王様とイチル
「王国に近づきたいのならmeに任せてくださいな」
頭領は杖を取り出してそういった。
「自国に帰れぬほど弱い魔力持ち者ではないですからな」
「ル二ソーラは帰れないらしいぜ」
「へ、へぇ……」
杖が赤い色の光を帯円を描いた。
「さぁ、行こう」
吸い込まれる感覚が体中に満たした
ごめんねヴェルザ……
「・・・・・・」
。。。
「痛い!」
「って!」
相変わらず師匠ズは着地が上手かった。知り持ちついたあたしにヴェルザは大丈夫?と心配そうな顔で覗き込んできた。
うん、良心が痛む
どうやら頭領はお城の中に入ったらしい
「なんでまた堂々と……」
「コソコソ行くよりかはましだと思うのですがな」
「……そうだね」
彼(?)に勝てる気がしません。師匠に似たのかもトリュー……口喧嘩強くなってるし
「何で俺を見るんだ」
「別に」
兵士を三人連れた神官一人がこちらを見た。そして周りに居た兵士達も敬礼した
え?敬礼?
「テュルフィング=ジェンガー宰相、今までどちらに?」
「えぇ?えぇえええ!?」
さ、宰相!!?
「そうですな、末姫様の救出とでも言っておきましょうかな」
「末姫様!?」
ヴェルザは知らない人に顔を見られ怯えた顔をした。
「ユイ~」
「大丈夫だよ」
多分
「立派なお城だね」
白い壁に赤い絨毯の敷き詰めれた床
さすがお城
兵士も廊下で黙って陳列してるし……うん、怖い
「王の謁見の間です」
兵士に扉を開けられ中に入れば、二階に丸っこい白髭の長い王様が居た。
今までで一番王様らしい
「おぉジェンガー……よくぞ帰還した」
「はい、陛下にご心配をおかけして申し訳ありません」
王様の前でも帽子脱がないんだ頭領……ある意味大物
「で、余の娘というのは」
「この方でございます」
アタシのほうに手を向けた。正しくはアタシが抱っこしている少女だけどね
ヴェルザは嫌そうにあたしの体に顔をこすり付けた。
かゆい……
「そちは誰だ」
「アタシは……」
「末姫様を救出なさった方ですな。攫ったものの正体は大国ではありませんぞ」
「何?では姫を攫ったものは誰だ?」
「俺だよ」
後ろを振り向けばいつの間に居たのかイチルがそこにいた。
「貴様は……っ『クオン!』」
クオン?
ゴーグルをのければこの国独特の瞳……赤い色の瞳が見えた
え?
え?え?え?
えぇ?
「ど……どゆこと?」
さっぱりなんですけど