってもさまざまだ」

「……なんか、なんだろう……うん、なんなんだろう」


漆黒って意外と親しまれてるのかな?


『予言で詠まれているからな、人間どもの間では伝承もあるようだな』

「伝承、へー英雄とかもあるかな」

「英雄視されてるのは、『マヤ族』と『ヴィルエールフ北帝国』ぐらいだろう」

「そのほかは?」

「悪者だな」


今思ったけどマルクムとムイトって物知りだなぁ、おじいちゃん話についていけずにコップ持ったままうたた寝し始めちゃったよ。重要だから起きて~


「それも仕方ないだろう」


ムイトは当然だと腕を組んだ


「その心は?」

「何だそれは?」


知らないの?掛け言葉だよ……意味はないけどさ


『その話は興味ない』


ドラゴンさんよ、アタシにとっては命にかかわる重要内容なのだよ


『お前は神々に認められた』

「ほんとかいな」

『黄金の林檎を授けよう、コレはおまえの助けになるだろうから―――喰うなよ』

「え?」


開けていた口を閉じる


「腐る前に食べよっかなって……見た目アレだけど」

『アレって言うな、しっかし食い意地張ってるな、腐ったりしねぇよ神の林檎だから』


その例えって料理初めて作った父親がスゴい方法で料理してるのを見て心配した家族が、それ大丈夫なの?ってきいたら、おう!俺が作ったやつは何でも美味いぞ!って言う並に心配

今まで作ったことないだろう!みたいなレベルでしょうかね


「まぁ、貰えるならなんでも」


太郎君の中に林檎を入れる


『それから我に聞きたいことがあったときにはこの林檎の葉を吹いて呼ぶといい』

草笛くさぶえ無理なんですけど」

『知るか』


あげた人にその答えは酷くないですか、あたしは万能じゃないのに!これオート?吹いたら吹ける?ねぇねぇ


『ではな』


無視かーい、まぁいいけど

太郎君の中に林檎の葉を入れる。ヤッパリ金色に輝いているのね


『……………』

「どうしました?ふぁ……なんとか」

『ルートでいい、ただ……』


太郎君凝視


『それに入れられるのって……なんか不快』

「どうして!?」

「むしろなんでお前はそれを受け入れられるんだ!?」


ムイトに逆に怒られた。なんで?なんでなんで?むしろ聞きたいぐらいだよ!確かに不細工だけどさぁ!!そこまで嫌われなくとも!

あ、そっか


「ムイト、アレだね」

「?」

同族嫌悪ドウゾクケンオって奴だね」


無言で太郎君を奪い去られ、窓の外の大空に向かって思いっきり太郎君を投げ捨てられました。


「タロォぉぉおくぅううううん!!??」



こうして彼は鳥になったでした。



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