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赤ちゃんとアタシ


『俺は『イチル』だ』


って、かっこぃー

女だけど


「お前……」


彼女が腕をつかんだ


え?


「弱いならスッコンデロ!!!」


ぶん!!!


「えぇ!」


ビュー――――ん!


「うきゃああああああああああああ!!??」


投げられタァァア―――!?

力を使って空中で踏ん張る。てか人をココまで飛ばすほどの腕力を持ってるっていったい何者!?


前方の戦車をやられた

ことに腹を立てた向こうが後ろに用意してあった戦車二台でイチル目掛けて大砲を発射した


「危ない!」


力を使い大砲を消し去ろうとしたがソレよりも素早くイチルは動いた。避けることも逃げることもせず戦車に突っ込んでいく


「死にたくなきゃ、逃げるんだな!」


そういって戦車を素手で真っ二つに切り裂いた


「えぇええええええええええええええ!!!!???」


もう人間の域を超えちゃってますよね!?

あまりの人間離れした強さに恐怖し、敵は逃げていった。

ソレを見た国民も後ろで大喜びをした。


「おい、女」

「え?」


アタシ?


「運べ」



下にいるのに上から目線



門のままで行くとイチルは容赦なくオリを蹴飛ばし、破壊した。それを直視した騎士達のあの驚いた顔は凄かった……

オリが壊されると国民は城へと我先にという感じで向かっていった。


残されたあたしとイチルとゼシル


「あ、ゼシル君赤ちゃんありがとう」


大切な赤ちゃんを返してもらう、と同時に赤ちゃんにまかれていた布が落ちた。


「この赤ちゃん……綺麗な銀色だ」

「あん?そこにいたのか」


イチルが横から覘いてきた。


「え?貴女の子!?」

「んなわけあるかよ、連れだ……良く言えばな」


イチルが取り上げようとすると赤ちゃんが急におお泣きし始めた。


「・・・・・・・」

「びぇぇん」

「あぁ!よしよし」


イチルの傍はいやと泣くかのようにアタシに必至にしがみつく赤ちゃん。


「何したの?」


そういってイチルを見れば彼女は口だけ笑った。


「お前には関係ねぇな、ま、欲しいならやるよソイツ」

「赤ちゃんなのよ!」


物扱いするなんて


「じゃあお前が母になってやれ。俺は何も知らん」


城のほうへと足を向けたイチルの腕をつかんだ。


「アタシ、赤ちゃんの世話の仕方なんて知らないんだけど!?」

「俺もしらねぇし」


二人でゼシルのほうを見た。


「……え?!いや私も知りませんよ!」

「そうだな、城に行っても給食にはありつけれないだろうし……ソイツのところで厄介になるか」

「なっ!」

「アーそれいいかも」

「ユイまで!」


お願いコールをしていると折れた。

よっし

そして案内された場所はお城に近いすっごい豪華な豪邸だった。

庭とか広いし、そこにまた一軒家を建てれそうな広さだ。一言で言えばスゲーって感じ


「ゼシルヴァン帰ったのか」


お髭のスゴイおじ様が姿を現した。


「全く平民どもの声の五月蝿さには参らされる。ワシも足さえ良ければ再び戦場を駆け回ったというのに……不甲斐無い」


若い執事に渡された杖でこちらに歩いてきた。


「ん?誰だ貴様ら」


初老にはいろうかとする年齢らしく、目が少し見えなかったらしい。ユイたちの姿が見えなかったようだ。それから、彼の凝視するものはアタシタチではなく、アタシの腕の中にいる赤ちゃんだった。


