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赤ちゃんと一年後


あれから一年後

温泉のある町、中層町『スリーライトタウン』……つまりアタシタチは場所は違えどまたミッドガウンへと戻っていた。しかし指名手配は出ていないらしくだれもアタシたちに関心を寄せていなかった。


「よく眠れましたかな?」

「頭領おはよう、ヴェルザも静かで良く寝れたよ」


そしてあの日からアタシタチがお世話になっているのは頭領の家兼仕事場『何でも屋アリア』だ


「頭領ありがとうね?衣食住用意してもらって」

「いえいえ、トリューティテス君はmeの息子も当然、然らば貴女は嫁同然。家族当然ですからな」


目深に帽子を被りながら頭領は微笑みながらそういった。アタシは机の上に食事を並べながら一人赤面していた。

嫁って……


「とりあえず孫はこの子で」


机の上で座っていたヴェルザを抱き上げると彼女はきゃっきゃっと喜んだ。うーんどうみてもおねえちゃんと妹の図にしか見えない。

しかしヴェルザも大きくなった


「ふぁあ~おはようさん」

「あ、トリューおはよう」


長い灰色の髪の毛を一つに束ねながら眠たそうに椅子に腰をかけた。

そしてあの人は今日も起きてくるのが遅い


「イチルー!ごはんだよ~」


低血圧ってわけでもなさそうだけど、彼女は起きてくるのが遅い。しかも関係ないけどゴーグルをつけたまま寝ているし


「ユイは最近イチルと鍛えても、へとへとになるのなくなったな」

「うん、逆に目が覚めて、それでも頭領のほうが起きるの早いけど」

「当然ですな。寝ていないのですから」

「えぇ!?なんで?」


寝なよ!

それはともかく全員席に着いたので食事にすることにした。


「はぁ」

「どうしたユイ元気ないな」

「ユイ~ニコ~」


元気出してというようにヴェルザがユイの膝の上でユイに抱きついた。

可愛い


「そうだね、笑顔笑顔、にっコ~」


一才にもなれば歩けるし表情豊かになった。こちらが笑いかければ可愛い笑顔が戻ってきた


「……」


しかしすぐに曇ってしまう


「このままじゃ駄目だよね」

「何がだ?」

「戦争だよ」


何もしない時を長くしすぎた

アタシは平和を取り戻しにきたのではないか……最近過去のアタシが今のアタシを責める夢を見る。

多分そろそろ危ないっていう信号なのかもしれない


「いまは休戦状態だけどいつまた戦争になるか分かりませんからな」

「うん」

「……止めるってどうやって止めるのか考えてるのかよ」

「…………一応」


いたってシンプル、でも成功する可能性はない。


「ミッドガウンは非戦闘的だから恐らくヴィルエールフ北帝国の攻撃が止んだら収まると思うんだ」

「デズヘイムール大国は?」

「……」


ヴェルザの頭をなでる


「この子を……帰せば何とかナルト思う」

「ご都合主義な話だな」


攫った張本人が食事のパンを齧りながら即答した。

男二人(?)は何も言わない。

何も分からないヴェルザは抱っこされて機嫌がいいのか教えてあげた日本の歌を歌っている。


「アタシだって別れたくないけど、本来居るべき場所はここじゃないんだよ」


王族ならばそれに相応しい生き方をして欲しい。彼女の幸せにもなるはず


「本当はもっと早くこうするべきだったんだよ」


きっと


「城の暮らしがいいとはかぎらねぇだろ」

「でもこの子が居るべきなのは城だよ」


たぶん


「ユイは……それでいいのか」


トリューが口を開いた


「……うん」


寂しいけど、別れはもう慣れてる


「俺は、……ヴェルザは、ユイと一緒にいたいと思っていると思うぜ」

「うん」

「それでもか」

「うん……ごめんねヴェルザ」


無責任な女でゴメンね


「?」


何も分からず『手のひらを太陽に』を楽しげに歌っている。

ごめん

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