移動しましょうかな
「けほ」
口の中では砂と焦げの味がする。
不発した能力はアタシ自身が爆発することで終わった。
「大丈夫かユイ?」
トリューが恐る恐る訊ねた。
「ウン……ドラゴンは?」
「驚いて逃げてったぜ、つかオメーさそんな能力あるんならドラゴン如きさっさと退けろよ」
「いや駄目なんだって、コレが例なんだけど……」
アタシの服、真っ黒だ……
「アタシ、チャージして溜めてからじゃないと能力発動できないっていうか、しないから……さっきので吃驚して思いっきり波長逃した……」
とりあえず水欲しい
「ヴェルザは?」
アタシの手の中にいない
「これですかな」
「あーこのコこのコってえぇえええええええええ!?」
頭領いつのまにか復活
「生きてたの!?」
「えぇ、一応」
「誰だコイツ」
イチルが頭領の首根っこを掴むと持ち上げた
「!?……お前」
「おや、お久しぶりですなク―――ふぐ!」
何かを言う前に口を塞がれた。
「なんでお前こんなところに、いや……ソレよりその格好」
「師匠知り合いか?」
「えぇ」
アフロになった髪の毛を直しながら思った。
「世界は狭いね」
何故かイチルに殴られた。
「こんな所で立ち話もなんですし、移動はいかがですかな」
「ソレよりアタシはお風呂にはいりたいな」
「では、移動をば」
杖を持ち上げ先端に赤い光を帯びラセ丸い円を描いた。
「さぁ、行こう」
赤いワッカに吸引される
ぷっと、吐き出されるような感じがした。
「わぁ!?」
「ユイ」
こうなることを予想していたトリューがまたもや下敷きになってくれた。
「ごめん」
「・・・・・・」
イチルや頭領は身軽にワッカから通り抜けてきた。
「え、ここって」
屋根瓦で立派な門構えに煙突からもくもくと煙が上がる……ここは
「銭湯?」
「風呂といったら温泉ですな」
通ですね頭領
「さぁ、みんなで入りましょうかな」
暖簾をくぐり中に入っていった。
っていうか、ココ何処?