「……」


あたしを見た


「……」


もう一度赤ちゃんを見て


「ゼシルヴァン」


ア、なんかこの後言うせりふ分かったかも


「どちらがお前の妾だ?」


そっちか


「どちらも違いますよ!彼女は友人です」


イチルとは他人だけど彼女もそうなんだよね、と一応言ってみた。


「勝手にワシの家に招きいれよって!誰の了見を得て動くんだ」

「父上、いいではありませんか、彼女は……」

「漆黒の色なんぞ、見たくもなかったわ!出て行け」


杖を投げつけられた。

アタシはともかく赤ちゃんが!庇うために背を向けたが、痛みは感じなかった。


「!?」


ゼシルが目の前で守っていた。


「いい加減にしてください、貴方に人の情というものが無いのですか」

「オメーも無かったけどな」


ぼそっといったイチルにシーと指で口を押さえた。


「何だ貴様、この父に逆らうのか―――!」

「おい坊ちゃん、言ってやれ『この老いぼれ爺』って」


アタシはとりあえずイチルの口を押さえた。赤ちゃんでさえも泣かずに静かなのに

イチルはその行為に不満げに口を尖らせた


「でていぇ―――」

「まぁ、アナタ……何を騒いでいるの?」


老いた父親に似つかわしくない若い妻が現れた、腕には大量の美しい花が摘まれていた。静かに夫に近寄るとその肩にそっと触れる。


「気持を昂ぶらせては駄目、お医者様にも言われたでしょう?聞こえてらして、アナタ」


若い婦人がそういうと、彼はうめくように頷いた。


「レイナーさん」

「ゼシルヴァンさん、お父上はアナタが騎士となられてそれはお喜びになさったの分かってらして?」

「分かってます、ですが私は」

「アナタは何一つ分かってませんわ!なら何故、戦場に向かわれないの」


ゼシルは拳を握り締めた


「女のワタクシが言うのは図々しいと思いますわ、でもお父様の気持も分かってください!……さぁ、アナタもう行きましょうお身体に障りますわ」


ゆっくりと歩いていく二人を見ながらゼシルは何も言わず、握り締めていた拳を開いた。


「私は駄目な存在だ……亡くなった兄上や母上の言ったような強い者にもなれず、父上を落胆させてばかりだ」

「ゼシル君……」


ユイはゼシルの腕をそっと握った。


「大丈夫だよ、いつかきっと強くなれるよ」

「根拠あんのかよ」


後ろから痛い指摘がやってきた。


「よく言うじゃない、念ずれば花開くって」

「知らねーよ、祈って強くなれりゃ苦労はねーし」


イチルの言うことは最もだが、空気は読んでもらいたかったな!


「いいんだ、私は私なりのペースで行くから」

「それこそ、何を根拠に言ってんだよ」

「イチルさん!空気読もうよ!」

「あのな」


ニ歩後方に下がっていたイチルが前にやってくるとユイの頭をデコピンした。

良く見ると、あたしとそう変わらない身長だなぁ~にしてもこのデコピンかなり痛い


「強くなるのに、時は関係ねんだよ」

「はい?」


イチルは溜息ついた。


「おい、坊ちゃんそもそもオメー、なんで他人に合わせる必要が何故あるんだ」

「!」

「望まれてるからそうなりますじゃネーだろ、自分の得意分野で上目指すのが男ってもんじゃないのか?あぁ?」

「イチルさん、言うことまともなのに言い方ふりょ・・・いた!」


デコピン二発目


「……すまないが私には、君のいいたいことがわからない」

「あっそ、もういい俺には関係ねーしな」


興味なくしたように腕を組む


「で?俺らの部屋何処だよ」


彼女はビックリするほど図々しかった。


与えられた部屋は三人で一部屋だった。赤ちゃんと同じ部屋なのは嫌そうだったイチルだけど赤ちゃんが静かにしてたからか、何も言わなかった。


「ねぇ、イチルさん」


彼女はめったに話しかけても返事が返ってこないことがカレコレ一時間の間で判明した。

窓際に座ったまま一言も発さない。


「この子なんて名前なの?」

「・・・・・・・・。」


はい、無視


「あ、そういえばアタシの名前言ってなかったね。アタシユイです」

「・・・・・・・・。」


はい、無視


「えーっと、イチルさんどこ出身かな?」

「・・・・・・・・。」


とことん無視


「イチルさん、帽子とらないの?ぼんぼん帽子」

「ヘルメット帽だボケ」


はい、む……し、ジャなかったけど酷い。


「なんで無視するの!?」


はい、死・化・戸 !!


話しかけるのを諦める。ワンルームについているシャワールームを見て感激をする。ベットもふかふか絨毯だってふかふか、天井はシャンデリアがぶら下がっている

まさしく


「びば・成金!!」

「うるせえ!!」


ごす!

イチルにヘルメット帽子を投げつけられた。

危ない危ない、今ので赤ちゃん落とすところでした……(汗


「あれ?ってあぁあああああ!!??」


イチルの短い髪が風に靡いていた。


「な、なんで?」


彼女の髪の色は……



アタシと同じ、『漆黒クロ』だった……

太郎君卒業、そして赤ちゃん^^


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